ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

加藤先生の初公判後のインタビュー記事

2007年01月29日 | 大野病院事件

コメント(私見):

子持ちししゃも様のコメントからの情報で、加藤先生のインタービュー記事がネット上に掲載されてました。

気力体力とも人生で一番充実している39歳の医師が、長期間にわたり臨床の現場から離れざるを得ない状況に置かれ、本当につらい日々だと思います。これは、地域にとっても、本当に大きな損失だと思います。

思えば、私も同じ年齢の頃は、加藤先生と同様に僻地の一人医長でした。毎日毎日、外科や泌尿器科などの病院の同僚の先生方に手術の助手をお願いして緊急手術で明け暮れていました。忙しすぎて1週間以上にわたって1度も帰宅できず、自宅を守る家内から、「生きてる?」という電話がかかってきたこともありました。今回の裁判は他人事とは思えません。

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14 コメント

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初めて書き込みます。管理人さま、いつも情報をき... (Kafka)
2007-01-30 09:50:39
某大学病院勤務の卒後14年目の医師です。大学を七年間ほど離れていてから数年前に戻りました。七年というと医学部の学生が一回転してしまう期間ですけれど、この間に学生気質が少し変わったように感じています。かつては白衣を着て聴診器を持ってというスタイルに対する潜在的なあこがれが多くの学生にあって、それが少々の労働条件の悪さに目をつぶってでも外科等のメジャーな科へ行かせる動機となっていたように思うのですが、最近は非常にドライというかある意味とても計算高くなっていて、労働条件が悪い科には行きたがりません。劣悪な労働条件を長らく放置しておいた医局に非があるのは確かなので、医局側が困るのはある意味自業自得なのですが、結局最後にいちばん困るのは患者さん達なので、非常に由々しき状況になっていると感じています。他大学の先生方はどんな印象をお持ちでしょうか。

医師の育成には五年から十年はかかりますので、私は今後少なくともこの年数は患者さんにとって氷河期が続くだろうと予想しています。さらに、これは私の個人的な予想ですが、恐らく現在の保健医療制度を一部崩して自由診療を取り入れないと、この流れを変えるのは難しいと思います。金持ちと貧乏人に差を付けず皆が同じ医療を同じ負担で受けられるというのは概念としては非常に素晴らしいのですが、現実には国家財政が破綻寸前の今となってはこのシステムをこのまま維持するのはもう無理でしょう。負担が現場の医師に行って、結果的に皆が撤退しつつあり、それが患者さんにのし掛かって来はじめたというのが現状だと思います。

海外の移植医療(当然自費診療です)を受けに行くために募金活動までするのが美談になる一方で、国内では自由診療を解禁というと、貧乏人を差別するのか、という意見が出てくるのが、私には理解できません。国家が最低限の医療を保証することは必要でしょうが、最高レベルまで国家に規定される必要はないと思っています。非保健自由診療さえ解禁すれば、自由競争が始まって、医療の質が上がるのは確実です。金を払ってでも他人より良い医療を受けたいというのはもちろんエゴですが、そういうエゴを認めることができるかどうかが鍵でしょう。募金をしてまで海外で移植を受けるなんて、究極のエゴです。それが美談になるなら、国内のエゴも正直に受け入れないと。人間は本質的にエゴイスティックなものです。

国民は皆が平等な医療をといいつつ、移植等のより高いレベルの医療を国外で受けることを是認しています。その国では皆が平等に同じ負担で同じレベルの医療を受けられると思っているのでしょうか。

こういった矛盾を皆が考える時期が来ていると思います。
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周産期医として時々コメントしていましたが、周産... (shu)
2007-01-30 14:32:34
以後よろしくお願いします。

さて、癒着胎盤の裁判の行方がどうなるかですが、注意深く見守りたいです。
しかし、国の対策が、こんなにお産の現場が逼迫した状況にもかかわらず、未だに数少ないのは何ともいえません。

1,過失補償制度の創設
2,・・・・

他に出てきません。なにかありましたっけ?
今回の裁判もそうだし、今まで管理人様が上げてくださった産科医療の記事もそうですが、産婦人科にマイナスの材料が本当に多いです。
国も、もっと国全体をゆるがすような対策をとらないと、誰も産婦人科に対して興味をもたないです。
この裁判で万一有罪となったときは、産科医療が焼け野原となるときなのでしょう。そうならないように裁判官が無能でないことを祈ります。
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昨日「報道2001」で少子化特集をやっており、そこ... (暇人28号)
2007-01-30 14:34:24
その中で彼女はこんなとんでもない事を言っていました。

am7:46頃

「(少子化対策の一環として)出産一時金を35万に増やしたが、産婦人科医院が便乗値上げしてしまったため、少子化対策としての効果がなくなってしまった」

ーーーーーーーー

某サイトに書いてありました。現役の少子化担当大臣がこのような発言をしてるんですよ。どう思いますか?

私は頭にきたんで高市早苗議員のホームページに直接抗議のメールしました。

http://rep.sanae.gr.jp/index_goiken.html
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高市氏って奈良県選出なんですね。HP見ましたが「... (地方小児科医)
2007-01-30 15:25:30
高市氏って奈良県選出なんですね。HP見ましたが「奈良の素晴らしさを磨きます」って書いてありますが、奈良県の周産期医療問題には触れてませんね。少子化担当大臣なのに・・・。その程度の認識だと言うことなんでしょう。男女は違えど柳沢氏と大差ないですね。学会・医会は反論しないのでしょうか?有事なんですから、もっとしっっかり反論なりしていって欲しいと思います。
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 はじめまして。一年ROMしていました。 (文系痴呆大学人@元石)
2007-01-30 18:42:36
 ココまで来るまでに、いくらなんでも政府は手を打つと思っていましたが・・、しませんでした。
しかし、実に情けない状況ですね。悲しいです。

Kafka様
 「国家財政が破綻寸前」は、財務省筋のプロパガンダではないかと考えます。

 なぜならば、もし、国家財政が破綻寸前ならば、国債の金利が必ず上昇(時価は下落)するはずだからです。
アルゼンチン・インドネシア・タイなどが1970年代のIFMショックのときそうでした。

 経済学者ではありませんので、かなり不正確な認識であることをお許しください。

 ところが、日本の国債の金利は低い(価格が安定)ままです。つまり、日本経済は世界的に見て信用されているのです。

 さて話替わって、
高速道路には、2kmごとに「非常電話」が設置されています。一機で、250万円だそうです。ケータイのアンテナを数kmごとに設置するのと、どちらが高価でしょう?
男女参画事業の予算は、年間8兆円とか。

それらと、通常の医療と、どちらが重要でしょう?

 個人的な意見で恐縮ですが、破綻しそうな国家は上記のそういう事業は関心が薄くなりませんか?
優先度が医療に勝るのかどうか?

 私は悲しいかな、判断に窮します。

 不当な意見であるとご判断なされば削除してください。

 では、しばらく元のROMに戻らせていただきます。
 
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日経メディカル・オンラインの橋本編集長、がんば... (cosmos2000)
2007-01-31 04:00:52
日経メディカル・オンラインの橋本編集長、がんばってますね。実は私は彼女に取材された経験があり、「東大の理学部を出てから*年です」と聞いたので「若いんですね」とほかの記者に言ったところ「わざと“大学院”を言わないんですよ(困ったもんだ)」と返されたのを懐かしい思いで記事を拝見しました。遅れましたが、整理された情報と、適切なコメントをいつも拝見し、感謝しています。
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モトけんさんブログ(情報提供田舎の消化器外科医... (ましいい)
2007-01-31 13:16:15
初公判後に会見http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004890
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 ずっと、ROMのつもりでしたので、はじめてコ... (アレク)
2007-02-01 17:57:02
 本題とあまり関係ないためか、皆様スルーなされているようですが、非医療関係者の方が誤解なさると困ると思いまして、老婆心ながら指摘させていただきます。

Kafka様
 共感できる部分も多々ありますが、

>非保健自由診療さえ解禁すれば、

とのことですが、日本では自由診療は禁止されておりません。今すぐにでも、自由診療は可能です。
 禁止されているのは、混合診療です。
 Kafka様の文脈のなかで使用されている「自由診療」は、正確には「混合診療」のことをおっしゃられているのではないでしょうか?あるいは、まったく別の制度下での「自由診療」のことなのでしょうか?
 
 
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先日、母親学級に参加してきた妊婦です。 (夏出産予定の妊婦です)
2007-02-01 18:44:31
出産の危険、については軽く流した程度でしたが、院長先生が戦後すぐの頃の母体死亡率と最近の数字を比べていて、医療の発達が無ければ出産というのは命の危機と隣り合わせということなのだな、と実感しました。

逆に言えば、この母親学級で先生が少しでもふれなければ、出産というのは安全なのが当たり前だと思っていたかもしれません。テキストには1ページほど、さらっと危険な場合の説明があっただけでした。

今回の事件を見ていて、もっと、マスコミも含め、出産に伴う危険性、例えば通常分娩の場合と帝王切開それぞれの危険性等を周知徹底させてほしいと思いました。
あんまり分厚い冊子になると読まない人も出てくるかもしれませんが、脅すぐらいでないとみんな危険に関して危機感を抱かないと思います。

ちなみに、私の元職場の同僚、20代30代あわせて現在私も含め4人妊娠中です。全女性従業員11人、独身・新婚あわせて7人しかいないのに。4/7の確率って・・・。ちょっとしたベビーブームです。

先生方、大変だと思いますが、よろしくお願いしますね。
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文系痴呆大学人@元石さま (Kafka)
2007-02-01 22:34:47
国家財政についてはいろいろ個人的には意見があるのですが、ここの趣旨に反しますので意見を差し控えます。と申しますか、くだらないことを書いたと反省しております。皆さまごめんなさい。

アレクさま
ご指摘の通り、私は混合診療のつもりで書いていました。保険診療と自由診療の混合という意味です。それが許されないが故に、医療側がどんどん追い詰められてきているという実感を持っています。

ですが、いずれにせよおかしなタイミングで話題にやや反したことを書いたと反省しております。結果的にこの福島の事件から大切な議論がそれることを恐れます。管理人さま、ここをお読みになる方々、申し訳ありませんでした。
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