<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

2012年末 上海コンビニ戦争の現況

2012-12-26 | コンビニ戦争

今回は久しぶりに経済ネタ。
別にサボっているわけではないのですが、経済関係の記事は結構骨が折れるもので、どうしても後回しになりがち。
反省します。。。

もうすぐ2013年なので、2012年の中国経済総括、日本経済の屋台骨である自動車産業の中国における現状と今後の展望などをテーマにしたいと思っています。
もっとも、記事化できるかどうかは未定ですが。。。

さて、本題に。
今回は、以前取り上げた上海におけるコンビニ戦争の現況について。



詳しくは、左側にあるカテゴリーの「コンビニ戦争」を参照ください。
7回にわたって連載していますので。

実は、このシリーズ、読者の反応がかなり良かったです。
書いている本人としては、どれも思い入れがあるので、これと言って当たるとか当たらないとか分からないものですが、意外と誰も取り上げていないらしく、目新しさがあったからなんでしょうね。

で、読み返して頂けると分かりますが、今年初めの同業界はまさにイケイケの状況。我先に出店、出店を競い合っていたような感じでしたね。
それが、いまは・・・というと、残念ながら完全に逆モード。
「コンビニ業界、まとまった閉店が目立つ」と報道されています。
わずか1年足らずですからね、中国消費市場の変化の速さが窺い知れるというもの。

もっとも、こうした出店ラッシュが実体経済にマッチしていたのかと言うと、そこは以前指摘したとおり、非常に怪しいところ。
中国市場に限らず、「先行利得」を得ようと無理な出店を重ねるあまり、会社全体の業績の足を引っ張る結果を招いてしまい、挙句の果てに閉店ラッシュという構図はよくある負の連鎖の典型かと。。。


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つまり、上海のコンビニ業界、完全にオーバーストアの状態になってしまったワケです。
こうした状況に加え、テナント賃料、人件費といった運営コストの上昇が重くのしかかってきている。
こうなると、出店調整に踏み切るしかないですからね。
上海にいち早く出店したローソン、地場系の好徳、可的が店舗整理を断行したのに続き、ほかの主力コンビニチェーンもまとまった数の店舗を閉店する動きを加速させている。

同業界で最も競争力を有するファミリーマートでさえ、今年は少なくとも数十店舗の整理統合を行うとしており、ローソンは約30店舗、セブンイレブンは華東地域全体で約20店舗を閉鎖すると予想されている。





筆者の住む地域でも、ローソンは2店舗、閉鎖したままとなっている。
なるほど、こういう事情があったのか・・・と。

さらに、ファミリーマートの近くに地場系の好徳があったが、突然ファミリーマートにチェンジ。同店舗から目と鼻の先に同じファミマがあるので大丈夫かなぁ・・・と思っていたら、案の定、3ヶ月ほどで閉鎖。
コンビには場所が命なので、ある程度分かりきった結末だと思うんですが。。。

もっとも、地場系コンビニは更に深刻な状況のようで、日系以上に中心顧客層である若い世代の取り込みに苦戦しており、業績回復の糸口すら見出せない状況。
ウチの事務所の近くでも、注目していた喜士多が閉鎖に追い込まれていますから、ホント、競争が激しい市場です。



地場系の一部は生き残り策の一環として、インターネットや電話による受注、宅配といった新たなサービスを模索しているようだが、これも却って人件費が嵩む取組みですからね、簡単には成功しないのではないか・・・と。


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日系コンビニに話を戻すと、やはり中国での最大手、ファミリーマートの動向に注目が集まる。
同社は2012年9月、出店開始から8年余りで累計1,000店舗を達成。
2015年にはグローバル25,000店体制(うち中国:4,500店)、2020年にはグローバル40,000店体制(うち中国:8,000店)という目標を掲げている。
この目標を達成するには、少なくとも1年あたり1,000店舗以上を増やしていかないといけないことになるが・・・。
こうした中、同社は2013年2月末までに1,227店まで増やす計画だったが、これを66店少ない1,161店に引き下げ、2014年2月期の純増数の計画も、未定ながら2013年2月期を下回る見通しと報じられている。
「若年層を中心に将来、中国のコンビニ事業はまだまだ有望」と見込んでいるようだが、果たして・・・。

一方、ローソンは2012年6月に中国初のキャラクターコラボ店「LAWSONウルトラ英雄シリーズ店」をオープンさせたが、わずか半年足らずで営業を停止した。
特別な内装や制服、ライセンス使用料など、コストが掛かりすぎたようですね。
同店の場合、通常の店舗と比べ3倍以上のコストが必要となるらしく、店舗維持を図るには1日4~5万元の売上げが要求されるが、実際のところは1~2万元程度と完全にアテが外れたようだ。
今後は別の場所への移転を計画しているとのこと。
ちびっ子にとっては、復活が待ち遠しいところでしょう。

地場系コンビニ関係者の話では、「一般的に1日5~6千元の売上げでようやく利益が出る水準だが、上海では過当競争が進み、1日3千元に満たない店舗も出てきている」とのことで、出店調整の動きはしばらく収まる傾向にないようだ。

もっとも、こうした見込み違い、近い将来に解消されるかと言えば、それも不透明だと感じざるを得ない。
日本のコンビニを収益面で支えているのは、言うまでもなく弁当などのテイクアウト商材。
ただ、中国では既に「外売」をいう文化が浸透しており、肉まんにしても、弁当や麺類にしても、コンビニよりも既存の路面店のほうが「安くて旨い」というのが常識となっている。
加えて、日系コンビニですら、日本の店舗で漂う「わくわく感」のようなものを醸成できておらず、単なる便利さだけを求めるのであれば、既存店で十分という面は否定できない。
たしかに筆者も、本当に必要なときしかコンビニを利用しませんので。

更に言うと、ここは大陸文化。
日本のように小さな島国ではないため、「必要なものを必要なときに買う」という文化は根付いておらず、どちらかと言うと、「大量に買えば安くなるなら、そのときにまとめて買う」という文化。
近頃では、何でもネットで購入という側面も悩ましいところ。

難しいコトだらけのようですが、何だかんだ言っても伸び続ける中国市場。
苦しいときほど、経営陣の斬新な発想に注目していきたいものです。

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上海 加熱するコンビニ戦争7(総括)

2012-01-11 | コンビニ戦争

これまで6回にわたって、コンビニ業界における競争状況をレポートしてきた。
今回は、その総括をしたい。

現在、上海市内には5,000店超のコンビニ店が営業していると言われているが、その数は今後も増え続けるだろう。
特に今後5年間は、コンビニ黄金時代と呼ぶ関係者もいるくらいなので、各社とも覇権を握るため、出店ペースを加速してくるだろう。

これまでのレポートの中でも言及したとおり、コンビニは各店舗の面積が小さく、取扱い商品にも限界があるため、「いかに個々の店舗の運営効率を上げるか」、「いかに粗利益率を向上させるか」が最大のポイント。

そして、来客率を高めるには、やはり「ブランド力の向上」というのも無視できない要因であろう。

こう考えると、日系コンビニチェーンが日本で経験してきたこととダブる部分がかなりあることが分かる。
「一日の長」がある分、日系有利の現状にあるが、戦場は中国だけに現地系がどのような策を繰り出してくるか、今後も目が離せないところだ。

各社が拡大路線を志向する中で、勝敗を決する要素は何なのか?
筆者なりの結論は、以下の4点だ。

まず一点目は、流通面での整備。
ご承知のとおり、中国は日本と違って広大な国土を有する。
コンビニの場合、個々の店舗が小さいだけにどうしても店舗数を多くする必要に迫られるが、店舗数が増えれば増えるほど問題になるのが「流通面の整備」。
中国では物流網の整備も十分ではなく、性急な店舗網の拡大はオンタイムの配送が確保できなくなる危険性を有しており、こうした事態を招くと売り逃し、ひいては消費者離れを招くことにも繋がりかねない。
中国の消費者は、日本ほどコンビニのブランドに拘りを持たないと言われている。
コンビニの原点である「いつでもどこでも便利」という原則を徹底的に追及できるか、基本的なことではあるが、非常に重要であろう。

二点目は、企業管理体制の構築。
拡大路線を図っている企業が陥りがちなのが、「管理体制の不備」。
文字どおり、企業の急成長に管理が追いつかないようなケースだ。
ここは、中国社会特有の難しさも関係してくる。
中国では人材の流動が激しく、管理部門の人材が長期にわたって定着する保証はないため、いかにして安定した管理体制を構築するかは大きな課題。
しかも、コンビニの高収益部門は「中食」に代表されるおでん等の店内販売。
苦労して店舗網を拡大させても、衛生上の問題などが発生した日には、せっかくの努力が水の泡になりかねない。
当たり前のことではあるが、上り調子の時ほど気をつける必要があるだろう。

三点目は、商品開発力の強化。
これまで、中国のコンビニは日本のモデルを参考にすればよかったが、概ねこの手法は導入済みのため、これからは中国特有の需要に合わせた商品開発、店舗開発というものが重要になってくるだろう。
日本でもそうだが、コンビニは最新情報の発信拠点となり得る。
こうした需要がどこにあるのか、情報収集能力も勝敗の分かれ目となりそうだ。

最後に四点目は、上記3点を支える人材の育成。
コンビニの店内は、商品と店員という二つの要素しかない。
良くも悪くも、非常にシンプル。
それだけに、優秀な人材をいかに確保するか、いかに成長させていくかが最も重要だろう。
また、日本でも見受けられるように、こうした店舗スタッフを管理スタッフにも登用するなど、個々人のスキルアップ、キャリアアップに繋がるような仕組みを構築していくことも課題と思われる。

以上、素人目線で中国のコンビニ業界を概観してきたが、筆者にとっても今回のテーマは勉強になる部分が多かった。
これまで国内型産業と思っていたコンビニ業界は、ひょっとしたら海外進出のトップランナーに躍り出るかもしれない。
そのような思いを強くした次第だ。
これからも日系コンビニの躍進を大いに応援していきたい。

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上海 加熱するコンビニ戦争6(注目の新勢力)

2012-01-10 | コンビニ戦争

これまで日系3社を取り上げたので、今回は注目株をご紹介。
筆者がひそかに注目しているのは・・・



喜士多(C-Store)です。
トマトがトレードマーク。
配色などは、どことなくセブンイレブンっぽいですね。

同社、店舗数こそ好徳や可的に及ばないが、幹線道路沿いや駅構内などの目立つ場所への新規開店を続けるなど、その躍進ぶりは注目に値する。
もっとも、同社の設立は2001年。そんなに新しいワケでもない。
同社は上海で事業をスタートし、江蘇省や浙江省一体に店舗網を拡大。
南の広州市周辺でも店舗網を有している。

筆者が2年前、上海に赴任した当時、そこまで目立つ存在でもなかった気がするが、最近オープンした店舗などを見ると、かなり日系コンビニチェーンを意識した経営を加速していることが分かる。
下の画像は、コンビニがひしめく地下鉄駅構内のお店。



入口付近ではオープンキッチンさながらの調理が行われている。

同社の特徴は、こうした新しいものを取り入れようとする積極的な気風。
例えば、コーヒー文化の未熟な上海において先行投資的に挽きたてコーヒーを提供していることや、おにぎりやベーグル、サンドイッチ等の販売に力を入れているあたりは、日系コンビニを徹底的に研究した形跡が見受けられる。

中国では定番のイートインコーナーの設置も、当然のように行われている。



そんなに広くはないが。。。

とはいえ、店内全体は清潔感が溢れている。



同店舗が改装したばかりということもあるが、全面ガラス張りで商品も整然と陳列されており、現地系コンビニにありがちな雑然とした感じは微塵も感じられない。

管理面でも品質重視の姿勢を打ち出しており、日本の技術を導入したり、専門の品質検査室を設置したりと、他社との差別化に余念がない。
また、携帯電話での支払いをいち早く導入するといった取組みも特筆もの。

こうした取組みを支えているのは、言うまでもなく人材。
同社は「人材育成」にこだわり続けており、時には総経理自ら研修の陣頭指揮を振るうほどで、店舗従業員の平均年齢は25歳前後と言われている。

同社の決定的な強みは、親会社「大潤発」。
なるほど、同社のシンボルカラーが「赤」というのは、親会社と同じだったんですね。
この大潤発、国内最大手のスーパーマーケットチェーンで、商品仕入れや物流などの面で絶対的な力を有している。同社は様々なシーンで親会社と協業することで、今後も着実な成長路線を勝ち取る可能性が高いだろう。

現時点の上海市場を概観すると、日系コンビニがリードした段階にあるが、ちょっとしたことがきっかけで攻守が逆転するのが中国市場の常。
後発とは言え、猛烈なスピードで追いかけてくる現地系チェーンをいかに突き放していくのか、まさに日系コンビニの真の底力が試される時期に差し掛かろうとしている。

次回は最終回として、コンビニ編の総括をしたいと思います。

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上海 加熱するコンビニ戦争5(セブンイレブン)

2012-01-09 | コンビニ戦争

今回は、日本での王者、セブンイレブンの中国展開について。



わざわざ「日本での」と断ったのは、中国、特に上海では最後発であるため。
このあたりは、後ほど言及するが、同社の堅実な経営姿勢の裏返しでもある。
自動車業界のトヨタのような感じかな。。。

まず、同社の中国進出の経緯から。
同社の中国展開、2004年の北京進出から始まっている。
きっかけは、米国セブンイレブンの建て直しにメドがついたこと、国内既存店の売上げが頭打ちとなる中で海外に成長基盤を確保する必要が生じたこと等にあると言われている。

同社も、前述の3社と同様、合弁での進出。
北京における会社設立は、現地流通企業、糖類酒類販売企業との合弁。
出店ノウハウ、商品仕入れを考慮しての組み合わせと推測される。

また、北京という地を選んだ理由は、大中国の首都であるという一面と、親会社のイトーヨーカ堂は北京を中心に店舗展開を図っているという面が大きかったのだろう。
やはり、商品仕入れや物流面で協業が図れますからね。

同社、上海進出は大幅に出遅れているが、これも戦略のうち。
中国進出に当たって、スピード感よりも「日本流のコンビニモデル」の構築に力点を置いた結果なのだ。
確かに日本国内においても、セブンイレブンは自社のブランドに強い拘りを持ち続けているように見える。
同社が導入・普及を図った「おでん」でも、流行に左右されることなく品質本位の姿勢を貫いているし、弁当やスイーツの品質はやはり同社が頭一つリードしている印象だ。

こうした姿勢は中国においても徹底的に貫かれており、最も端的な部分は「店内調理」。
ご承知のとおり、中国の消費者は冷たいものを食す習慣がないため、暖かい食品を提供することは大きな強みとなる。
最近では、どのコンビニチェーンでも珍しくないが、中国でのおでん文化の普及に一役買ったのは、同社であると言って過言ではない。
こうした動きを深化させ、最近では10種類ほどのできたて惣菜を提供し、ご飯と一緒に弁当形式で売るというスタイルで粗利益率を向上させている。



もっとも、中国の惣菜には結構な量の香辛料が使用されるため、店内がもの凄い匂いで充満するというデメリットもありますが・・・(中国の消費者はあまり関心なし?)
このほか、挽きたてのコーヒーを提供するという試みは、将来を見据えての展開と言える。

先日も言及したとおり、コンビニの大規模展開で最も重視すべきは「粗利益率の向上」。
同社の北京での粗利益率は、既に30%を超えると言われている。
また、1日の平均売上額も20,000元(約25万円)にまで成長しており、この金額は他の日系コンビニの2倍超に達している。
こうした実績は、今後の上海でのFC展開の重要な基礎となるに違いない。

上海での事業展開について、同社はFC(フランチャイズ)展開と決めた。
FCの相手先は、台湾の統一集団。
統一集団は、台湾でもセブンイレブンのFC展開を担っており、台湾地区内で約5,000店舗を運営している。
また、統一集団は中国国内で飲料、即席麺などの流通を展開しており、商品流通、物流等の面で豊富なノウハウを有している。
中華圏での実績面ではまさに申し分なく、展開手法はファミリーマートとダブる。

もっとも、出店ペースに関しては控えめで、急激な拡大を標榜するファミリーマートとは一線を画している。
同社は、年50~60店を開店させ、5年後には300店舗まで拡大させたいと語っているが、これはローソンと比べても5分の1、ファミリーマートと比べると15分の1の店舗数に過ぎない。
裏返すと、同社の「利益重視」、「丁寧なブランド構築」という経営姿勢を示すものと言えそうだ。

日本国内で業界トップに君臨するセブンイレブンが、上海においては最後発の位置。
しかしながら、経営姿勢は日本と同様のスタイルを貫く(横綱相撲を標榜)というところに、戦略の妙味、ひいては中国市場の面白さがある。
ただ、おぼろげながら感じるのは、同社の絶対的な自信のようなもの。自分たちのスタイルを貫けば、必ず中国の消費者にも受入れられるはず・・・というような雰囲気を感じずにいられない。

こうした同社の取組みを通じて、同社が中長期的にみて成功を勝ち取ることができるのか、今後も注視していきたい。

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上海 加熱するコンビニ戦争4(ファミリーマート)

2012-01-06 | コンビニ戦争

前回のローソンに続いて、今回はファミリーマート。



実は今回の特集を取り上げようと思ったのは、まさに同社の大躍進が目にとまったことがきっかけ。
それくらい、同社の上海での勢いはずば抜けている。

まずは、同社の上海での実績から。

同社、上海第1号店のオープンは2004年。
ローソンと比べると、実に8年も遅れて進出したことになる。
もっとも、これには理由があるようで、同社は1988年に大陸に先駆けて台湾に進出。2011年2月末時点で、2,637店舗も有している業界第2位。
同じ中華圏での豊富な経験が、現在の大陸での大躍進を支えていることは言うまでもないだろう。

こうした積極的な海外展開が実を結び、2009年8月には海外店舗数が国内店舗数を逆転し、2012年2月末現在、海外:9,350店舗、国内外合計:17,598店舗まで成長している。
筆者も、これを取り上げるまで、コンビニがここまで国際展開しているとは知りませんでした。何となく国内産業というイメージがありますので。。。

あわせて、同社はグローバル2万店という構想を掲げていたが、これも2012年度中には達成見込みとのこと。
もの凄いスピードですね@@@

しかも、中国に限って言うと・・・
2004年に進出して6年余りで500店舗を突破しており、その数は日を追うごとに増加の一途を辿っている。
筆者が知っているだけで、軽く10店舗以上あると思いますから。

考えてみれば、コンビニっていうのは「規模の原理」が働きやすい分野。
現在、この業界の収益を支えているのは「中食」と言われる弁当などの販売。
利益率が抜群にいいですからね。
この部分で利益を最大化しようとすると、どうしても「規模」が必要となるワケです。

現在、上海、広州、蘇州の3都市で店舗拡大中だが、今後は内陸部などへの出店も加速させ、2015年度には4,500店(グローバル25,000店)、2020年には8,000店(グローバル40,000店)を目標としているから、現在のスピードなど甘いほうなのかも。。。
ちなみに、この8,000店という数字、現在の国内店舗数とほぼ同じ。
これを考えれば、中国の成長スピードが体感できるというもの。
また、2015年の4,500店という数字は、ローソンの目標1,500店の3倍。
この市場での同社の優位性が見てとれる。

同社の設立形態も合弁だが、ローソンとは異なる。
ローソンが大手国有企業1社との合弁だったのに対して、同社は現地企業の頂新集団、伊藤忠商事、台湾ファミリーマート、日本ファミリーマートという4社の合弁。
頂新集団は、中国大手食品メーカーで、広大な中国市場において既にインフラ網を有している。
伊藤忠商事は、中国ビジネスに精通しており、商社として商材調達などの面でも強みを有する。
台湾ファミリーマートは、既に台湾で成功した同社のモデルであり、同じ中華圏の店舗網として、その経験を最大限に生かすことが可能。
日本ファミリーマートは、総括的な立場で事業全体をウォッチしていくことが可能。
現在の大躍進は、出資者である4社が共通の利益に向けて、それぞれの強みを生かしていくというシステムがうまく機能している結果なのだ。

もっとも、同社の事業が順風満帆か・・・と言えば、現段階ではそうでもない。
収益面でみると、1店舗あたりの売上げは1日8,000元(約100,000円)程度。
2011年度に店舗段階の黒字化、2012年度に事業全体としての通期黒字化を目指しているという状況なのだ。
こうした大手コンビニでも、利益を出していくことが難しい市場だということも分かるだろう。

同社は現在、「ニューマーケット」と呼ばれる地下鉄や空港での店舗を次々に開店させている。



かなり狭いですけどね@@@
しかも、科技館の駅などは改札を挟んだ向こう側にもファミリーマートが開店。
まさにわずか数十メートルの距離。
ただ、見た感じでは客入りも好調な様子。
まあ、必ず人が集まるところですからね。。。
こうした取組みが、同社の新たな収益エンジンとして機能していくことは間違いないだろう。

同社は、店舗網の拡大に向けて、人材育成やインフラ整備にも非常に注力してきた。
この点については、後ほどの総括編で言及していきたい。

現在、上海市内を走っていると、至るところで「全家(ファミリーマートの中国名)」を見かける。
日本発祥のコンビニが中国に根付いていく、コレこそが両国の結びつきの礎と言えるだろう。一日本人として、今後の活躍に大いに期待したい。

次回は、セブンイレブンの事業展開を紹介します。

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