ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

飯伊地区の産科分業態勢 順調に進展

2006年09月04日 | 飯田下伊那地域の産科問題

地域の周産期医療を絶滅の危機から守るためには、長期的な視野にたって、地域全体で知恵を絞って、地域の少ない医療資源を有効に活用して、協力して地域医療を守り育ててていくしかない

このことを地域住民の方々に繰り返し説明して理解を求め、今やらねばならないことを断固実行してゆかねばなりません。将来のビジョンなく、ここ1年2年を何とか持ちこたえるだけの、単なる一時しのぎの人気取りの方策だけでは何にもなりません。

何をやるにしても大反対する人は必ずでてきます。ゴールははるか彼方にあり、はたしてこの先どうなるのか?はさっぱりわかりませんが、10年後、20年後になってから、実績で評価してもらうしかないと思っています。

****** 医療タイムス社、2006年8月23日

飯伊地区の産科分業態勢 順調に進展

市立病院の分娩倍増も「医師負担増えていない」

 産科医不足が深刻化する中、飯伊地区が今年から導入している産科の分業態勢が順調に機能している。飯田市立病院が取り扱う分娩件数は倍増しているものの、診療所などとの機能分担が進んでいることなどから、病院医師の負担はそれほど増えず、「順調に推移している」(飯田市立病院・山崎輝行産婦人科科長)という。

 同地区は、分娩取り扱い施設が減少していたことを背景に、分娩を主に飯田市立病院のほか、椎名レディースクリニック、羽場医院の3施設で担い、妊婦健診は、分娩件数の急増が見込まれる市立病院以外の医療機関で受け入れる態勢を昨年の11月に打ち出し、今年からスタートした。

 このほど開かれた産科問題懇談会(会長・牧野光朗南信州広域連合長)で市立病院の山崎医師は、年間500件程度だった同院の分娩件数が、今年に入ってから1000件ペースと倍近くに増えているものの、診療所との機能分担が進んだことに加え、病院側も今年2月から産婦人科医が1人増の4人体制となったほか、助産師の増員や分娩台の増設などの整備が進んでいることから、「医師の業務は取り立てて激務になっていない。(分娩件数の)増加分のほとんどが正常分娩でもあり、問題なくスムーズに進んでいる」との見解を示した。

 また、同日の懇談会では、異常事態になった新生児を救急車などで市立病院に搬送する際に用いる新生児搬送用保育器を地域で購入する方針も確認。今後は事務局が中心となって検討していく。

 このほか、椎名一雄医師(椎名レディースクリニック院長)は、現行の産科態勢について「あくまで一時的な応急処置」との見方を示した上で、新たな産科態勢として、市立病院に分娩を一極集中させる「完全オープンシステム」と、市立病院を中心にするものの、下伊那郡北部と南部に「バースセンター」を設ける2つの私案を提示した。このうち、バースセンターを設ける案は、住民団体の求めに対して考え方をまとめたもので、バースセンターには助産師を置き、近隣の産科医療機関と連携し、分娩の受け皿となる構想だ。

 提案に対し市立病院は、「助産師だけで異常分娩への対応は困難」とした上で、将来的には市立病院への集約化が望ましいとした。しかし、住民の声も無視することはできないことから、今後、継続して審議していく方向となった。

(医療タイムス社、2006年8月23日)


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