ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

次世代への継承

2011年02月05日 | 地域周産期医療

地方の公的地域中核病院の産婦人科が次世代に継承されるためには、医師供給元である大学病院と良好な協力関係を維持していくことが最も重要だと思います。

地方だからといって、医療レベルが都会よりも低いなどということは許されません。大学病院の医師たちと常に緊密に連携し、地方病院でも最新の標準的医療を提供し続ける必要があります。

また、地方の一つの病院だけで、初期研修から専門研修まですべて完結するのは無理です。指導医、中堅医師、後期研修医、初期研修医、医学生の臨床実習など、それぞれのレベルで大学病院との人事交流、協力関係を活発化することが非常に重要です。

大学病院と緊密に連携し、最新の標準医療を地域住民に提供し続けるのと同時に、次世代の産婦人科医を育成するための研修の場を提供し続ける地道な努力によって、地域の産婦人科医療が次世代に継承されると思います。

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個人経営の産婦人科医院が次世代に継承されるためには、子育て経過中に、例えば以下のような諸条件を数年ごとに次々にクリアしていく必要があります。

①御子息が医学部受験を決意する。
②御子息が医学部受験を突破する。
③御子息が医学部卒業後に専門診療科として産婦人科を選ぶ。
④御子息が産婦人科研修終了後に産婦人科医院を継承する。

親と子は全く別人格ですから、自分の子が将来どの分野に興味を持ち、何をやりたいと思うようになるのか?は全く予測できません。子どもも高校受験や大学受験の頃までは親の意見に多少は耳を傾けてくれるかもしれませんが、必ずしも親の夢と子の夢が一致するとも限りません。誰でも自分の人生は自分で切り開いていく必要があり、人生行路がどう展開していくのか?は偶然の出来事や人との出会いに依存することも多く、誰にも予測できません。

運よく親の期待通りに子どもが医学に興味を持ってくれて、医学部受験を決意し、無事に医学部合格を果たしてくれたとしても、その子が医学部卒業後に将来の専門として何科を選ぶのかは全く予測できません。運よく親の期待通りに産婦人科を選んでくれたとしても、産婦人科研修を終え、学位や専門医資格などを取得した後に、故郷に戻って来て親の経営する医院を継承してくれるかどうか?は全く予測できません。もしかしたら、大学に残って研究一筋の人生を選ぶようなこともあるかもしれませんし、大病院で最先端医療に従事し続ける道を選ぶようなこともあるかもしれません。


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