こころがかるくなる心理カウンセラーかきかわのブログ

山口市で心療カウンセリングルームを営みながら日常のエピソードをまじえて泣いたり笑ったり感情を動かすお話を掲載しています。

潜在的なひきこもり

2015-03-09 16:28:35 | 日記
皆さんの周りでは、ほとんど外に出ることもなく、仕事に就いている感じでもなく、学生でもない。滅多に見かけないけれど。
そんな人が存在するでしょうか?

また、どういう感想を持たれるでしょうか?

学生には勉学という勤めがあり、卒業すれば、なんらかの職業に就くのは当然ではないのか?
確かにそれは正論です。

多くのひきこもりと呼ばれる人々は、この「正論」は重々承知です。

カウンセリングで関わっていると、「正論」を振りかざすだけではどうにも解決ができないことに出会います。
不登校から長期化した例では、家族も疲れ果て、ゴールの見えない状況の中で苦しんでおられます。

今日、テーマに挙げた「潜在的なひきこもり」は、外では普通に元気そうに振舞っているのに、家ではひきこもっている場合です。
私が、カウンセリングを始めて、こうした症例によく出会っています。

誰しも、いくつかの役割を重複して生きていて、職業人としての私、母としての私、妻としての私、子どもとしての私など、自分の人生を演じていると言えるでしょう。

こうした役割のことを心理学的には「仮面=ペルソナ」といいます。それらの、役割の中の私は、シーンに応じて社会的適応していくわけですが、どれも、自分の一部であり、統合できているのが、健康な精神状態と言えます。

健康的な精神状態であるためには、「芯」が必要です。つまり、「私はこう思う」「私はこれはノーである」といった、素のままの自分が在る状態です。

ところが、潜在的なひきこもり状態にある人は、

① 人に本音が言えない。人と親密になれない。
② 人に頼ることができない
③ 自分が好きでない。自分を信じられない。
④ 人の顔色を見る
⑤ 人と一緒にいると過度に緊張する
⑥ 常に人からどう見られているか気になる
⑦ 自分の考えを持たず、他人に振り回されやすい
⑧ 自分で決められない
⑨ 自分の人生を生きている気がしない

このような項目に当てはまることが多いと言えます。

傾向として、このような方々の成育歴をお伺いすると、ご両親が不仲だった。あるいは、嫁姑が仲が悪い。アルコール依存症など、何らかの問題が起っていて、家族が緊張状態にあったというような過去をお持ちです。

また、普段の状況で、上記に当てはまる方々は、精神的に落ち込みやすいなど、問題を抱え込みやすいと言えます。

両親が不仲というケースでは、父親が仕事熱心で、母親が専業主婦、あるいは家事や子育てに影響しない程度のパート勤務の極々一般的な家庭で、ほとんど会話がないという場合も含まれます。つまり、戦後日本の典型的な家庭が当てはまるのです。

このような家庭で育った場合、子どももまた、男子ならば、子育ては妻に任せっぱなし。女子ならば、一人で子育ての悩みも抱え込むようになることが多いです。

つまり、個人の価値観とは、生まれ育った環境によるところが大きく、「こうあるべきである」というモデルは両親から引き継いでいます。

これは、子育てのみならず、独身の場合でも、生き方そのものに影響しています。

我々の親世代を批判したいのではありません。自分の子ども世代には、高学歴で豊かな生活をさせようと奔走された、親世代には感謝しています。
しかしながら、心の豊かさを求める今の時代では、「自分を認め、他者も認める」「関係性を築く」「自分の考えを持つ」こうしたことを無視できません。

カウンセリングでの内面と向き合う作業は楽ではありませんが、人生の主導権を自分に取り戻してみませんか?


緑豊かな自宅で営む心療カウンセリングルーム ゆっくりとお話をお聴きします。
かきかわ統合医療相談室

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