<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

【連載250回】中国 尖閣問題長期化に伴う諸問題(現状と予測)

2012-09-24 | 尖閣問題

冒頭、私事で大変恐縮ですが、今回記事で連載250回を迎えました。
およそ1年半での到達。
よく頑張ったと言うべきなのか、もっと毎日配信すべきと言うべきなのか。。。
ま、今後もマイペースで更新していきますので。

早速、3日サボったので、反日デモ後の状況から。

中国公安がデモ禁止令を出したおかげで、ここ上海でもデモは発生していない。
一見すると平穏を取り戻したようにも見受けられるが、虹橋の日本人学校では運動会が明日(25日)に延期されるなど、やはり万が一に備えた措置は継続されたままだ。

日本の報道をみていると、「日当が支払われるのでデモに参加した」との証言などをもとに官製デモだったとの見方も根強い。
これは、以前も行われた手法なので、一部にはこうした類の参加者も含まれているかも知れない。
ただ、冷静に考えて、あれだけの規模のデモ参加者の大部分が官製デモ系だとするのは、やはり無理があるだろう。
中国の場合、デモ行為自体が厳しく管理されているため、こうしたデモを容認した時点から、ある意味では官製デモの部類に入るだろう。
そして、現在、何事もなかったかのように、デモが鎮静化していることも。。。

中国政府は、すでに活動を次のステージに進めている。
大きく分類すると、�尖閣諸島沖での公務艇の活動強化、�経済制裁の発動示唆を含む経済面での圧力強化、�日中間の交流事業の延期・中止、�国際社会でのアピール強化の4点であろう。

まず、尖閣諸島沖での公務艇の活動については、報道にあるとおり。
こうした手法は、ASEAN諸国との間でも紛争となっている南シナ海での領土問題への対処と基本的には同じ。
実効支配というアリバイを造成していこうというモノ。

これに対して、米国が「尖閣諸島は日米安保の対象となる」と発言したことは、中国に少なからぬプレッシャーを与えることになりそうだ。
とは言え、その代償がオスプレイの全国配備でなかったのか・・・?
あまり考えたくはないが、あまりにも時期が符合するので気になるところ。
こうした政治的力学のもと、尖閣沖での緊張状態はしばらく続くものと予想している。


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次に、経済面での圧力強化。
実は、日本にとって、これが一番厄介な問題。
経済が低迷を続ける日本にとって、日本在住の方々が思っている以上に、中国はもはや日本経済にとって不可欠な存在となっているからだ。
これは、拡大を続ける中国市場での売上げ増という点だけではない。
靖国問題で揺れた7年前と比較すると、日本の中規模以上の企業はかなりの割合で中国を生産拠点としており、その割合を拡大させてきた。
つまり、日本にとって議論されるべき課題は、「将来」ではなく「現在」にあるのだ。
この点に関しては、後日詳しくレポートすることとしたい。

加えて、「経済制裁の発動」が取り沙汰されているが、当面はそこまでの措置はとらないだろうと予想している。
つまり、「心理的な圧力」といったアナウンス効果を狙った発言ではないだろうか。

しかしながら、短期的なマイナス材料は既に散見されている。

最も顕著なのは、日本料理店の売上げ激減。
特にここ数日は、外食を控える在留邦人も多かった上に、中国人も日本料理店での食事を敬遠したと予想されており、現在1日に1~2店舗開業しているという日本食出店ラッシュは完全に冷や水を浴びせられた格好となっている。
筆者が聞いたところによると、上海にて飲食ビジネスを手広く展開している店でさえ、反日デモ直後には来店客数が8名だったとか。

次に、日本車の売上げ減少も懸念されているところ。
今回の反日デモでは、日本車が複数襲撃されており、襲撃回避を目的とした自動車ステッカーも販売されているほど。
単純に考えて、日本車を購入しなければならないという必然的な理由は存在するだろうか?
同じような価格帯にはドイツ車や韓国車、米国車も並んでおり、中国の消費者にとって、購入検討の最終段階で反日デモの映像が脳裏をよぎる可能性は少なくないだろう。


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加えて、今後の影響が心配されるのが「貿易・通関面での管理強化」。
これは、2年前に発生した尖閣諸島沖での漁船衝突問題でも見受けられたもので、表向きは「法令の遵守強化」と言いつつ、その実態は明らかにやり過ぎといった領域まで管理を強化させるというもの。
こうした管理強化によって、日中双方の経済活動に支障が出るのは両国にとって好ましくないもの。
しかし、中国では上層部からの支持は絶対であるだけに、今後どこまで支持を拡充させるのか、目が離せないところだ。
また一部では、既に酒類等の輸入が滞っているとの情報もあり、在留邦人の現地での生活にも影響が拡大しそうだ。

また、訪日観光は相当大きな打撃を受けている。
大手旅行社のツアーを中心に、団体旅行が次々にキャンセルされており、正直なところ国慶節明けにどれだけ低迷するかさえ予想が立たないとの悲観的な見方が大勢を占めているのが現状だ。

続いて、日中間の交流事業の延期・中止。
先週は、開催前日という土壇場に日中グリーンエキスポ2012が延期という憂き目にあった。すでに会場内の装飾もかなり進んでいたようなので、その意味では実質的な損害も発生していると言える。
そのほか、各種交流事業が次々に延期、中止と発表されているが、遂に日中国交正常化40周年の記念式典も正式に中止となった。
いつになったら正常化となるのか・・・、今後の両政府の対応如何と言える。

余談だが、ウチのスタッフによると、中国では40年目だけは節目の年と考えないようにする傾向も強いそうだ。
そのため、誕生日などを祝う際にも、10歳、20歳、30歳の次は、わざと39歳にしたりすることもあるとのこと。
その意味では、今回の40周年もこの法則に当てはまってしまったのかも。。。

最後に、国際社会に向けたアピールの数々。
現時点でも、度重なる外交部声明の発表、領海基線の公布、権益維持を目的とした巡視活動、東中国海の一部海域の大陸棚拡張案の申請などを次々と繰り出してきているが、今後もこの傾向は続くだろう。

ちなみに、先日紹介した人民日報では「大国の怒りはまだこれからだ」という論評が掲載されている。
こうした政治的な威嚇にどのように対処していくのか、日本政府に突きつけられた課題はあまりにも大きい。


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