<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

日中関係悪化による観光業界への影響【VJ推進会議から】

2012-10-25 | 尖閣問題

昨日、ここ上海で、第2回VJ推進会実務者会議が開催された。
この会議、訪日観光に関連する企業、団体、地方自治体などが情報交換を行う場として、JNTO(政府観光庁)、在上海日本総領事館が中心となって開催されているもの。
ちなみに、このVJとは「Visit Japan」の略。

定期的に開かれている会議だが、今回だけは昨今の情勢を反映して、会議室も満員御礼状態。
とりわけ、この会議ではビザ発給件数といった具体的な数値を盛り込んだ資料も配布されるため、参加者の需要も高かったのだろう。

この注目された査証発給件数の状況を見てみると・・・

当たり前ですが、やっぱり減っています。。。
もっとも、いくつか特徴がありますので、ざっと言及しようかと。

まず、今回配布された資料では、前年度との比較ではなく、2010年度との比較を行っていることに注意が必要。
これは、前年度、2011年3月に東日本大震災が発生した影響で、比較対象に適していないこと、2010年度は本年同様、9月に尖閣問題が発生したため状況が酷似していること等を考慮してのもの。

ということで、2010年度との比較で言うと、実際のところ、1~8月までの合計値は過去最高値を更新する勢いだった。
この傾向は、奇しくも2010年度と同じで、9月を境に急降下することになる。

9月単体では、全体で24.7%減、特に団体観光査証に至っては45.7%という大幅減を記録している。
ただ、この二つの数値を比べて分かるとおり、団体観光以外の査証発給数はそこまで減っていないことが分かる。
とりわけ、個人観光査証は91%増という高い伸びを示しており、これもあって観光以外査証の合計も8.2%の減にとどまっている。


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とは言え、尖閣の国有化が9月11日だったので、そこまで貯金があったと考えると、その減りっぷりは相当なものと言える。
団体観光はほぼ半減だから、9月中旬以降、ほとんど催行されなかったと言っても言い過ぎではないかも・・・。
そんなこんなで、10月以降は全く期待が持てないワケです。。。

あわせて、国別の訪日外客数比較表(1~9月合計)も配布された。
※訪日外客とは、ちょっと説明が難しいので、とりあえず訪日客という扱いで。

ここで注目すべきは、韓国と中国。
韓国は、9月単体で24.9%減、1~9月でも19.1%減と大きな落ち込みを記録している。
一方、第2位の中国は、9月単体で10.1%減、1~9月では7.1%増と、まだ貯金を守った状態にあるのだ。
つまり、簡単に言うと、海外からの往来という意味では、韓国からの訪日が減少しており、中国との差はどんどん詰まってきているのである。


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次に、現状についての考察。

現在、団体の新規予約はほぼストップの状態。
個人は団体に比べると影響が少ないものの、やはり少なからず影響が出ている。
また、意外にあまり報道されていないが、各旅行社とも、世論、マスコミ、中国政府の目を異常なほど気にしている。
これが要因となって、訪日観光商品の販売を自粛しているというのが、今の現状なのである。
これを具体例を挙げてもう少し分かり易く言うと、春秋航空が佐賀-上海間の路線で発売を開始した1円航空券は、ネットユーザーからの猛反発を理由に1日足らずで発売中止となった。
熊本の八代で花火を鑑賞するというクルーズの旅には、千人を超える乗客が集まり、地元で大いに歓待を受けたが、これもネットユーザーの猛烈な批判を浴びる結果となっている。
ナショナリズムって、一旦高揚すると、手が付けられないですね。。。

もっとも、こうした状況は日本も同じ。
日本は民主国家なので、勿論、販売自粛要請といったものはないが、消費者の中国渡航自粛の動きが凄まじい。
上海で営業している日本の旅行社は、基本的に日本からの旅行者受入れ(インバウンド業務)しか展開できないワケだが、これが10月は前年比90%減、11月以降も回復の見込み薄という状況。
自分でやったことではないだけに、本当にかわいそうです。。。

観光関連のイベントや日中国交正常化40周年記念事業も、次々に延期、中止の憂き目に遭ったワケだが、いまはこうしたイベントがどのタイミングで再開されるのかに注目が集まっている。
一部イベントは再開の方向で動いているようだが、大規模になればなるほど実施の判断がつかないという状況に陥っているようだ。

いずれにせよ、ヒトの交流は、両国政府の良好な関係の下でしか成り立たない。
あの反日デモの嵐から1ヶ月強が経過した現在、まさに問われているのは政治的対話による解決策の模索と言えそうだ。

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