従来は、医学部卒業後の新人医師の進路として大学病院で研修する者が多かった。そして、大学病院から医局人事で一般病院に医師が派遣され、大学病院は医師供給元の役割を長く果たしてきた。
しかし、新臨床研修制度によって、医学部卒業後に一般病院で研修する者が増え、必修初期研修の修了後も大学には戻らずに、そのまま一般病院で勤務する者の割合が増えてきたという調査報告が今回公表された。
必修初期研修修了後の進路の動向が、長期的に今後どのように変化してゆくのかは全くわからないが、大学病院が医師供給元の役割を果たし続けてゆくことが今後はだんだん難しくなってゆくことも予想される。
****** 産経新聞、2006年5月24日
臨床研修医 3割、進路を変更 小児科希望は微増
医師の新臨床研修制度の一期生として、今春、二年間の必修初期臨床研修を終えた研修医の三分の一が、研修中に進みたい診療科を変更していたことが二十三日、厚生労働省の中間まとめで分かった。厚労省は「進路を固めていない研修医は多く、診療内容に興味を持たせる研修の工夫が進路を分ける」とみている。
調査は初期研修を修了した研修医約七千三百人に実施。二千五百人分(34%)について中間的にまとめた。
研修修了後の進路割合は内科14・4%、外科8・5%、小児科8・4%、麻酔科6・4%、産婦人科4・8%、皮膚科3・9%など。平成十四年の医師調査時の二十歳代の医師の診療科別割合に比べ、約10ポイント減った内科以外は、大きな変化はなく、小児科は1・6ポイントの微増だった。
勤務の忙しさが指摘されている診療科について進路変更の理由(複数回答)を分析したところ、小児科から他科へ進路変更した人の場合、他科に興味がわいた80・6%▽小児科が大変だと思ったから30・6%▽興味がそがれたから29・0%-だった。
また、産婦人科については、あきらめた人と新たに希望した人がほぼ同数いた。
(以下略)
(産経新聞、2006年5月24日)
「我々の時も苦難に耐えて頑張ったんだから、お前たちも同じように苦難に耐えて頑張れ!」などと言っても誰もついては来ないと思う。
次世代の人たちが、楽しく燃え尽きないで産婦人科を続けていけるような仕組みに作り変える必要があると思います。
大学病院では
検査申し込み、検査物品の準備、検査への搬送を医者が全て行います。
採血・注射も全て医者が行います。
ひどいところになると患者の便回数、尿回数まで医者がチェックします。
それなのに医者の給与・退職金は激安、ボーナスなし、保険なし、
その一方で、仕事が少なく休みの保障のある事務・看護師の給与が自分たちの数倍、掃除のおばちゃんにすら退職金の額で負け、
彼らにでかい顔をされてしまうのですから、
この現実を実際に体験してみて嫌気がさすのだと思います。
私は大学病院所属で研修をしており、協力病院として市中病院へ行かされた科いくつかもありますが
こと「教育」という点に関しては、やはり医師が多く、正しいデータに基づいた指導をしていただけるのは大学のほうである気がします。
非常に仕事の出来る先生、ものすごい知能をお持ちの先生方が
一年目の看護師以下の待遇で家庭を犠牲にして働かれる姿は美しく、尊敬しますが
自分がそうなれるか、と考えるとかなり躊躇してしまいます。
大学病院の看護師の待遇が良すぎる、という批判も某巨大掲示板でみられますが
こと給与という点に関しては大学病院看護師くらいの待遇が妥当だと思います。
それをやると医師の待遇を犠牲にせざるをえなくなる、今の報酬制度が間違いなのだと思います。
ひよこ医師様
大学病院の医師の給料が安すぎるのは同感です。教育職俸給表が適用っていうのもふざけた話だと思います。責任ある仕事を期待するにはそれなりの報酬は必要だと思います。
ただ、待遇が悪いというところに以下のものがあがるのが理解できません。
>検査申し込み、検査物品の準備、検査への搬送を医者が全て行います。
>採血・注射も全て医者が行います。
>ひどいところになると患者の便回数、尿回数まで医者がチェックします。
内容にもよるかも知れませんが、最終的責任は医師が負うとされている以上、研修期間中に検査や注射の方法やシステムを理解しておくことは重要だと思います。知らなかったでは済まされません。
注射はしばらくしないと腕は落ちますよね?重症の方が集まる大学病院で本来医療行為の主となるはずの医師が鈍っていて血管確保できませんでしたとは言えないのではないでしょうか。
医学的に便回数、尿回数のチェックは全くしなくていい科の方が少ないと思いますが…。重要なウェイトを占めるところは、医師がチェックするのも当然ではないでしょうか。
ひよこ医師様が考えておられる状況と異なるようでしたら大変失礼なのですが、「待遇が悪い」ようには思えないのですが。
最後にどうしても引っかかってしまうのですが、
>彼らにでかい顔をされてしまうのですから、
少なくとも私はベテランの看護助手さんや事務の方には頭が上がりません。同じスタッフとして働いていますし、少なからず私の未熟さの尻ぬぐいをして頂いています。堂々としていて当然ではないでしょうか。
研修中の人間が(どんな職種・経歴にせよ)、まともに働いているスタッフよりでかい顔をしていることは普通ではないと思います。
本題とは随分離れてしまいまして申し訳ございません。
科や病院にもよるかもしれませんが既存の大学の研修医のシステムは「そばやの湯切り」をしていれば「会席料理がつくれるようになる」と思わせるようなものだと思います。あまりマスコミには報道されませんが、今大学病院での研修が避けられる大きな原因の一つであることは確かです。
でかい顔のくだりは言いすぎかもしれませんが、ひよこ医師さんのかかれたことはおおかれすくなかれ大学病院で働く医師が思うことだと思います。
私には、上記助産師さんが何を理解できない
のか、理解できません。
上記以外に、至急採血の検体を検査室に
運んだり、オペ伝票をオペ室に運んだりという
ような仕事も、我々は研修医時代に大学で
やらされていました。
本来、ヘルパーさんのお仕事のはずですが。
私が看護職の視点で申し上げたいのは、「医師としての本来の職務」に医療チームのリーダーとしての役割があり、本来看護師や助手さんやクロークさんの仕事であっても、研修中にしてみることは適切な采配を行う上で重要ではないかということです。患者様の為にいつ誰が何を行うのが最善か、それらがどれだけ資源(時間を含めて)を消費するのか、一分一秒を争う場面でも冷静に判断できることも医師の重要な資質だと思っています。
患者様の輸送など、コミュニケーションの機会になりますから、全く知識のない方に対し説明をどう行っていくか理解する上では良いのではと思います(本来は看護として譲りたくない業務ですが)。患者様も研修医よりベテラン医師に診て欲しいのが本音ですが、そうやって身近で働いてもらえることが最も信頼に繋がると思います。
やはり、医師としての視点でみると、本来の医業で忙しい中にそれらの業務が入るのは「待遇が悪い」ことになるのでしょうか…。
もちろん、本来の医業よりもそれらが優先されてはならないと思いますし、いつまででもしなければならないのはその他の職種の専門化が出来ていないということでもあり大変問題だと思います。
上記の目的でしたら、一医師さんが述べられているように、1ヶ月などと期間を決めて、業務を行うコメディカルについて研修を行えばよいことです。大学病院以外の病院でコメディカルの方々が普通に行う業務が、医師の日常業務に組み込まれ、研修医の存在がなければ病棟業務が回らなくなるような現状は明らかにおかしいと思います。医師の能力決定に重要な、初期研修の2年間を、医師から見たら雑務でしかないことですり減らし、医師の能力低下を来すのは本末転倒です。
>患者様の輸送など、コミュニケーションの機会になりますから、全く知識のない方に対し説明をどう行っていくか理解する上では良いのではと思います
すいません。おっしゃる意味が全く理解できないので、補足をお願いします。
へっぽこ助産師さんの言っていることは、仕事を医師側に押し付ける屁理屈にしか聞こえませんし、研修先を決める学生の多くがそう思っているから、大学に研修医が寄り付かなくなっているのです。
私も今現在の研修医の方々の勤務条件で良いとは考えておりません。最低限の労働条件の整備はもとより、医業優先は守られなければならず、雑務の”全て”が研修医の仕事と位置づけられているのは問題だと思います。
しかし、雑務を「待遇が悪い」と切り捨て、ない方が待遇が良いというのはやはり疑問を感じます。
例えば、夜間緊急帝王切開時など人手がないので、ベテラン医師ほど手術室への連絡やついでに検体出しなど状況をみて効率よく回すためにさりげなく雑務をしてくださり、実際早いです。’緊急帝王切開’の全体を把握しているからこそできることだと思います。コメディカルの仕事を知るために研修期間を設けるのも良いとですが、短期間断片的についてまわるだけになってしまうと、さらに無駄な時間だと感じるかもしれませんね。(この辺りはその病院の教育方針だと思います。)
接遇や医療者として、医師としてのコミュニケーションスキルは患者さまとの関わりの中でこそ鍛えられるものだと思います。
検査輸送など、いらいらエレベーターを待っていると単なる時間の無駄ですが、検査という目的を持って一緒に動いているときの方がベッドサイドで話を聞こうと対峙するより多くの情報を得られますから、看護としての視点を持っていれば有益な時間だと思っています。
研修医の方にとっても全身状態やADL、活動耐性を確認すると共に、コミュニケーションをとり、自分が関わった患者さまが説明した内容を理解されているか、疾患や検査に対する知識や意識はどうか、精神状態など探りを入れて(内容への配慮と周囲の状況の確認は必要ですが)ご自身の反省としたり、今後の対策を練るのにも役立つのではないでしょうか。その患者さまの心理の理解が「信頼できる先生」という評価に繋がってゆくと思います。何年もやる必要はないですが、ベッドサイドの雑務をこなすことで生まれる信頼もあり医師として学ぶこともあると思うのです。
以前私が勤務していた病院では、指導医の指示がない限り基本的にサーフロ挿入や輸送などの雑務は希望制だったのですが、積極的にコールを希望される先生(数少ないですが)は忙殺されていても記録されている内容が的確で接遇もよく、患者さまにも診察が丁寧で話の内容もわかりやすいと受けが良かったです。単に産科に対する意欲の問題なのかも知れませんが、研修医の方のその時の状況によって選択の余地があり、雑務も目的を持ってすれば有効に使えるということではないでしょうか。
未熟な私の個人的な思いですが、研修医という職分が業務に組み込まれていないせいもあり、産科の特殊性もあるかと思いますが、基本的に雑務は自分でやった方が早いですし、看護として自分でしたい思いもあるので、大変失礼な言い方ですが研修医の方がいないときの方が仕事は楽です(分娩時コールや分娩見学時の産婦さまへの対応が助産師の仕事なのを負担に感じるのもありますが)。看護は看護師が、助産は助産師が責任をもってすべきことであり、それらの仕事を放棄して研修医の方に押しつけるつもりは全くありません。