ある産婦人科医のひとりごと

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第1回婦人科腫瘍専門医試験(2006年)、問題081~問題090

2007年11月24日 | 婦人科腫瘍

第1回婦人科腫瘍専門医試験(2006年)、問題と解答例

【問題081~問題090】

問題081 家族性卵巣がんに関与する遺伝子はどれか。
a)p53
b)K-ras
c)PTEN
d)BRCA2
e)HER2/neu

問題082 家族性癌で誤っているのはどれか。
a)家族性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)では子宮体癌を併発する。
b)家族性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)はDNA修復遺伝子に異常がある。
c)BRCA1遺伝子は家族性卵巣癌の原因遺伝子である。
d)家族性卵巣癌の組織型では漿液性腺癌が多い。
e)p53遺伝子変異が検出された女性に予防的卵巣摘出術が行われる。

問題083 放射線感受性が高い腫瘍はどれか。
a)妊娠性絨毛癌
b)子宮頸部腺癌
c)子宮平滑筋肉腫
d)外陰悪性黒色腫
e)卵巣未分化胚細胞腫

問題084 放射線による細胞死の主な標的はどれか。
a)細胞膜
b)ミトコンドリア
c)核小体
d)核内DNA
e)核内RNA

問題085 子宮頚癌の腔内照射で用いられるA点の定義はどれか(いずれも前額面)。
a)体軸正中線で外子宮口から上方2cmの点
b)体軸正中線で外子宮口から上方2cmの高さを通る垂直線の側方2cmの点
c)体軸正中線で外子宮口から上方2cmの高さを通る垂直線の側方5cmの点
d)子宮腔長軸で外子宮口から上方2cmの点
e)子宮腔長軸で外子宮口から上方2cmの高さを通る垂直線の側方2cmの点

問題086 子宮頚癌に対する化学療法同時併用放射線療法で選択すべき薬剤はどれか。
a)シスプラチン
b)アドリアマイシン
c)シクロホスファミド
d)メソトレキセート
e)塩酸イリノテカン

問題087 放射線腸炎で誤っているのはどれか。
a)大腸より小腸が傷害されやすい。
b)早期障害の症状として下痢や血便がある。
c)晩発性障害として腸閉塞や瘻孔形成がある。
d)蛋白漏出性腸炎の原因となる。
e)副腎皮質ステロイド薬が著効する。

問題088 子宮頚癌放射線治療の合併症・後遺症に関連性が低いのはどれか。
a)下血
b)血尿
c)下肢浮腫
d)皮膚障害
e)肝機能障害

問題089 放射線晩期合併症をきたすため照射時に遮蔽を要する臓器はどれか。
a)腎臓
b)骨盤骨
c)腸骨動脈
d)直腸
e)膀胱

問題090 Surgical stagingで傍大動脈リンパ節郭清(生検)が必要なのはどれか。
a)絨毛癌
b)子宮体癌
c)腟癌
d)子宮頚癌
e)外陰癌 

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解答例 (誤答の場合は御指摘ください)

問題081 家族性卵巣がんに関与する遺伝子はどれか。
a)p53
b)K-ras
c)PTEN
d)BRCA2
e)HER2/neu

解答:d

家族性乳癌・卵巣癌症候群:BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子(癌抑制遺伝子)の異常が、乳癌、卵巣癌の家族性発症に関与する。

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問題082 家族性癌で誤っているのはどれか。
a)家族性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)では子宮体癌を併発する。
b)家族性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)はDNA修復遺伝子に異常がある。
c)BRCA1遺伝子は家族性卵巣癌の原因遺伝子である。
d)家族性卵巣癌の組織型では漿液性腺癌が多い。
e)p53遺伝子変異が検出された女性に予防的卵巣摘出術が行われる。

解答:e

家族性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC):DNAミスマッチ修復遺伝子の変異が原因で、大腸癌、子宮体癌を始めとして多くの癌が家族性に発生する症候群。常染色体優性遺伝形式。HNPCCに関与する遺伝子:MLH1、MSH2、MSH6、MLH3、PMS2。

BRCA1変異陽性の卵巣癌の組織型は漿液性腺癌が大部分を占め、予後が良好であるといった報告もみられる。

******

問題083 放射線感受性が高い腫瘍はどれか。
a)妊娠性絨毛癌
b)子宮頸部腺癌
c)子宮平滑筋肉腫
d)外陰悪性黒色腫
e)卵巣未分化胚細胞腫

解答:e

******

問題084 放射線による細胞死の主な標的はどれか。
a)細胞膜
b)ミトコンドリア
c)核小体
d)核内DNA
e)核内RNA

解答:d

放射線は、細胞の核内に存在するDNAを障害する。

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問題085 子宮頚癌の腔内照射で用いられるA点の定義はどれか(いずれも前額面)。
a)体軸正中線で外子宮口から上方2cmの点
b)体軸正中線で外子宮口から上方2cmの高さを通る垂直線の側方2cmの点
c)体軸正中線で外子宮口から上方2cmの高さを通る垂直線の側方5cmの点
d)子宮腔長軸で外子宮口から上方2cmの点
e)子宮腔長軸で外子宮口から上方2cmの高さを通る垂直線の側方2cmの点

解答:e

A 点の定義:外子宮口を基準として、前額面上、子宮腔長軸に沿って上方2cmの高さを通る垂線上で、側方に左右それぞれ2cmの点とし、腔内照射の病巣線量の基準点に用いる。A 点線量は原発巣の治療量、膀胱・直腸の障害量の指標となる。 A 点線量は左右2つあるが、左右差があるときは少ない方の線量を用いる。

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問題086 子宮頚癌に対する化学療法同時併用放射線療法で選択すべき薬剤はどれか。
a)シスプラチン
b)アドリアマイシン
c)シクロホスファミド
d)メソトレキセート
e)塩酸イリノテカン

解答:a

CDDP を用いたCCR によって、放射線単独療法群やCDDP以外の薬剤併用群より有意に高い生存率が得られたとの報告がある。米国では、NCIが,CDDP 併用によるCCR を推奨する勧告を出しており、今後、本邦においても、進行頸癌、あるいは再発頸癌の治療において、CDDPを併用したCCR が主流になると思われる。

******

問題087 放射線腸炎で誤っているのはどれか。
a)大腸より小腸が傷害されやすい。
b)早期障害の症状として下痢や血便がある。
c)晩発性障害として腸閉塞や瘻孔形成がある。
d)蛋白漏出性腸炎の原因となる。
e)副腎皮質ステロイド薬が著効する。

解答:e

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問題088 子宮頚癌放射線治療の合併症・後遺症に関連性が低いのはどれか。
a)下血
b)血尿
c)下肢浮腫
d)皮膚障害
e)肝機能障害

解答:e

******

問題089 放射線晩期合併症をきたすため照射時に遮蔽を要する臓器はどれか。
a)腎臓
b)骨盤骨
c)腸骨動脈
d)直腸
e)膀胱

解答:d

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問題090 Surgical stagingで傍大動脈リンパ節郭清(生検)が必要なのはどれか。
a)絨毛癌
b)子宮体癌
c)腟癌
d)子宮頚癌
e)外陰癌

解答:b 


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