こころがかるくなる心理カウンセラーかきかわのブログ

山口市で心療カウンセリングルームを営みながら日常のエピソードをまじえて泣いたり笑ったり感情を動かすお話を掲載しています。

出社拒否におちいりそうな人へ

2015-04-18 08:40:22 | 日記
4月も半ばを過ぎてくると、毎年、会社に行きたくない、行こうとすると、腹痛、下痢、微熱など様々な症状が出てくるといったご相談が多くなります。

新年度で、「心機一転、頑張ろう!」と気合が入っているものの、環境が変わるなど仕事量も増えて、季節的には寒暖の差が激しいこの時期、体調を崩されるようです。

一方で若い人では、嫌な仕事を避けたい思いから、同様の状況に陥ることもあります。

こんなとき、周囲の人は、誰にでもあることだからと軽視しがちで、「頑張って!」と励ましたくなりますが、本人は頑張りたくてもどうにも心と体がついていかず、見た目や訴え以上に苦しんでいることもあるので注意が必要です。

ご相談に来られるほとんどの方は、家族には理解してもらえず、「苦しい」と訴えると「頑張れ」と励まされ、また家族以外の人には話せないと言われます。

もともとの性格が責任感、義務感が強く、まじめな人ほど、他の人が普通にこなせることが出来ないなんて情けないなどと、自分自身を責めてしまいがちです。

まずは、自分だけが、悪戦苦闘していて、他の人が普通にこなせる・・・その考え方こそ、一度うたがってみていただきたいと思います。

若い人では、友人同士、雑談をすることはできても、自分の気持ちを話すことに慣れていないので自分の殻に閉じこもる場合があります。また、友人に相談しても、反対意見を言われると、批判、非難と感じ、自分でも「逃げている」と内心後ろめたく思っている一面があるため、攻撃に転ずる、あるいは、黙りこみ落ち込む、そして自己嫌悪でさらに閉じこもるといった悪循環がみられます。

どの年代でも、「誰にでもあることだから頑張って」と言われることがもっとも辛いのです。

つまり、誰にでもあることを乗り越えられないジレンマが、その人を孤立に追いこんでしまうのです。

そして、心のどこかで、「自分は他の人より心が弱い」と思いこみがあると、その言葉を次のようにとらえます。

「誰にでもあることだから頑張って」→「他の人は普通に乗り越えているんだ。だから、その程度のことは頑張らないといけない」

では、こんなとき、どうすればいいのでしょう?
周囲の人は、辛い状況を打ち明けられた時、何か助言をしようとするのではなく、時々あいづちやうなずきながら、その人と向き合い、話を聴いてあげてください。

自分のエピソードを話して励まそうとすることも、プレッシャーになることがあります。つまり、すでに乗り越えている人の話を聞くと、自信を失っている状況では、さらに落ち込むこともあるのです。それでも、同時に、相手に嫌われたくない思いから、

「私のことは放っておいて!」

とも言えず、内心、“ああ、もう聞きたくない”と耳をふさぎたい思いでいたとしても、黙ってうなずいて聞いている。そんなこともあります。

私は、聞くことのプロ、カウンセラーですが、全く助言をしないわけでも、自分のエピソードを言わないわけでもありません。よくお聞きしたのちには、そうしたことも行います。その時は、笑顔で聞いてくださっていたので、大丈夫だと思っていたところ、時を経て、あるいはご家族から間接的に、私の言葉に強く反発されていることもあれば、自分の気持ちをわかってもらえなかったと落胆されていたことを知ることもあります。

その都度、この仕事の難しさを痛感し、どんなときも、相手のことを知っているつもりになってはいけないと反省します。

では、皆さんが日常的にはどうすればいいのか?
まずは、話を聴く。見守る。これは、どんなケースでも大切なことです。

よく、尋ねられるのは、逃避しがちな性格ならば、ますます本人がやる気をなくすのではないかということです。

話をスムーズにするために質問も、「なぜ?」と問いただすような方法はとらず、「どのような感じ?」だったのかを少しずつ氷を溶かしていくように、無理せずお聴きしていきます。

いきなり、原因追究を行い、ただちに事態を解決しようとするのではなく、本人が気づき、解決していくための気力体力が回復するのを待ちます。

周囲の目で客観的にみて、食欲不振、眠れない状況、自暴自棄な言動などが続くようであれば、医療機関を受診するよう助言することも考えましょう。

また、近すぎる関係では、相手に心配をかけたくない、嫌われたくないなど様々な感情がおこり、話せないこともありますので、カウンセリングという手段があることも念頭においていただけると幸いです。

そして、出社拒否したくなった方へ、次のことを実践してみてください。
忙しくて、到底、こなせない。キャパを越えてしまっていると感じている時。

まずは、今からやるべきことを可能な限り細かく、箇条書きにしてください。
次に、一つずつ、それにかかる所要時間を書いてください。
それらを足して、期限内におさまるかどうかを計算してください。

パニックに陥っている時、あれもこれもしないといけないと考えがちです。ところが、実際には一つずつしかでいないことがほどんどです。だからこそ、こうした整理が必要なのです。

やるべきことを付箋に書かれて、優先順位をつけて、並べていくのもいいでしょう。得意、不得意で色分けしてもいいですし、明日に回しても良いことをさらに分けてもいいでしょう。

もう一つ、実践してみていただきたいのは“嫌なことノート”をつけることです。昨日も一昨日も嫌なことがあったとぼやくわりには、まったく解決していないことが多いのではありませんか?

解決策は置いといて、とりあえず、徹底的に書きだしてみてください。
そして、解決可能な事と、不可能な事を分けてみます。解決可能な事については、具体的な解決案を書いてみます。不可能と思ったことの中でも、例えば、「雨が降って気が重い」と感じたとします。確かに雨が降ることは防ぎようがありませんが、気が重いというイメージについては、考え方を変える手立てがあるかもしれません。

こうして、自分の思いこみについて精査してみることです。一見面倒なようでも、このようなことを習慣づけていくことで、結局、自由な時間、ゆとりを手に入れることが可能になります。

最後に、優先度を決める時、やるべきことよりもやりたいことを優先してみてください。義務感が強い人ほど、びっくりされますが、これが大事です。やりたいことをするために、どうすれば時間が空けられるかを考えると何をしていても楽しくなります。

では、連休に向けてあと、数日でしょうか?
カウンセリングルームは連休中も空けております。ご相談のほか、自己啓発目的でもどうぞお気軽にお訪ねくださいませ。
各種心理講座も受付中です。ホームページにあげている講座のほか、あらゆるニーズにお応えします。

山口市宮野の静かな住宅地で営むカウンセリングルームです。
かきかわ統合医療相談室

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