紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

飛切り楽しいジャズ・ボッサ・アルバム、「オルフェ」~ロン・カーター

2007-05-13 16:36:50 | ジャズ・ベース
今日は、ロン・カーターがリーダーのボサノヴァ・アルバムを紹介しましょう。

ボサ・ノヴァの名曲とロン・カーターのオリジナル曲や編曲があり、とても聴き易く心地よいアルバムに仕上がっています。

アルバムタイトル…「オルフェ」

パーソネル…リーダー;ロン・カーター(b)
      ヒューストン・パーソン(ts)
      ビル・フリーゼル(g)
      スティーヴン・スコット(p)
      ペイトン・クロスリー(ds)
      スティーヴ・クルーン(perc)
   ロン・カーター・セクステット 
              
曲目…1.サウダージ、2.黒いオルフェ、3.日没、4.家路、5.1:17スペシャル、6.オブリガード、7.オルフェのサンバ 

1992年2月録音

演奏(曲)について…まず演奏全般に言えることだが、リーダーの「カーター」は自分が普段率いているコンボと言う事もあり、あくまで「バン・マス」的な立場でリズムを推進し、統率を取る事に終始して、ベースのソロをフューチャーすることは少ない。
まぁ、解説を読まさせて頂くと、カーター自身の考えが最初からそう言うコンセプトだったとの事。
※唯一例外的にソロを多く取っているのは、ラストのオルフェのサンバのみ。

さて、推薦曲などを解説して行きましょう。

まず冒頭の「サウダージ」は何と言ってもカーターの作曲自体が素晴らしい。
ボサ・ノヴァなのだが、映画音楽の挿入歌の様な、切なさと甘美さを備えた名曲であり、そして演奏的にも全曲のベスト1であろう。
演奏について言うと、テナーのパーソンが品の良い哀愁メロディを奏でるのも素晴らしいが、ピアノのスコットが一瞬キース?と思わせるようなロマンティックなメロディ、シングルトーンを奏でて、追従して何とハミングもしている。(うなり声まで、まじでキース・ジャレットソックリだぁ)

次いで2曲目「黒いオルフェ」も60年代の元祖ボサ・ノヴァ・ブームのゲッツの名盤を思い起こさせる名演。
ここでは、ギターのフリーゼルが最もセンス良いコードプレイをしており、そこにパーソンが品良く絡んでくる。
二人が、悲劇の主人公二人を代弁する様な美しい演奏である。

3曲目と6曲目は、これぞブラジリアン・ミュージックと言えそうな、楽しさ一杯の演奏です。
3曲目は、ナベサダのブラジル音楽シリーズ(カリフォルニア・シャワーとかオレンジ・エキスプレスなんか)を知っておられれば、ニュアンスとイメージは分かると思います。
ここでの主役はパーカッションのクルーンとフリーゼルです。
6曲目も同様の演奏で、クルーンとスコットが良い味を出してます。

そして侮れないのが、ドヴォルザークの有名曲、新世界からの2楽章「家路」をモチーフとした、ボサ・ノヴァの「家路」
本当に夕陽に向かって、波打ち際の砂浜を歩いて帰る風景が目に浮かぶ程、絵画的で美しい演奏です。

5曲目の「1:17スペシャル」はこのアルバム中一番ジャージーでブルージーな演奏。
ミディアムテンポだが、演奏に非常にグルーブ感があり、カーター自身が最も良い演奏をしているのはこの曲だと思う。
わずかだが、カーターのアドリブ・パートも録音している。

最後に本人のベースが前面にフューチャーされた7曲目だが、ソロ演奏のフレーズは素晴らしいのだが、年のせいもあるかも知れないが、ベースの音自体があまり良くないと思える。
昔からジャズ・ベーシストの中では最も「ほのぼのトーン系の人」ではあるのだが、録音年から言って、録音が悪いなどとは到底考えにくいので、カーターのパワーが無くなってきたのか、指の押さえが弱くなってしまったのか、いずれにしてもちょっと残念です。

しかしながら、名コンボリーダーとしては申し分ない素晴らしいアルバムです。









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