・臍帯の構造
臍帯内には、2本の臍動脈と1本の臍静脈があり、その間をWharton膠質が埋めている。
周囲は羊膜鞘で覆われている。
臍動脈:胎児側から胎盤側へ静脈血を運ぶ。
臍静脈:胎盤の絨毛間腔にて動脈血化された血液を胎児側に運ぶ。
Wharton膠質:血管を包みこみ、臍帯圧迫から血管を保護する。
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・単一臍動脈
臍動脈の一次的無形成や二次的委縮によって生じるとされる。
全出産の約1%に認めるとされる。
胎児奇形(腎・泌尿器科系や心奇形)、染色体異常(18トリソミー)および子宮内胎児発育遅延の合併頻度が高い。
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・臍帯過捻転
臍帯の捻転が過剰となると血流障害、特に静脈のうっ血を生じやすく、子宮内胎児発育遅延や胎児死亡をきたすとされる。
(日本産婦人科医会研修ノートNo.76より)
捻転のピッチ=L/R
捻転のピッチが2.0 未満の場合を過捻転とした。
臍帯過捻転のために臍静脈に血流うっ滞が発生し、臍帯全体のコンプライアンスが低下して羊水中でループ状やアーチ状に緊張して見られる臍帯。
(日本産婦人科医会研修ノートNo.76より)
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・臍帯卵膜付着(velamentous insertion of the cord)
臍血管が卵膜に付着した場合、Wharton膠質が欠損しており、物理的圧迫により容易に血流障害を生じることから、子宮内胎児発育遅延や胎児死亡の危険性が高いとされる。
特に卵膜を走行する血管が内子宮口に存在するものを前置血管(vasa praevia)と呼び、分娩進行中に臍帯の血流障害や断裂を生じる危険性が高いことから、分娩は帝王切開術が行われる。
ただし、胎児の心臓疾患をはじめとした超音波検査による精査の必要はあると思います。また、胎児に特別な病気がなくても、胎児発育不全や、分娩中の胎児機能不全が発症する場合もあり得ます。従って、胎児の発育診断は繰り返し受ける必要がありますし、分娩中の胎児心拍数モニタリングで異常所見が出れば緊急帝王切開となりますので、緊急帝王切開のできる施設、新生児医療ができる施設での分娩が推奨されます。