紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

これも幻の名盤の一つでした…ソニー・クリス~サタデイ・モーニング

2008-01-08 00:07:55 | ジャズ・アルト・サックス
今日は、かつて幻の名盤の一つであった、「ソニー・クリス」が、ザナドゥ・レーベルから出した、「サタデイ・モーニング」を紹介しましょう。

「クリス」の良く歌う、饒舌アルトの冴えも素晴らしいのは勿論の事、バックのメンツも行けてますよ。
ピアニストは「バリー・ハリス」、ベースは、ウォーキング・ベースの名人、「リロイ・ビネガー」、そしてドラムは「レニー・マクブラウン」と言う、渋い名人が強固に「クリス」をサポートしてくれちゃってます。

曲も聴き易い名曲が多く、多くの方にお薦めしたいアルバムです。

アルバムタイトル…サタデイ・モーニング

パーソネル…リーダー;ソニー・クリス(as)
      バリー・ハリス(p)
      リロイ・ビネガー(b)
      レニー・マクブラウン(ds)

曲目…1.エンジェル・アイズ、2.ティン・ティン・ディオ、3.ジェニーズ・ニーズ、4.サタデイ・モーニング、5.マイ・ハート・ストゥッド・スティル、6.アンティル・ザ・リアル・シング・カムズ・アロング

1975年3月1日 録音

原盤…XANADU 105   発売…クラウン・レコード
CD番号…CRCJ-5001

演奏について…まず、冒頭の1曲目「エンジェル・アイズ」から、お薦めだい。
「ハリス」の悲しげなマイナー・トーンの序奏から、聴く耳が立って、それに続いて「クリス」も更にディープで、憂いを纏ったアルト・サックスで、詩人の様に物語を綴る。
「ビネガー」のカッツリした実直なベース演奏と、ブラシ&シンバルで影の様に「クリス」の演奏を支える「マクブラウン」のバック二人も超名演…。
最初から、これぞワンホーンの魅力が凝縮された演奏に大満足します。
中間の「ハリス」のシングル・トーンが更に深く心の悲しさを抉り、「ハリス」が最後に「泣き節」で止めを差す。
最初から全開バリバリの名演にKOですよ。

2曲目「ティン・ティン・ディオ」…私、大、大好きなラテン・リズムで「マクブラウン」がリズムを起こすと、続く「ビネガー」のぶっといガッツリ・ベースが思い切りはまる。
メロディを吹く「クリス」は相変わらず絶好調、泣き、こぶし、感情を入れ捲り、日本人の琴線に触れるアドリブを演ってくれます。
「ハリス」のソロも美演で、曲に彩りを副えてくれますよ。
しかし、何度も言いますが、この曲でのベスト演奏は、とにかく「ビネガー」の野太い安定感抜群のベースにつきます。
ジャズはベースよければ全て良しと言っても過言では有りません。
「リロイ・ビネガー」最高です!!

3曲目「ジェニーズ・ニーズ」…この曲は、とてもシンプルなブルース曲で、堅実なピアノ・トリオをバックに、「クリス」が気持ち良く、アルトを吹き切ります。
余り虚飾せずに、まじにストレートで男っぽい表現で、「クリス」の別の魅力が発見できます。
中途で「ハリス」が、前2曲のロマンティック&ナイーブな表現とは異なったブルーズでのピアノ演奏も、中々乙ですね。
最後もテーマ・メロディを「クリス」がシンプルに吹いてフィニッシュと相成る。

4曲目「サタデイ・モーニング」…いよいよタイトル曲、真打の登場に場内が沸く。(勝手に妄想していますぜ!)
この曲のテーマも物悲しい、都会のジャズ演歌で、「クリス」の「こぶし」の吹き廻しは絶妙で壷を直撃する。
受ける「ハリス」のアドリブも、「クリス」と一体化されたエレジーである。
相変わらず、「ビネガー」と「マクブラウン」は、実直にラインを刻むだけだが、これが非常に漢の一途な仕事ぶりでいかすんです。
※しかし、中間で一寸だけ、「ビネガー」がぶっとい音でソロを演ってくれて、これが又良いんだよ~。
最後の〆も、臭いぐらい劇的に舞台設定を3人がしてくれて、「クリス」がきっちりと千両役者として、纏めてくれます。
最高!!です。気持ち良いです。

5曲目「マイ・ハート~」…前3曲とは異なって、寛ぎ系メジャー・チューンです。
この曲は、「クリス・レス」のピアノ・トリオで曲が演奏され、「ハリス」がかなり装飾を付けた煌びやかなアドリブを弾き、かつての「ハリス」が演っていた、トリオ・アルバムがデジャ・ヴ様に脳裏をよぎるんですよ。
ここでもソロを演ってくれる「ビネガー」のベースが、分厚いサウンドを生み出し、「クリス・レス」の寂しさは微塵も感じさせない演奏に仕上がっています。

ラストの「アンティル・ザ~」…この曲もラストを飾るには、とても可憐でライトな雰囲気の曲です。
伝統的な4ビートで、終始ブラシ・ワークで「マクブラウン」がリズムを刻み、「ビネガー」もこつこつラインを刻む。
「クリス」は、最後のこの曲は楽しんでいるかの様に、非常に肩の力が抜けた、大人の演奏が渋かっこいいですね。
最初から最後まで、「泣き節」で通さない所が、逆に好感が持てますよね。

演歌を思わせる、1~4曲目の陰鬱な泣き節と、ライトで寛いだ5&6曲目の対比がとても面白く、聴き比べもgoodなアルバムです。
非常にお薦めの1枚です。


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2 コメント

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レスどうもです。 (えりっく$Φ)
2008-01-08 22:56:09
さっそくのレスありがとうございます。
ライナー・ノーツより、ピアノ・トリオが何で入っているか?
実は明確な答が有りません。(ゴメンナサイ)
しかし、そこから5曲目「マイ・ハート~」に関する抜粋を明記しておきます。

ライナー・ノーツ 著者 後藤誠 氏

5マイ・ハート・ストゥッド・スティル

1927年にロンドンでのミュージカル「ワン・ダム・シング・フォー・アナザー」のために書かれたナンバーで、リチャード・ロジャース(曲)=ロレンツ・ハート(詞)の名コンビによって作られた。
以下~余談だが、「アルト奏者のアルバムにピアノ・トリオのトラックがある」と言う配慮に違和感を持つ人がいるかもしれない。
しかし、ぼくはこう言った編成に並々ならぬ愛着を感じてしまう。
もしかすると、クリスがスタジオ入りする前に録音されたものかもしれないし、あるいはクリスがちょっと休憩中にレコーディングしたのではないか、と自分勝手な想像すら働かせてしまう。
そう考えると、骨っぽいハリスの演奏をミキシング・ルームで見守っているクリスの姿が目に浮かんでくるのだ。
アルバム制作者ドン・シュリッテンのセンスは、ジャズ・ファンの気持ちをよく捉えている。
以上 加持さん、参考になりましたでしょうか?
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これは渋くて良いものを。 (加持顕)
2008-01-08 21:12:49
渋い!XANADUレーベルの中では珍しく、心躍るアルバムですね。
やはり『エンジェル・アイズ』が一番かな・・・あと、何でピアノ・トリオだけのトラックが入っているのか知りたいので、経緯(?)をライナーに書いてあったら教えて下さーい。
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