紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

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まだまだ大人し目の演奏なんだけど…チャールズ・ミンガス~ジャズ・コンポーザーズ・ワーク・ショップ

2008-01-10 22:53:53 | ジャズ・ベース
今日は、超名作、問題作の「直立猿人」発表前の、「怒れるミンガス」では無い、非常に和声を重要視した、演奏で構成されているアルバムです。

特に、後に「マイルス・デイヴィス」のプロデューサーとして、名を馳せる「テオ・マセロ」がサックス奏者として参加している所も、このアルバムが知的なムードを醸し出す要因となっています。

「ミンガス」のアルバムとしては、非常に理論的で、計算された調和的な演奏ですが、「ミンガス」ミュージックには、実はこう言う知的で繊細な部分が根本に有る事を分って欲しいんです。

アルバムタイトル…ジャズ・コンポーザーズ・ワーク・ショップ

パーソネル…リーダー;チャールズ・ミンガス(b)
      テオ・マセロ(ts、bs)5~8
      ジョージ・バロー(ts、bs)1~4、9
      ジョン・ラ・ポータ(cl、as)1~4、9
      マル・ウォルドロン(p)1~4、9
      ウォーリー・シリロ(p)5~8
      ケニー・クラーク(ds)5~8
      ルディ・ニコルス(ds)1~4、9

曲目…1.パープル・ハート、2.グロゴリアン聖歌、3.ユーロジー・フォー・ルディ・ウィリアムス、4.ティー・フォー・トゥ、5.スモッグ・L・A、6.レベル・セヴン、7.トランシーズン、8.ローズ・ゼラニウム、9.ゲッティング・トゥゲザー

1954年10月31日(1~4、9曲目)、1955年1月30日(5~8曲目)録音

原盤…SAVOY MG-12059  発売…日本コロムビア
CD番号…COCY-9839

演奏について…1曲目「パープル・ハート」…「ミンガス」らしからぬ、西海岸的なサウンドで始まり、「おや!」って思うんです。
「バロー」のバリトン・サックス、「ラ・ポータ」のクラリネットが絡み合う様に柔らかなサウンドを生み出し、「ニコルス」のドラムも前半は知的に、後半は「一発」派手にやってくれるんですが、いずれのメンツも中々の賢者ぶりを発揮しています。
当事者「ミンガス」だけは、怒ってはいませんが、野太いベースで皆をグイグイとドライブして行きます。

2曲目「グレゴリアン聖歌」…このアルバムでも秀逸の聴き物の一つ。
「ミンガス」の畏怖を覚える程の深いベースのボウイングから序奏が始まる。
その後、相変わらず野太いベース音に導かれて、各人がソロを取るんですが、この統率力、編成の妙も真に見事です。
とても静かだが威厳のある一曲です。

3曲目「ユーロジー~」…これも遠目から、(オフマイク的な)録音効果も有ってか、彼方から聞こえてくる「バロー」のバリトン・サックス、「ラ・ポータ」のアルト・サックス(中途で他の楽器に持ち替えも有りますが…)が、ふんわりとした朝霧の様に少し霞んだ、音色でアドリブを演じて、そうだなぁ…朝もやの海上で、ラッパを吹いている様な雰囲気…或いは、夜霧の波止場に佇み、サックスを奏でるニヒルな裕次郎みたいな感じでしょうか?(例えが悪いかな?)
音は少ないながら、コツンコツンとブロック・コードを弾く「マル・ウォルドロン」も良い味を出しています。

4曲目「ティー・フォー・トゥ」…ハーモニー重視の一曲ですが、中間でソロを取る「ミンガス」の重厚感溢れるベース演奏が最高にカッコイイです。
「バロー」のバリトン・サックスと「ラ・ポータ」のクラリネットでのバトル的なハーモニーも良い感じで来てますが、中間でアドリブを演る「マル」が、「マル節」全開で弾く所は、ジャズ・ファンなら思わず眉が下がる事間違いなしです。
「マル」はやっぱり「マル」なんだよね!
全編では白人的なサウンドに対して、黒い「ミンガス」と「マル」の漆黒音色が逆に映えます。

5曲目「スモッグ・LA」…のっけから「シリロ」の華麗なピアノ・ソロが冴え渡る。
「クラーク」の乾いた粘着系?のペタペタ・ブラシも同様に冴えて、それをバックに「マセロ」がサックスを気持ち良く吹きます。

6曲目「レベル・セヴン」…この曲も「シリロ」の小洒落たピアノ演奏と、ミンガスのガッツリベースをバックに「マセロ」がソロを演るんですが、「シリロ」と言うピアニスト…侮れないんですよ。
「レッド・ガーランド」が弾いている様な、良い感じの演奏なんです。
個人的には「マル・ウォルドロン」の漆黒色のピアノ…大、大好きなんですが、この編成で、「ミンガス」が目指すサウンドには、ハッキリ言って「シリロ」の方が合うと思います。

7曲目「トランシーズン」…ここでも「シリロ」…好フレーズ連発の、goodなソロ、アドリブを演るんですよ。
「ミンガス」と「クラーク」のサポートも最高で、ここでのピアノ・トリオでなされる演奏が最も聴き所かも知れません。
この3人で演っているピアノ・トリオ・アルバム…無いのかなぁ?
それぐらい魅惑的な演奏なんですね。
それを分っているのか?流石に「マセロ」…ソロイストで有りながら、サイドメン的にでしゃばらずに吹くんですよ。
この辺り、後の名プロデューサーの片鱗?が伺えます。(大爆笑)

8曲目「ローズ・ゼラニウム」…ここでも主役は「シリロ」です。って言うか、5曲目からこの曲まで、実は「シリロ」をフューチャーしたアルバム作成したらしいです。※今、ライナー・ノーツ読んでる私は何?誰?何処?って感じですか?
生意気にも、普段、よほど知りたい情報以外は、ライナー・ノートをあてにしないしない?性質なのでゴメンナサイ!
「シリロ」…当時は「レニー・トリスターノ」から影響を受けて、かなり有望な作曲家&ピアニストだった(らしい)。
どうりで、「シリロ」の絡んでる演奏&曲目…とても魅力的で、ここでの演奏も時代を先取りして、まるで「ハービー・ハンコック」の様に知的で切れた演奏をしています。

9曲目「ゲッティング・トゥゲザー」…これは「ニコルス」の派出目のドラムに引っ張られて、「ラ・ポータ」の華麗なクラリネットをメイン演奏に、「マセロ」「バロー」の2管が万華鏡の様に絡まる、カラフルな1曲です。
「マセロ」のバリトン、「バロー」のテナー演奏も好フレーズが多く、この煌びやかな演奏も良いですよ!


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