前回帝王切開後の経膣分娩についての説明書
前回帝王切開後の経膣分娩では「子宮破裂」の危険性が存在します。子宮破裂が起こる頻度は、一般的には0.05%~0.1%くらいですが、前回帝王切開後の経膣分娩時には約0.2%~1.5%といわれています。
子宮破裂が起こった場合、大量出血のため輸血が必要になったり、破裂した創部の縫合や子宮摘出が必要となることもあります。母体死亡となる可能性も考えられます。また、子宮破裂が起こった場合には、胎児仮死(重度の精神発達障害などの後遺症が残る可能性があります)・胎児死亡・新生児死亡などが生じる場合があります。
当院では、下記の条件を満たし、更にこれらの危険性を御本人、御家族に御理解していただいた上で、前回帝王切開後の経膣分娩を行います。ただし、経過中に経膣分娩が不可能だと判断された場合には、帝王切開に変更します。帝王切開に変更された場合でも、夜間等スタッフがそろっていない状況では、手術開始まで時間を要する可能性があります。
帝王切開は、産婦人科では一般的に行われている手術ですが、出血、感染、周囲臓器の損傷などの危険性や術後の合併症(腸閉塞、創部離開など)が起こることがあります。また、肺血栓塞栓症の頻度は経膣分娩と比較して増加するといわれています。
なお、帝王切開で分娩となったとしても児の状態が不安定な場合もあり、点滴や、挿管し人工呼吸器を必要とすることもあります。
<前回帝王切開後の経膣分娩の条件>
1. 既往帝王切開は1回であること。
2. 前回の帝王切開は子宮下部横切開であることが確認されていること。
3. 単胎で頭位であること。
4. 経膣分娩のリスクが前回帝王切開以外存在しないこと。
5. 子宮破裂が発生した場合の母児のリスクを患者本人、家族が十分承知していること。
○○病院産婦人科
以上の説明を受け、前回帝王切開後の経膣分娩を希望します。
年 月 日
患者本人:
家族(続柄):
説明担当医: