<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

日中グリーンエキスポの真実(パート3)

2011-06-23 | 中国ビジネス


前回の続きで、これが最後。

結局のところ、このエキスポが十分な成果を上げることができなかった理由はどこにあるのか?

それはズバリ、中国で行う事業にもかかわらず、日本のやり方をそっくりそのまま持ち込んだことが最大の要因と言っていい。

その端的な部分が、委託業者。
関係者ではないので詳細は分からないが、おそらく入札かコンペで決めたのだろう。

確かに同社、オペレーションの能力は悪くなかったと感じる。
出展者への通知も頻繁に送られてくるし、状況報告も適宜行われていた。
しかし・・・・、どこか機械的で魂がこもっていない。

しかも、同社は中国国内に事業所をもっていない。
一体どうやって中国の企業を集めることができると言うのか・・・。
正直に言って、発注する側が甘く見過ぎである。
おまけに中国側からは「自分たちに調整のための国際電話代を負担させるのか?」という不満も聞かれたという。
これでは信頼関係を築こうにも、あまりにも距離があり過ぎる。

こういった類の初開催のイベントは、主催者の熱意が成否を決定づけるものだ。
高尚な理念を実現するためには、現場の泥臭い努力が必要となってくる。
中国側の熱意を盛り上げていくことも、当然ながら必要となる。
結局、そういった現場の顔となるような人物が、今回は見当たらなかったということだろう。

中国のビジネスマンには賢い人が多い。
それ故、熱意をもって取り組んでいるか否か、自分たちにとって利があるか否か、を瞬時に判断されることも多い。

しかも、中国でのBtoBイベントの成功は容易ではない。
この国ではどのイベントも一種のお祭りであり、一般客がわんさか来るのが当たり前だからだ。
日本で同種のものを開催しようと思えば、個別企業へのDMやネットでの告知、業界団体への呼びかけ等を通じて、ある程度の集客の見込みが立つし、大手企業を囲い込むこともできる。
しかし、この国で同じようなことをしようとすれば、有力なコネや多額の費用が掛かってしまう。
いや、お金をかけても実現しないことも多々あると思ったほうがいい。
大手国有企業を本気で動かすのは、日本人にとって簡単ではないのだから・・・。

つまり、成功を目指すのであれば、準備段階からの中国側とのコミュニケーションが非常に重要だ、ということ。
中国側のカウンターパートである国際貿易促進委員会は、全国規模の大きな組織だ。
彼らをその気にさせていれば、もっともっと実質的な成功を収めることができたはずだと思うと、残念で仕方がない。

日中間の企業交流のあり方について、思いをもった日本の関係者はたくさんいる。
こうした方々がもっと活躍できる場をつくるべきだ。
日本全体の力を結集すれば、もっと日本企業が活躍しやすい環境を整えることができるに違いないのだから。

こうは言っても「過ぎたりしは追わず」である。
事業に反省材料は付きもので、問題はどうやって次に生かすか、である。

繰り返しになるが、この事業自体は大いに意義があることである。
だからこそ、絶対に成功を目指すべきなのだ。

欧州や米国は、中国に対して色々な仕掛けを打っている。
こうした動きに負けない力強い活動ができるよう、自分も日本チームの一員として、微力ながら精進していきたい。






日中グリーンエキスポの真実(パート2)

2011-06-21 | 中国ビジネス
引き続き、グリーンエキスポの報告。

前回お伝えしたとおり、日本側は経団連の主要企業が勢ぞろい、中国側は企業誘致を目的とした開発区のオンパレードという出展構成。





もうお分かりだと思うが・・・、そう、明らかなミスマッチ!
そもそも日本側の意図は、環境分野での企業間交流の促進であって、開発区の情報集めではない。
一方、開発区側の意図は日本の大手企業の誘致にあり、この意味では彼らの目的は達成されることになるが・・・。

筆者も会場に行くまでは日中双方の大手企業が一堂に出展している光景を思い描いていたのだが・・・、
完全に裏切られた。

もっとも、筆者以上に裏切られたのは日本から出展した企業の担当者だろう。
経団連からの呼びかけということもあって、画像を見ても分かるとおり、各社とも結構な経費をかけて出展している。
アテンドしている企業関係者の数も相当数に及ぶ。
少なく見積もっても、主要各社は数百万円規模のコストを掛けただろう。



これで来場者の質が高ければ、まだ救われるのだが・・・。

残念ながら、かなりの割合が日本人というイメージ。
だって、あまり中国語が聞こえてこなかったので・・・。

特に、中国の産業界を牽引している大手国有企業の姿はあまり見受けられなかった。
まあ、頑張って来場者対策をやっても来てもらえる可能性は低いのも事実だが・・・。



ところが、日本の大手メディアをみると、同イベントの開幕を明るく伝えるものばかりで、こうした課題を伝えるものはない。今のところ、イベントの成果を追及するような記事も見当たらない。
「だから、日本のメディアはダメなんだ!!」、「もっと真実に目を向けろ!」と声を大にして言いたくなる。

確かに、メディア各社は大手企業の広告なしには語れない事情も分かるが、もっと真相を報道しようとする姿勢があってもいいのではないだろうか?

私自身、このイベントを全否定するつもりは毛頭ない。
これまで日中2国間で開催される環境関連のイベントは無かったので、その意味では画期的だと感じている。

だが、そのことと成果検証は別の問題である。
何故このような事態に陥ったのか、次回は私なりの解釈も交えてレポートしたい。

日中グリーンエキスポの真実(パート1)

2011-06-20 | 中国ビジネス
6月1~3日、北京で「日中グリーンエキスポ2011」が初めて開催されました。
このエキスポ、昨年6月に経団連会長(当時)だったキャノンの御手洗会長が中国側に提唱し、開催が実現したもの。
当時、筆者もこの記事をみて、「時機を得た素晴らしい提案だ」と感じたのを覚えています。
このイベント、日本側:経団連、中国側:中国国際貿易促進委員会が主催団体として、準備が進められました。
当日の状況は、日本の大手メディアにも取り上げられたので、日本でもニュースを目にした方が結構いるでしょうね。

以下、開催の状況などを詳報していきたいと思います。

まず外観の様子をパチリ。





開催前なので人影もまばらですが、外観は立派ですね。
キャノン、パナソニックと、経団連役員企業の広告が並んでいます。

中に入ってみると、向かって左側が日本、右側が中国、という構成。
分かりやすいと言えば、そのとおりだが、これでは交流にならないのでは・・・と思ったりしたのは筆者だけだろうか。

おまけに真ん中の仕切りの部分に、ひろーい商談スペースが設置してあるが、テーブルや椅子などは置いておらず、まさに「干上がった河川」といったイメージ。
うーん・・・ある意味、いまの日中関係を如実に表しているような・・・。

ま、余談はさておき、まずは日本側のゾーンへ。











ざっと見ただけでも、日本の大手企業がズラリ。
さすが経団連ですね。

ただ、筆者が疑問を抱かざるを得なかったのは、そもそもこのイベント、誰を対象にしているのか・・・?ということ。
消費者向けなのか、企業間取引なのか・・・まったく不明。


そして、さきほどの河?を渡って、中国側のスペースへ。





あれれ・・・自動車の展示以外に目立った企業ブースがない!?





そう、中国側は開発区のPRブースばかりだったんですね。


ビミョーな感覚を残しつつ、次回につづく。。。

中国の困った国内航空線事情と新幹線網の整備

2011-06-18 | 中国社会学
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最近、上海と北京の間を往来することが多い。
移動手段は勿論、飛行機だ。
しかし、近頃はホントに困った状況に陥ることが多い。

それは・・・、飛行機がやたらと遅れるということだ!!

今回の出張、定刻:16時発の飛行機が30分遅れで搭乗開始、そして40分以上も待った挙句、「管制の指示待ちで、いつ出発できるか分かりません」とのアナウンス、またか・・・といった感じ。

そして、17時過ぎなのに、食事が出てきた。
うーん、まだお腹が空いてないんですけど。。。

しかも、このパターン、何を意味するかって、「かなり遅れるに違いない」ということ。
何のアナウンスもないまま、18時40分を迎えたとき、ようやくアナウンスが流れ、「19時25分に離陸します」とのこと。
これで、3時間近く監禁されることが確定、ツライ・・・。

中国では、一度搭乗さけると、よほどのことがない限り、降ろしてくれません。
理由は不明ですが、おそらく再度集めるのが面倒といったところか・・・。

ちなみに、原因は北京の天候不順らしい。
この時期、北京では雷雨が発生することが多く、そうなったら離発着が滞るのだそうだ。
うーん、これだけ近代化が進んでいるのに解決できないのだろうか?

もっとも、筆者はまだマシなほうだったらしく、「4時間以上も監禁された」とか、「5時間待った挙句、見通しが立たないので、翌日便に振り替えた」とか、もっと悲惨なケースがあったようだ。

こうした状況の中、ひとつ明るいニュースがある。
それは、新幹線の開通!!
北京-上海間については、7月1日に正式開業との報道がなされている。
ノンストップ便であれば、所要時間:4時間半とのこと。
これはもう使うしかないでしょ!?

ただ一方で、新幹線が通る沿線に化学工場や炭鉱があって、こっちも安全ではないかも・・・といった噂があるとのこと。何を信じたらいいのやら。。。

でも、所要時間だけを比較すれば、新幹線のメリットが浮き彫りになる。
飛行機の場合、空港には余裕をもって1時間前に到着する必要があり、市街地からの所要時間も30分はかかる。
到着した後も移動や荷物受取り、目的地までの移動で1時間は必要。
北京-上海間の所要時間は約2時間半なので、合計:5時間。
これに必ずといっていいほど遅れる要素を加味すると、ずっと座っておけば到着する新幹線は魅力大ですね。

日本でも、飛行機と新幹線で熾烈な旅客獲得競争が繰り広げられていますが、中国も本格的な競争時代を迎えることになりそうです。

上海での日本食材や物価の現状って・・・③

2011-06-17 | 中国社会学
前回に続くテーマですが、今回は物価安のメリットを中心に。

まず何と言っても安いのが、ビール。
酒飲みにはたまりませんねぇ。。。
下の画像は、青島ビール(金ラベル)という上級レベルで1本6元前後(約75円)。



サントリーなんかは特売で3元(約38円)くらい。
先日、他のブランドで3本4元(約50円)っていうのも目にしました。
もはやジュース以上に安い・・・。
ちなみに、コーラなどは600mlで3元弱です。

あと、現地生産しているお菓子は安いですね。
特にグリコはいち早く上海に進出しているので、ポッキーなどは割安です。
味は・・・、だいぶ落ちますけど。
下の画像にあるポッキーは5元前後、プリッツは4元前後です。



でも、明治の板チョコは日本よりも高いんですよねぇ。
だいたい11~14元くらい。
訪日中国人観光客がお土産としてチョコレートを買う理由がこのあたりにありそうです。

次は、日用品の価格比較をしてみたい。
下の画像にあるラップ、上段は中国メーカー製、下段は旭化成製のもの。



同じ分量で、中国製は4元前後、日本製は12元前後と3倍の価格差。
それだけの品質差はないだろーと思う人が多いでしょうが・・・、
実際、それだけの品質差があります!
中国製はずいぶん昔のラップという感じで、薄くて切れにくいし、しっかりくっつかないんですよ。
その点、日本製はピシっと切れるし、ピタっと止まるし、申し分ない。さすが日本製!

まあ、あとは消費者の選択次第ですね。
ちなみに、市場シェアは圧倒的に中国製が高いようです(当たり前ですが)。

これ以外では、交通費の安さでしょうね。
バスは2元(空調なしなら1元)、地下鉄の初乗りは3元(北京はどこまで乗っても2元)、タクシーも初乗り12元ですから、日本とは比較にならないですね。

今後も生活感のあるレポートを続けたいと思います。