紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

今日も飛切りgoodな1枚です。エリック・ドルフィー~ファー・クライ

2007-06-25 18:44:32 | エリック・ドルフィー
皆様、最近沢山のコメトを頂きありがとうございます。
今日は、日ごろの感謝の気持ちを込めて、飛切りの1枚を紹介します。

アルバムタイトル…「ファー・クライ」
      副題…「ファー・クライ・ウィズ・ブッカー・リトル」

パーソネル…リーダー;エリック・ドルフィー(as、bcl、fl)
      ブッカー・リトル(ts)
      ジャッキー・バイヤード(p)
      ロン・カーター(b)
      ロイ・ヘインズ(ds)

曲目…1.ミセス・パーカー・オブ・KC、2.オード・トゥ・チャーリー・パーカー、3.ファー・クライ、4.ミス・アン、5.レフト・アローン、6.テンダリー、7.イッツ・マジック、8.シリーン

1960年12月21日 NYC録音

演奏(曲)について…いつものセリフですが、まずメンバーの良さにどなたも納得でしょう。
彼等の演奏は一部メンバーが違いますが、以前「アット・ザ・ファイブ・スポット・VOL1」で紹介した事があるので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
ファイブ・スポットのライブ盤では、ピアノが「マル・ウォルドロン」だったのですが、今回のピアニスト「ジャッキーバイヤード」もマルと演奏がかなり似ていますので、このコンボにぴったりマッチをしています。

さて、演奏曲ですが、5曲目にサプライズな名曲が名を連ねていますね。
そう、「レフト・アローン」ですが、ここでの「ドルフィー」のフルート・プレイ1曲だけでもこのアルバムを聴く価値が充分にあろうと言う物ですが、それ以外の曲も名演奏ばかりで、本当に素晴らしいアルバムです。
では、詳細について少し解説しましょう。

まず、1曲目「ミセス・パーカー~」ですが、オープニングに相応しい構成がされていて、この1曲目で聴き手を引き込みます。
この曲はピアニストの「バイヤード」が「C・パーカー」への敬愛を込めて作曲したとの事で、(2曲目も同じコンセプトです)「リトル」のブリリアントなトランペットソロに対して、「ドルフィー」はバス・クラでいななき、他のプレイヤーも皆ソロを取っています。
「ジャッキー」はまるで「マル」が弾いているかのようなブロック・コード&若干はずし気味のシングル・トーンで、哀愁を感じさせ、「カーター」はボウイングを披露し、「ヘインズ」は華麗で重厚なドラムワークで魅了します。

2曲目「オード~」は一転、「ドルフィー」が今度はフルートで、いつもの如く研ぎ澄まされたソロを演じ、「リトル」は年齢に似合わず、ここでは抑制した渋いバラードプレイをします。
バック3人も非常に抑えた表現で、このグループは、前衛的なただの過激軍団ではない事を、技術の確かさも加わって、聴衆に知らしめています。

表題曲の3曲目、同じく「ドルフィー」作曲の名曲4曲目とも、フロントの2管二人の良さが際だつ演奏。
ここでは又もや、「リトル」が非常にブリリアントなトーンで吹ききり、リーダー「ドルフィー」に全く引けをとらない「天賦の才」を見せつける。

さて、お待ちかねの5曲目「レフトアローン」ですが、「ドルフィー」は非常に高貴で、原曲を過激には崩さないストレートな演奏をしている。
勿論、カデンツァに入ると、どこまでも飛翔する鳥のような、天空をさえずる音程・音色は見事としか言いようが無い。
ここでは「リトル」は休んでおり、バックの3人も非常に抑制した演奏で、「ドルフィー」の高貴さをバック・アップしている。
ドラムのヘインズは、殆どシンバルワークとハイハットに終始するのだが、空間の使い方が素晴らしく、この名演の影のMVPです。

6曲目「テンダリー」がまたまた筆舌し難い名演です。
ここで「ドルフィー」は優雅なスタンダードナンバーを、無伴奏で「アルト・サックス」で、素晴らしいアドリブソロを吹ききる。
ドルフィーの素晴らしさは、全く「コルトレーン」と同じで、過激で超絶技巧のアドリブを駆使できるテクニックだけでなく、下世話で甘くない、「誠にピュアで高貴なバラード」を吹く叙情性を持っているのが、私が「惚れる」アーティストたる理由です。

7曲目「イッツ~」もワン・ホーンのバラード演奏だが、ここでは「ドルフィー」は「バス・クラ」を使っているので、前曲よりは演奏に洒落や遊び心が見える。

8曲目「シリーン」はいかにも「ドルフィー」のオリジナルらしい曲で、ここでも「バス・クラ」を使用して前衛的なプレイをするが、「リトル」はがメロディアスで「健康的」なソロで対抗する。
「バイヤード」と「カーター」は非常に抑えたバックアップをするが、「ヘインズ」は、彼の境地らしい変則的なドラミングを奏でて、曲にスパイスを効かせているのが、隠し味と言えます。

とにかく、素晴らしいアルバムです。


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4 コメント

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真夜中過ぎにこんばんわ。 (加持顕)
2007-06-26 02:35:00
おっE.ドルフィーですね。

私、ドルフィーの「Prestig/New Jazz」での録音は、BOXセットでしかないので、他の作品もどんどん取り上げて下さい。

お話は変わりますが「YouTube」にはE.ドルフィーの映像が結構ありますねー(ご存知かもしれませんが・・・)。
J.コルトレーンとの競演はもちろん、C.ミンガス・バンドでの演奏、ヨーロッパ単独巡業の映像と興味深いものがごろごろしていましたので、数日前は、2時間位検索していました・・・。
それではー。
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これからも頑張ります。 (えりっく$Φ)
2007-06-26 22:26:49
加持さんいつもどうもです。
これから、トレーン、ドルフィーをメインに、特に「プレスティッジ・レーベル」でのアルバムを中心に紹介して行くように努力します。
追伸…この二人はサイドメン参加のものも、出来るだけ紹介して行きますよ。
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Unknown (pooh)
2007-06-27 21:15:58
こんばんは。はじめまして。
ナオさんの所から飛んできました。
私も、ドルフィー大好きですよー。コルトレーンよりも好きかも。それにこのアルバムも大好き。
本当に飛び切りの一枚!良い言葉ですね。
実は私も以前にちょこっと紹介しましたが。。
JAZZは初心者ですが、どちらかというとフリー系が好みです。
また、遊びに来ますね。
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poohさんはじめまして。 (えりっく$Φ)
2007-06-28 20:11:09
poohさんはじめまして。
コメントどうもありがとうございます。
フリー系ジャズがお好みですか…。
初心者と言いながら「通」ですね。
ただ、お気軽なジャズも実はとっても良いので、お薦めですよ。
このブログの推薦アルバムを、少しでもご参考にして頂けると嬉しいのですが。
是非、私もpoohさんのブログにも遊びに行かせて下さい。
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