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月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アルテルフ・13

2017-01-06 04:15:16 | 詩集・瑠璃の籠

何もしなかったがゆえに
死んでしまったほうがよかったことになった
その生を
だらだらとまだ生きている
そういう男どもがいる

自分たちが正当な男でありえた
馬鹿が支配する世界が
湯に溶けていく砂糖菓子のように
幻と消えていく様を
呆然と見ながら
まだ狸の化けた顔を生きている

スーパーマンのようなでかい体をして
どぶ掃除をしている女を
馬鹿にすることくらいしかできなかった
そういう男が
まだ派手な高級車に乗り
白い邸宅に住んでいる

どこに行くつもりなのか
何をするつもりなのか
世界はもう
ある女が変えてしまったというのに
英雄行為をするところを見せようとして
用意していた化け物の着ぐるみは
もう何の意味もない馬鹿になっているのだ

美女と寝るために造った都市を
神の都にするために
すべての美女を滅ぼした
馬鹿な男は
何の意味もなくなった鉄の寝所を
まだ惜し気に撫でている
絹の手触りもむなしい
女はもうどこにもいないのだ
だが都市はまだ生きねばならない
嫉妬して殺した男に言い訳をするために
まだやらねばならない

馬鹿な男はまだ
死んでしまったほうがよかった生を
死にたくないばかりに
だらだらと生きている




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