<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

【祝!20万PV突破】お金と技術の相関関係

2012-06-25 | 中国ビジネス

久しぶりのブログ更新です。
およそ1週間ぶり。。。
この間に20万PV突破という記念すべき日を迎えました!
いつもご愛読いただき、本当に有難うございます。
「忙しい」という言葉をお蔵入りさせて、なるべくたくさん更新できるよう、これからも頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします。

今回は、記念記事ということで、いつもの如く禅問答のような話ですのでご容赦のほど。

中国経済がどんどん発展して、それとは対照的に日本経済が下降しつつあるのは周知のとおり。
日本国民としては悲しい限りだが、現実は現実として直視しないといけないわけでして・・・。

しかも、このブログでも何度も取り上げてきたとおり、中国で国有企業を中心とした大企業が利益をドンドン伸ばしていく仕組みは、日本のような民主主義が確立した先進国では想像がつかないもの。
国際的にみて不公平だと感じることも多いが、現実問題として、中国企業が相当な規模のキャッシュ(現金)を抱え込んでいる状況も否定できない事実である。

その一方で、中国企業が技術の面でなかなか先進国に追いつけないという現実も存在する。
これは、技術というものが一朝一夕で手に入るものではなく、失敗の連続の中で生み出されるものだということも影響しているだろう。
ここは、一般的に指摘され続けている中国の「パクリ文化」の弊害でしょうね。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


こうした状況にあるから、「日本の技術はまだまだ大丈夫」と言えるか・・・というと、実際のところは怪しいものだと筆者は考えている。
歴史をふり返ってみると、日本も高度成長期以降、様々な技術を導入・買収してきた。いや、これは日本に限った話ではなかろう。

つまり、企業というものは、ある一定規模の利益を生み出すようになると、次のステージの成長を指向して、自社にない技術を積極的に取り入れようとする本能を持っているのだ。
増してや、右肩上がりに利益を増やしている企業などは言うまでもない。
これは、良いとか悪いとかいう部類の話ではなく、「生きるために食べ続ける」といった本能に近い話なのだろう。

最近のシャープの事例も、このひとつになるかも知れない。
数年前、あの鴻海(ホンハイ)がシャープの筆頭株主になるなど、誰も想像していなかったが、中国経済の波に乗った台湾企業の成長がそれを実現させた。
最近の報道によると、シャープの株価下落もあって、同社は出資比率の引上げを打診しているとのこと。今後の展開次第では、同社に実質的な経営権を握られる可能性がジワジワと出てきつつある。
商売の原則どおり、「買ってくれる人には逆らえない」ということなのだろう。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


ここで、話を単純化するために、お金で技術を買うほうを「中国」、技術を開発するほうを「日本」として、話を進めていきたいと思う。

日本は、言うまでもなく技術立国。
資源にも恵まれていないので、技術だけが頼りと言っても過言ではない。
この技術というモノ、開発するにはどうしてもお金が必要。
勿論、必要となるお金の額は千差万別ながら、世界市場に投入するような技術であれば莫大な開発コストが必要になるのは言うまでもない。
では、いまの日本にこの資金を捻出するだけの体力があるだろうか・・・?
ここが、ひとつの論点。

次に、中国は巨大な消費市場を背景にジャブジャブと利益を生み出しているが、将来のことを考えると、一抹の不安を抱えている。
人件費をはじめ、様々なコストが上昇する中で、付加価値の高い製品を供給できないと、利益面で成長を確保することができなくなるからだ。
そこで、いっそのこと、技術や企業を丸ごと買ってしまおうという動きに。
ここが、ふたつ目の論点。

上記ふたつの論点、今までの常識では結びつきにくかったが、日を追うごとにその成立要件が満たされつつあるように思えてならない。
特に、中小企業の経営者は創業者が多く、いまだに世代交代が進んでいない企業も多い。こうした経営者層が、将来のことを見据え、退職金代わりに企業を売りに出すという状況が生まれても、何ら不思議はない世の中になっている。

日本が世界市場で「ものづくりの国」として君臨し続けるには、「お金」が必要。
中国が更に成長し続けるには、その裏づけとなる「技術」が必要。
どっちが先なのか・・・難しい議論ですが、筆者はやっぱり先立つものがないとダメだと思うんですね。
そういう意味では、日本は余裕があった時代の対応策を誤ったのではないか・・・と考えずにいられない。

問題は、こうした買収劇の結果、巻き込まれた従業員などがこれまで通り幸せに働いていけるか・・・ということだろう。
(もっとも、いまは中国企業に買収されるというだけで拒否反応があるだろうが。。。)

筆者が中国で感じるのは、企業経営という観点では、中国企業は意外と日本企業よりも合理的な経営を行っているということ。
つまり、利益追求の責任を明確化させ、信賞必罰もはっきりしている。
日本のような年功序列や終身雇用といった曖昧な制度も存在しない。

いまの若い世代は、かなり企業や仕事に対する価値観がドライになってきている。
こうした海外企業の経営スタイルのほうが、幸せや喜びを感じられるということになる可能性も否定できないと思ったりするが、歴史の結末やいかに。。。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

外国人留学生在籍状況調査結果から考える日中関係

2012-06-16 | 日記

またまたブログ更新が疎かになってしまった。
ただ、今回はちょっと事情が異なる。
木曜日から北京に出張していたが、ネットが繋がらず、更新できなかったのだ。
ま、こういうこともあるということで。。

今回は、あまり得意ではない統計データからの考察。
もっとも、難しい数字の解析などはありませんが・・・。

日本学生支援機構が毎年公表している調査結果のひとつに、「外国人留学生在籍状況調査結果」というものがある。
筆者も、最近たまたま発見したので、偉そうなことは言えませんが。。。

この調査、なかなか興味深かったので、記事のネタにしてみようと。

平成23年5月1日現在、日本には外国人留学生が約138,000人も在籍しているとのこと。筆者は予想以上に多いと感じましたが、皆さんはどうでしょう?

もっとも、平成23年3月に発生した東日本大震災の影響もあってか、ピークとなった前年と比べると約3,700人減となっている。
詳細については、以下のURLをご参照ください。
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data11.html

特に注目したいのは、①大学院以外は減少に転じたこと、②トップ3である中国、韓国、台湾の中で、中国だけが微増を保ったことの2点。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


まず、大学院の学生数が微増、留学の入口である準備教育課程が大幅減になったのは、まさに震災が影響した結果だろう。
この準備教育課程が修了後、大学などに進学していくという事情を考えると、しばらく留学生数が増加傾向に転ずるのは難しいかも知れない。

加えて、これが中長期的な傾向の序章になる可能性も否定できない。
昨今、日本経済の強さの象徴と考えられていたソニーやパナソニックなどの大幅赤字計上が報道されており、アジア各国の留学志望者が日本を選択しなくなる可能性が高まっているからだ。

留学生が「留学」というものに求める価値。
それは「異国の文化、社会システムの学ぶ」ということはもとより、自身の人生設計を見据えた「外資企業への就職」という強い目標が存在する。

つまり、日本の大学での生活も大事な要素だが、その先に留学生が手に出来る可能性を社会全体で提示できるか・・・も重要な要素ということになる。

既にご承知の方も多いと思うが、日本では本格的な少子高齢化の進展に伴い、定員割れを起こしている大学が続出している。こうした状況下、大学経営という観点から留学生を積極的に受け入れてきた大学も多い。

しかしながら、留学生が卒業して、自分たちが希望した職に就けているかというと、そこは覚束ない状況にある。
実際、行政は留学生と地元中小企業とのマッチングなども開催してきたが、どうしても双方に意識のズレが見受けられ、十分な成果を挙げられていないように思われる。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


とりわけ、留学生ダントツ1位の中国に関しては、今後の推移がより憂慮される状況にある。
90年代の改革開放以来、中国からの留学生数は増加の一途を辿ったわけだが、その後の出世状況を中国人の観点から見比べると、日本留学経験者は欧米留学経験者が手にした成功に見劣りすると言わざるを得ない。

これは、日本と欧米の企業統治手法の違いが多分に影響しているようだ。
欧米企業は、文字通り「現地化」を進める傾向が強い。
英語が流暢で経営の知識や経験を有しているのであれば、母国人でなくても若くして総経理に抜擢されることは珍しくない。
その代わり、結果が出なかった場合には容赦なく首を切られる。
いわゆる本当の意味での「実力主義」。分かりやすいですよね。

翻って日本は・・・というと、旧態依然とした企業統治が主流。
筆者の印象だけではないと思うが、日系企業の総経理は日本から派遣されて来る
40歳後半~50歳代の日本人というパターンが多く、しかも任期が2~3年と短期のケースが多い。
雇用される立場からみると、老板(社長)が代わるたびに方針が変わってしまい、自分に対する評価も属人的な要因でコロコロ変えられてしまうことになる。
これで中長期的に頑張ってもらおうと思うのは、いささか無理があるというもの。

さすがに20年も経ってくると、「どの国に留学するのが得なのか?」という道筋が具体的に見えてくる。
しかも、中国は「ひとりっ子政策」の影響を色濃く残す国。
親が子どものために必死に尽くす姿は、日本の比ではない。
こうした親たちが日本への留学に否定的な考えを持つようになったらどうなるのか・・・。考えるだけで恐ろしくなる。

しかも、単純に留学生と言っても、経済的に裕福な家庭もあれば、国費留学生などもあり、国によっても事情は大きく異なる。
この点、中国は経済成長の真っ只中なので、日本経済に対しても少なからぬ好影響を与えているかも。。。

こうした留学生は、日本という国に住んだことがある「よき理解者」。
もう少し日本全体で留学生とWin-Winになる仕組みを考えていけば、「国際化を進めるにはどのような手法が必要か?」なんていう難しい議論はあまり意味をなさなくなると思うのですが。。。


↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

中国 今回の利下げを改めて考察する

2012-06-11 | 中国経済



先週、中国が3年半ぶりに利下げを発表した。
0.25%という低い変動幅だったが、何より利下げを行ったということが大きい。
これを受けて、中国が本格的に財政緩和に舵を切るのでは・・・との憶測が急速に拡大している。

今回の利下げ、特に注目したいのは「発表のタイミング」。
かなり唐突という印象で、発表に驚いた関係者も多かったはずだ。
筆者も近い将来、利下げ等の緩和策が打ち出されるだろうと予測はしていたが、こんなに早く発表されるとは正直言って想像していなかった。

こうした発表には、必ず要因があるはず。
(筆者は、ついついそう思ってしまうもので。。。)
そこで、筆者なりに推論を展開してみたい。

まず、最近の景気指標をみると、中国経済の低迷を示すデータが多いことが分かる。特に不動産関連は昨秋の引き締め策強化以降、半年以上にも渡って不振の状態が続いており、業界関係者は緩和策の発動を今か今か・・・と待っているような状況と言っていい。

しかしながら、政府としてはインフレ懸念から簡単に政策緩和の方向を打ち出すわけにはいかないのが実情。
そんな中、消費者物価指数の上昇が比較的落ち着いていることが、今回の利下げ背景のひとつと言える。

ここで興味深いのは、経済全体の勢いは鈍くなっているにも関わらず、貿易関連の数値は予想に反して力強い伸びを示していることだ。
本来、ここまで外需が堅調であれば、もう少し様子見という選択肢もあるはず。
ただ、これは相対的に考えると、「内需拡大による安定成長」という中国政府の方針がいかに難しいかを表しているとも捉えられる。
中国経済における「内需」というものが、不動産や高額物品を多分に含んでいるという実態も透けて見える。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


一方で、中小企業の資金繰りの悪化もかなり前からの懸念材料。浙江省で発生した中小企業経営者の夜逃げに代表されるように、中小企業がノンバンクからの融資に依存しているという実情も指摘されている。

こうした中でのわずか0.25%の利下げ。
上記の中小企業の資金面での支援という観点から考えると、いかにもパンチ不足との感が否めない。
むしろ、今後の利下げに向けた大きな期待といったところか。。。

加えて、経済情勢が不透明な中で、これまでの融資方針を転換して、中小企業に積極的に貸出を行うとも想像し難い。
つまり、実態経済に与える影響は軽微ということが予想される。
ま、こんなこと、優秀な中国政府担当者にはお見通しだと思いますがね。

今回、もうひとつ興味深いのは「金利の一部自由化」もあわせて実施したこと。
利下げ後のある金融機関店頭金利をみると、貸出利率は低下、預入利率は現状維持という状態だった。
つまり、簡単に言うと「貸出は増やしたいが、預金も減らしたくない」という銀行側の意思を反映しているワケだ。

日本の金融機関をみていると、にわかに信じがたいかも知れないが、中国経済は資金需要が旺盛なので、中国の銀行にとっては預金が集まらないと資金がパンクする危険性があるのだ。
したがって、利ざやという観点から考えると、利下げに伴って貸出、預入双方の金利を調整するのが一般的だが、敢えて預入だけは据置くという処置に出たのだろう。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


中国にとって、いま最も気になるのは欧州経済の行方だろう。
折りしも今週末にはギリシャ総選挙を迎える。
ここで波乱があれば、欧州経済が一時的に混乱し、その余波で中国経済が影響を受ける可能性は否定できない。

こうした観点に立つと、国内的な要因とあわせて、他国の選挙という不透明な要因に対処すべく、先手を打って一定の利下げを行ったと見ることもできる。
中国政府にとって、0.25%という数字はいつでも挽回できる率。
しかも実体経済が今後好転するか、悪化するかという二者択一で考えると、今や後者の見方を選択するほうが多いに違いない。
したがって、今回の措置は一種のくさびのようなモノと考えるべきだろう。

筆者が考えるに、国家政策というものは、色々な要素を考慮して、最大公約数を見つけ出して決定されることが望ましい。
だって、この難しい現代社会において、万人にとって望ましい政策なんて実現不可能ですから。。。

今回の利下げも、そのような観点で見ると色んな推測ができて面白いですよ。
また、その後の結果も追っていくと更に面白いかと。。。

冷静に考えると、超低金利を10年以上にも渡って続けているようじゃあ、金融政策なんて語る立場にないですよね。
いやはや、国民の一人として何とかしたいもんです。。。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

【おすすめ上海グルメ】夜上海(新天地)

2012-06-10 | グルメ

ちょっと忙しかったので、ブログ更新が疎かになってしまいました。
今週から気を取り直して頑張ることに。

さて、本日は休日ということもあって、軽めの内容にしようかと。
久しぶりに「グルメ情報」です。
本日のお店は、新天地に店を構える「夜上海(イエシャンハイ)」。



上海料理を中心としたお店です。

店の入口は、新天地の外側にあるので、新天地内から店舗に入るには細い裏道のようなところを通ることに。





これも、なかなか雰囲気があってよろしいかと。。。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】

店内の雰囲気は、オールド上海そのものといった感じ。







大切なお客さんの接待、恋人同士での食事など、使い道は色々とありそうです。

筆者、今回は偵察の意味も兼ねて一人での利用でしたので、1人用のランチを頼むことに。
私がオーダーしたのは、1人58元(約750円)のランチ。
単価だけみると、東京並みですね。
上海の街中では、10元ほどで利用できるローカル系のお店も多数あるが、やっぱり衛生面や味付けの問題もあって、いつも利用するにはちょっと限界があるのも事実。
また、頻繁に上海に来るお客さんの対応を考えると、定期的に新しいラインナップを富訳していく必要があるわけで。。。
ま、イヤじゃないからいいんですけどね。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


前置きが長くなりましたが、ココで当日のランチの内容をご紹介。



前菜盛り合わせ。いかにも一人用といった感じ。



続いて、小龍包(ショーロンポー)。コチラもオシャレな感じ。
メインの料理は・・・というと、



担担麺(タンタンメン)を選びました。
でも、コレって上海料理じゃないような。。。
ちょっと味付けが濃いかな。



最後にデザートで終了。これもガッツリ出てこなくて、よかったです。

全体的な感想としては、雰囲気は申し分なし、味はまずまずといったところ。
この「まずまず」というのは、飛び抜けて美味しいという感じではないというコト。
したがって、接待などでは十分使えると思いますね。

上海料理の店というと、どうしても「小南国」など定番の店になってしまいがち。
せっかく上海に住んでいるんだから、「めちゃめちゃ美味しい!」というお店を早く開拓したいもんです。

↓いつもご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ















中国民主化への道のり(勝手な予想)

2012-06-04 | 中国社会学

前回記事に引き続き、今回は「中国民主化への道のり」をテーマに。
最初に断っておきますが、本記事が筆者の全くの勝手な予想なので、当たらない可能性が高いということを前提にお読み下さい。
あくまで持論に過ぎませんので。。。

まず、「民主化」というものが、最終的にどのように成し遂げられるのか?という点から考えたい。
そもそも民主化運動が起こる前には、市民の人権が著しく侵害される、貧富の差が激しくなって貧困層が増大する、激しいインフレに見舞われる等の現象が見受けられることが多い。
そして、その多くは独裁政権によってもたらされる弊害であることが多く、政権崩壊後に旧独裁者が裁きを受けるといった光景をしばしば目にしてきた。

最近の「アラブの春」などでも顕著になったように、民主化を求める庶民のエネルギーというものは凄まじいものがある。
民力というのは、抑圧されればされるほど、爆発力を増しますからね。
これ、歴史的に繰り返されてきたコトであります。

しかし、こうした民主化運動によって政権転覆がなされた後、順調に民主化が進むか・・・というと、そう簡単でもないことは周知のとおりだ。
いや、その後の混乱ぶりのほうが鮮明だと言っても過言ではないだろう。
イラクやアフガニスタンは未だに混乱状態が続いているし、民主化の第一歩を踏み出したアラブ諸国にしても正常化への道のりは遠い。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


ここで注目すべきなのは、民主化後の政治体制。
国によって差はあるものの、民衆が政治の主導権を握ったという例は極めて少ない。ほとんどの国において、政権交代は実現するが、政治家の顔ぶれは似たり寄ったりで、少数派が多数派になったり・・・といった小さな変化はあっても、結局は「大差ない政権」が誕生することが多いのが実情ではないだろうか。

日本のマスコミでは、中国で何か民族紛争があるたびに「民主化運動が激化」とか「共産党政権崩壊の兆しか?」といった報道がなされるが、冷静に考えて、そんな事態がすぐに起こるとは想定し難い。

なぜなら、前述のアラブ諸国などと中国を比較すると、置かれている状況も政権の仕組みも全く違うからだ。

この中国では「共産党一党支配」という状況が続いているが、これは厳密な意味での独裁政権ではない。一党による支配ではあるが、一応「集団合議」による統治はなされており、独裁国家に見られるような専横的な政治は改革開放以来、鳴りを潜めているからだ(文化大革命はひどかったようだが・・・)。

加えて、共産党による支配が続く限り、その周辺に群がっておけば、その恩恵に浴することができるという構図が生き続ける。
「富」の源泉は、常に現政権を中心に湧き出てくるものなのだから。。。

そして、この恩恵に浴している人々は、外国人が想像する以上に広範囲に渡っていると言える。現在の中国社会において、不動産を保有し、自家用車を複数所有しているような中流階級以上の人々は、多かれ少なかれ現在の統治システムの恩恵を享受していると考えてよさそうだ。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


こうした経済的な豊かさと密接に関係している統治体制が、内部から崩壊すると考えるのは相当ムリがあると言わざるを得ない。
改革や革命というのは、本当に窮してこそ起こるものであって、適度に満たされた状態であれば、強大な権力に立ち向かう勇気など生まれてくるはずがないからである。

一方で、一部の海外メディアからは「内部からの民主化が困難なら、外圧によって民主化をサポートすればいい」といった論調も見受けられるが、これまた的外れと言わざるを得ない。
ここまで論じてきたとおり、民主化というのは文字どおり「自国の民衆が行動するもの」であって、外国からのサポートなどさして大きな問題ではないからだ。

では、中国はこのままの政治体制が続くのだろうか・・・?
ここからは、筆者独自の推測となる(悪しからず)。

筆者はいつも「政治」と「経済」は切っても切れない関係にあると思っている。
いままでも不景気が続くと政権交代が実現したり、長引く不況が引き金となって民衆が蜂起し革命が成し遂げられたり・・・と、経済問題が歴史を動かしてきた例は枚挙に暇がない。

そう考えると、いまの中国の経済発展がいつまでも続くのか・・・という視点が重要になってくると筆者は考える。

すでに珠江デルタの一部ではGDPの伸び率が低調になっているように、規模の拡大のみを志向する成長モデルはこの数年で行き詰まるものと思われる。
この低成長という現象は、他都市に先駆けて発展した地域・都市ほど顕著なものとなるため、こうした先行発展地域の指導者層は新たな評価基準を求めることになる可能性が強い。
例えば、都市環境の充実や住民福祉の向上、汚職の撲滅といった数字に表れない政策が考えられるだろう。

加えて、人間の欲求というものは際限が無い。
これは富める者ほど顕著で、お金をたくさん持っている人間が物欲にひた走ることはよく知られた行動パターンだ。
しかし、この物欲というものは意外と満たされ易い(というか、飽き易い)。
ここでマズローの欲求五段階説ではないが、「社会的欲求」というのが芽生えてくるのが自然の流れというもの。
つまり、金もモノも欲しいままにした人間にとって、最終的にターゲットになるのは「社会的地位」に他ならない。
最近起こった薄煕来の事件などもこの一端ではないだろうか・・・。
このような動きに出るリーダー層、今後も増えることはあっても減ることはないだろう。

よって、筆者が考える中国民主化の行方は、こうした指導者層の動きが起点。
これだけ広大な国家にもかかわらず、国家最高指導者がひとりしかいないというのは、そもそも無理がある話なのだから。
勿論、米国のような大国もあるワケだが、こちらは民主的な選挙によって大統領が選出されている点が決定的に異なる。
少なくとも今後数年は経済成長を続けるであろう中国において、現在の国家指導者選出の仕組みを維持し続けることは、非常に困難だと思えてならない。

ただ、中国政府および中国人民は、「この大中国がパワーの源である」ということも同時に熟知している。しかも、全ての省において漢民族の支配が浸透している点も無視できない。
加えて、人民解放軍はひとつしかなく、これが割れるなどということは政権内部で紛争が起こることを想定する以上に想定し難いのも事実だ。

よって、筆者の現在の持論は「経済発展に伴って地域主権的な動きが拡がり、緩やかな地方分権(連邦制のような形態)に移行し、政権トップは地方の長による合議や投票によって選出される形になる」というもの。

ま、外れる可能性が高いですけどね。
当たったら・・・褒めてやってくださいまし。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ