<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

上海市民の情報源、「時代報」って・・・?

2012-08-27 | 中国社会学

先週の土日、ブログ更新をサボってしまいました。。。
ま、一応忙しかったんですけどね。
これから頑張ることにします。

ところで、本日、ブログのアクセス状況をチェックしたところ・・・



624人もの方々に来訪してもらっていました@@@
コレ、筆者にとってはダントツの過去最高記録。
でも、ブログ更新してない日は、決まって低調な数字なんですけどね。
気になって、ページごとの閲覧数をチェックしてみると・・・



なんと、今年1月に書いた「上海浦東のIKEA」に関する記事に対して、400近いアクセスが・・・。
うーん、何か事件でもあったんですかね。。。
こんな経験、ブログを始めて以来、初めてです。
1年半もブログ開設していると、いろんなことが起こるものですね。
でも、時間が経っても読んでいただけるというコトは、素直に嬉しいです!

余談はさておき、今回は週末に書こうと思っていた内容を。
それは、タイトルにあるとおり、「時代報」について。



この時代報、上海の地下鉄で無料配布されています。
時間的には7時半~9時半の2時間程度。
いまでは9路線の地下鉄構内で配布されており、発行部数は55~60万部。
個人的には立派な数字ではないか・・・と。

実際、朝の地下鉄車内では、同紙を手にとっている乗客も多い。
コレ、筆者が赴任した3年前から変わっていないから、同紙がいかに浸透しているかが分かるというもの。


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では、早速、紙面の内容を少しだけ紹介することに。
表紙は冒頭の画像のとおりですが、1枚めくると・・・



また表紙です@@@
コレ、広告を増やすための工夫なんですね。
しかも、この広告のほとんどが不動産関連のもの。
このあたりを見ると、上海の不動産バブルはまだまだ終わりそうもないかも・・・と思えてならない。

フリーペーパーだけに、やはり広告の量は多い。





全面広告もしくは下半分広告といったものが主流。

半面広告では、家電販売、ネット販売といった内容が目立つ。
こういった広告主は、主戦場をネットにしているワケだから、紙媒体がまだまだ重要な顧客獲得手段ということが分かるというもの。
ま、使い分けというコトではないか・・・と。

それにしても、この中国電信の広告内容は少し笑えます。



携帯を売るために、エアコンやTVをセットで販売。
いやはや、消費市場の主役が交代しつつあることを感じさせる広告ですね。

ちなみに、日本の新聞と同様に、折込みチラシというものもある。



さすが中国、折り込みのやり方が雑ですね。
このあたり、現状では指摘しても仕方ないことかと。。。


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記事の内容は・・・というと





政治経済、社会、健康など多岐にわたっており、その意味ではフツーの新聞と遜色ない内容。
だいたい1号あたり、30ページくらいですかね。
ちなみに、画像にある記事内容は、ガソリン価格の上昇、上海のプールで6歳半の男児が溺死というもの。
記事のほうも、日本とあまり変わらない内容かと。。。

あと、忘れてはいけないのが、不動産市場展望。



やっぱり関心が高いようです。
不動産価格の動向、ある意味で中国の消費動向に直結しますので。

もうひとつ、日本企業の奮闘ぶりもご紹介。



公文式学習法でお馴染みの「KUMON」です。
すでに上海市内でも勢力を拡大中のようで、この広告を見る限り、60近い教室が営業を行っている様子。
上海で一定の認知がなされると、中国全土に広がる可能性は高いですからね。
最終的には世界標準に飛躍ってことも。
頑張って欲しいものです。

ちなみに、この時代報、ネットでも記事配信を行っている。





もっとも、コチラは記事配信ばかりではなく、ネット販売などにも連動しているようです。
ある意味、時代に乗った商売手法と言えそうだ。

中国では、新聞の価格が1~2元(20円前後)と格安。
それだけに、新聞販売に固執せず、情報の鮮度や入手の容易さに着目した同紙の事業展開は注目に値するだろう。
しかも、その内容の充実ぶりで、確実に上海市民の心を掴んでいる。

日本でも、各メディアがネット配信に力を入れており、その一方で紙媒体の販売量が減少するというジレンマに陥っていますよね。
この相反する状況をどのように融合させ、プラスの要素を生み出していくか・・・、まさに各社の知恵比べといったところか。

同紙が今後、どのような拡大路線を図るのか、ひとりの市民(現段階)として注目していきたい。

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造園作業にみる中国的作業の進め方

2012-08-23 | 中国社会学

今日は街角の何気ない作業風景から、中国の仕事について考察。
ま、そんな大それたものではないですが。。。

ある日、出勤しようとしたところ、ウチのビルの一角で造園作業が進められていた。
その様子は・・・というと、



こんな感じです。
これ、よく見かけるんですが、どこの現場でも「とりあえず植えてしまえ!」って感じ。
ま、あとで考えれば済むことと言えば、そのとおりですけど。。。
でも、日本だったら、キチンとした作業工程に基づいて作業を進めますよね。
見たところ、作業は黙々と進めていますが、しっかりした監理者はどこにも見当たらず。。。

今回、植えられている苗を詳しく見てみると・・・



薔薇の一種でしょうか?
それにしても、植えた直後の様子としては、あまりに貧相。。。


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今回の作業、そこそこ面積が広いということはあるにせよ・・・



この画像にあるとおり、植えるときには植えることだけに集中します。
ゴミがどんなに発生しようと、所詮は後でまとめて片付ければいいですから。
うん、確かに合理的だけど、ココは曲がりにもビルの入口だぞ。。。

でも、ビルの管理者も特に指示する様子は無し。
言っても仕方がないからでしょうかね。。。

コレ、もっとスゴイ状態なのは、駐車スペースの一角。



文字どおり、泥だらけ、やりっ放しです@@@
もはや車を停めるスペースなど微塵も無い状態。
ま、筆者の事務所は車を保有していないので、影響はないですケド。

でも、作業のオバサンは黙々と作業を続けています。



こういうの見ると、一時の汚さなんて、大目に見てあげよう・・・なんて思ってしまうのは、私が中国化しつつあることの裏返しかと。。。


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翌日、同じように出勤したところ・・・



すっかりキレイに清掃中。
いくら泥だらけになっても、一気に流してしまえば、それでオッケー!
作業途中でチマチマしたコト、一切考えません。



コレ、大局に立てば、確かに間違いではないような。。。

中国で生活、仕事をしていると、こういった考え方に直面することが結構多いですね。
基本的に細かいところまでキッチリ詰めるという作業、中国人は得意じゃないようです。

でも、日本の場合、そういうワケにはいかないんですよね。
だから、中国のお客さんが行くってコトが決まった段階で、行程はどうなるのか、食事はどうするのか、お土産はどうするのか・・・と、日本側から質問攻めに遭うことも珍しくない。
中継ぎ役の駐在員、結構ツライんですよ。
相手に聞いても、そんなのどっちでもいいよ的な反応しか返ってこなかったりして・・・。

商売の嗅覚の鋭さと相まって、こうした大らかな仕事の進め方、日本人も少し見習うところがあるかも知れませんね。
もっとも、日本は組織がしっかりし過ぎていて、簡単には変えれないかも知れませんが。。。

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「上海 五番街の成功」にみる日本商品の中国市場開拓

2012-08-22 | 中国ビジネス

今回は、ちょっと間が開きましたが、中国消費市場の攻略がテーマ。

取り上げるのは、上海徐家汒の美羅城B1にある「五番街」です。



場所は、若者で賑わう徐家汒。
地下鉄1号線の駅に直結している「美羅城」の地下1階にある。
この建物自体は、PC関連商品がギッシリというイメージが強いのですが。。。



コンセプトは、ズバリ「日本商品」。



こういった内装を見ても、日本らしさを演出しようとする姿勢が分かる。
筆者、この五番街を訪れたのは、実は初めて。
気がついたら、開業から2年が過ぎていたようです。
徐家汒、あまり用事がないし、若者を中心に人が多すぎるというイメージが強いので。。。

ここからは、この五番街の様子を詳しく見ていくことに。
まず、地下鉄から上がってくると・・・



ミスタードーナツとASTALIFT(富士フィルム)の店舗が。
その近くには・・・



たい焼き屋も出店。
1個10元(約125円)だから、日本と値段差は無いと言っていいでしょうね。
結構並んでいましたし、他のショッピングセンターでも出店しているようです。

並んでいると言えば、このお店が一番の様子。



Nana”s Green Tea(七叶和茶)というお店です。
当日も店内はいっぱいで、外に並んでいましたから。



筆者、利用したことはないが、メニューを見ると、純日本食ばかりという感じではなく、中国風にアレンジしたメニューなどもチラホラ。
まあ、そのあたりがウケているのかも知れませんね。
ちなみに、このお店も中山公園の龍之夢ショッピングセンターに出店してます。


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食事系では、「はなまるうどん」も人気のようだ。





価格帯もリーズナブルだし、中国の消費者は麺を好みますからね。
個人的には、うどんは中国でヒットする確率が高いと思っています。
あとは、現地系資本に真似されないように頑張ることが肝要かと。。。

一方で、洋食関係は今ひとつの状況のようだ。



やはり食文化が色濃く影響しているのではないか・・・と。

この五番街、大きなウリのひとつが「スイーツ」。
日本のスイーツの技術はホントに高いですからね。
現地系のケーキ、かなり甘くてちょっと苦手。。。
中国、とりわけ上海ではコーヒー文化が急速に浸透中なので、これにつれてスイーツ市場が拡大することを期待する声が多い。
その意味では、ここ五番街の人気がどのように推移するのか、試金石とも言える。
ここで出店しているお店の一例をご紹介。



堂島ロールでお馴染み、モンシュシュです。
3年ほど前から進出しているので、現地の人たちにも浸透しているかも。
ただ、この日は売場にお客さんがいませんでしたね。
たまたま・・・かな。

大阪のロイヤルシェンも出店。



期待のマカロン、中国でもヒットするかな・・・?

新しいところで言うと・・・



マキマキロールです。
このお店、我が街/北九州市にあるホテルニュータガワがプロデュースするお店。



日本のロールケーキとは若干違ってはいましたが、なかなか評判もいい様子。
お客さんも結構集まっていましたので。
地元の人間として、私も時々買いに行こうと思います。頑張って下さい!


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こうした食のスペースを抜けた奥のほうには、Francfranc、MUJIなどの服飾、雑貨関係のお店やドラッグストアなどが出店。







全体的に楽しい空間に仕上がっています。

今回初めて五番街を訪れて感じたのは、「やはり2年もの間、人気があるだけのことはあるなぁ」というコト。
これは、徐家汒という街がもつ潜在的なパワーもあるだろうが、結局のところ、コンセプトがしっかりしていることに尽きるのだろう。
実際、この五番街を視察する商業関係者は結構多いようなので。

ただ、ここに出店している商品が中国でメジャーになるためには、更なる努力が必要となるだろう。
日本商品、やはり価格が高いですからね。まだまだ高嶺の花というイメージも根強いです。

日本商品の難しいところは、「日本製」という究極のブランド力を維持しようとすると、どうしても輸入に頼らざるを得なくなり、結果として「高価格」で販売せざるを得ないというコト。
ある程度、規模のメリットを追及していこうとするのであれば、日本での知名度や自社の技術力の高さをアピールしつつ、生産自体は現地で行う(徹底した日本品質で)といった工夫が必要となってくるだろう。
そのためには、中国で日本と同じように働ける、いや働きたいというフレッシュな人材が必要ですね。
巨大な中国市場、情熱をもって取り組めば、まだまだ開拓するチャンスはありそうです。

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【上海定番グルメ】こ熊や(日本料理)

2012-08-21 | グルメ

今日は平日ですが、ちょっと忙しくて時間がないので、グルメ情報をご提供。
今日取り上げるのは・・・



淮海中路×成都南路にある「こ熊や」です。
このお店、山口県山口市(湯田温泉)に本拠地があるとのこと。
もう開店してから2年以上が経つのではないか・・・と。

実は、この界隈、虹橋地区に比べると、日本料理店がかなり少なめ。
ということで、駐在している私たちにとっては貴重な存在。
中華料理も嫌いじゃないんですけど、やっぱり日本人ですから。。。

当日、お店の入口には予約票がズラリと掲示。



結構な数ですよね。
割合的には、7:3~6:4くらいで日本人グループに軍配。
でも、以前に比べると、着実に現地比率が高まっているような。。。

店内は純和風な造り。
2階と3階に客室があり、かなりの数の個室が準備してある。
雰囲気もまずまずなので、中国の方を接待するにはちょうどよいのでは・・・。

メニューのほうはこんな感じ。





ランチでしか使ったことがないのですが、割とリーズナブルな価格。
50元(約620円)~70元(約860円)というラインがメインですから。


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ちなみに、ランチ用のお品書きがコチラ。





なかなかオシャレですよね。
こういった面まで手を掛けるのは、ある程度こだわっていることの裏返し。

そして、当日、筆者が選択したのは・・・



とんかつ定食(50元)です。
なかなかのボリュームですよね、キチンと味噌汁などもセットになっています。
特に、とんかつのほうは、中にシソの葉が挟んである。



全体的に、味のほうは日本の定食屋にヒケを取らないのではないか・・・と。
加えて、このお店、ご飯が美味しいと評判です。
先日、ご一緒した方は、ご飯をおかわりされていましたから(普段はめったにおかわりされないそうです)。
お米もさることながら、炊き方がキチンとしているんでしょうね。


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このお店、シメのデザートという意味で、何故か必ずフルーツと一緒に生チョコが一つ提供されます。



これが、なかなかの美味。
中国、ちゃんとしたチョコレートは結構なお値段ですから。。。

実際、上海の日本料理店のレベルは、出店競争が熾烈なこともあって、着実に向上しているように思う。
これは、業界全体にとっても良いコト。
悪い言い方をすれば、いままでコチラで提供されていた日本料理は、本当の意味での「日本料理」ではなかった店も多いので・・・。

大勢の人間で食事をする習慣が根強い中国でも、上海のような大都市では、ランチは個人食が主流になりつつある。
大皿料理には無い魅力が日本の定食には内在している。
食文化の近い中国で、ビジネスマン・OLランチの主力として、日本料理が開花するのを祈るばかりだ。

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シャープの今後を憂う(中国視点の続編)

2012-08-19 | 中国ビジネス

今回は予告どおり、経営危機に揺れるシャープを話題に。
今年の3月16日に書いた「シャープの今後を勝手に占う」という記事のアクセス数が際立って増えているのをみると、やはり相当数の皆さんがシャープの経営問題に危機感をもっているというのが窺える。
ブログの場合、賞味期間は短いですからね。
5ヶ月も前に書いた記事が再び脚光を浴びるというケースは本当に稀です。。。

もっとも、今回の記事も既報の情報に基づく個人の私見に過ぎませんので、その点は予めご了承のほどを。

まず、このアクセス数が増えた要因、端的に言えば「株価の暴落」だろう。
報道をみると「暴落」という表現は使っていないが、現状を踏まえれば、この言葉を十分使っていい状況であることが分かる。
なぜなら、今年の年初来高値(690円)と年初来安値(164円)を比較すると、株価は実に4分の1以下になってしまったからである。
※2012年8月17日終値は184円
ちなみに、2011年12月には800円近くだったので、当時との比較では約5分の1、液晶パネルが絶好調だった2007年には2,500円に迫る勢いがあったのだから、その当時と比べれば10分の1以下になったという計算に。
改めて株の世界の難しさと株式市場における企業評価の変容ぶりを感じざるを得ない。

しかしながら、株価の上下には必ず「理由」が存在する。
その理由がニセの情報だったため、株価が元に戻るといったことはあるが、少なくとも上下した時点では噂であれ理由が存在するのが常である。
今回のシャープのように長期にわたって下落、しかも節目の発表を契機に下落幅が更に大きくなるというのは、最も危険なパターンではないか・・・と筆者は考えている。


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では、シャープが売り込まれている理由は何なのか?
それは報道にもあるとおり、同社の赤字が続くことによる経営不安である。
ただ、報道機関はそこまで直接的な表現は使っていないように感じる。
これは、色々な背景があってのことだと思うが、報道されている情報を整理すればするほど、同社の置かれた状況が極めて厳しいものであることが浮き彫りになってくる。

まずは、有利子負債の状況。
同社は2012年6月末時点で約1兆2500億円の有利子負債(借金)を抱えており、このうち1年以内に返済する必要のある短期負債が約7000億円にも上る。
正直なところ、かなり大きな金額と言わざるを得ない。

ちなみに、同社の総売上額は2兆4558億円。そのうち、不調と言われている液晶テレビ(プロジェクター等を含む)、液晶ディスプレーの合計額が約1兆4800億円と全体の60%近くを占めている。
つまり、この液晶関連事業の早急な建て直し抜きに、同社の経営問題が解決することはないのである。

こうした本業が不調な中では、貸し手となる金融機関が現れないのも無理はない。
一部の主要取引行がつなぎ融資を行ったとの報道がなされているが、あくまで「つなぎ」に過ぎない。
しかも、こうしたつなぎ融資が取り上げられた過去の事例を思い出せば分かるが、こうした事態こそが経営危機の現状を反映していると言えるだろう。

次に、こうした状況を受けたリストラ策の断行。
同社は新たに工場や都心に保有するビルの売却に乗り出したようだが、売却手続きに時間を要するうえ、数百億円程度では大きなインパクトはないだろう。
しかも、資産の売却は本業の縮小という形で売上げの減少に跳ね返って来かねない。
残るは人件費の圧縮ということになる。
既に発表済みの5千人削減方針に加え、新たに数千人を削減するとの報道もあるが、これも短期的には赤字額を増やすことになり、また長期的には優秀な人材の流出という側面も有している。
どれも自社で対応できる精一杯の対策であり、かつ苦渋の選択ではあるのだが・・・。


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では、シャープの今後を左右する本業の液晶事業。
その前途は、残念ながら明るいものとは言えそうにない。
大型液晶などを生産する堺工場の2012年4~6月期稼働率は30%前後とふるわず、7~9月期以降は80%以上を見込んでいるが、確たる保証はどこにもない。
いや、この命運を握っているのが、まさに鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)ということになる。

同社と鴻海精密工業との間では、2012年3月、鴻海がシャープ株式を1株550円で取得し、9.9%出資することで合意していた。
このまま取得手続きが進めば、シャープは約669億円を手にすることができたのだが、同3月以降、株価は下がり続け、今では370円も値下がりしてしまった。
台湾当局からの承認が下りないとの報道もあるが、ここはしたたかな台湾企業のこと、同社の足元を見ているという面も否定できないだろう。

あわせて、鴻海は液晶パネルの買取りにも合意していた。
つまり、シャープにとって、鴻海は同社の経営を左右しかねない大口顧客なのである(おそらく鴻海に匹敵する影響力をもつ取引先はないだろう)。

こうしたバイイングパワー(購買力)を背景に、20%程度まで出資比率を押し上げることを迫っていると言われている。
コレ、単純計算すれば分かりますが、買取価格を現在の株価に置き換えたら、鴻海の手出し額はほとんど変わらないだろうということが理解できる。
その上、シャープの経営の主導権を握れるのだから、こんなに美味しい話はないだろう。

シャープにとっては、大口顧客にソッポを向かれては困る、されど経営の主導権は手放したくない、というジレンマに陥っているワケだ。

こうした状況の中、シャープが他の国内メーカーやファンドに対して500億円規模の増資を打診しているとの情報がある。
ただ、これはひとえに「鴻海の出資比率引き下げ対策」の一環であると推測される。単純に考えると、出資する側のメリットが乏しく、実現性には疑問符がつくと言わざるを得ない。

このように見ていくと、シャープが置かれた状況は想像以上に過酷なものであることが容易に分かる。
一説によると、同社の経営問題は2年前にも議論されていたとの噂もある。
要は、液晶に依存した経営モデルの危うさは当時から認識されていた可能性があるのだ。
もしこれが真実であるならば、早急な対策を怠ってきた同社の経営姿勢が改めて問われていると言えそうだ。
もっとも、時計の針は戻ってきませんが・・・。

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