<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

2010年GDP、日本は中国に抜かれ、3位転落

2011-02-15 | 中国経済
内閣府が14日発表した2010年の国内総生産(GDP)速報値によって、日本が中国に抜かれ、3位に転落することが確定した。日本の名目GDPは、前年比1.8%増の479兆2231億円(5兆4742億ドル)、中国の名目GDPは39兆7983億元(5兆8786億ドル)となり、現段階で約4000億ドルもの差を付けられてしまった。大げさに言えば、42年間維持してきた米国に次ぐ「世界第2位の経済大国」の座を中国に明け渡したことになる。またひとつ、歴史上の重要な節目を迎えたとも言える。

http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_gdp-japan-china20110214j-03-w380

こうした状況は今いきなり始まったわけではなく、昨年も統計上、大きな変化があったことは記憶に新しい。それは、2009年の工作機械生産額である。
ここでも日本は、28年間守ってきた首位の座を中国に譲り、しかも同時にドイツにも抜かれ3位にまで転落するという憂き目に遭った。某政治家が「2位じゃダメなんですか?」と発言したこととイメージが重なるが、国際競争の中ではトップを目指さないと意味はないのである。

当時、この統計の基準が「生産額」だったこともあって、日本では「中国で生産されているのは中低級品が主流」、「日本は高級品分野で活路がある」、「中国はリベート社会で、純粋な製品価格以外の部分が多く含まれている」など、半ば開き直りとも取れるような論調が見受けられた。

今回もある程度、事前に予測が立っていたこともあり、「1人当たりのGDPでは、日本は中国を大幅に上回っている」とか、「富の配分が適正でない」などといった中国批判がしばしば見受けられる。果たして本当にそうなのだろうか?

こうした状況をみると、筆者は「うさぎとカメ」の話を思い出さざるを得ない。日本は高度成長期に経済成長に向かって一直線に努力していた「カメ」の時代を忘れ、大きく肥え太ってしまい、走ることもままならない「うさぎ」になってしまったように感じてしまう。

日本人は、もう少し冷静に現在の経済情勢を認識すべきである。日本が中国と同じような経済成長が見込まれているのであれば、前述のような論調に理解も示せるが、少なくとも今後10年で考えてみても、両国の予想経済成長率には大きな差があり、早晩追いつかれることは目に見えている。今こそ現実を直視すべきなのである。

中国には広大な土地があり、伸び盛りの所得層がたくさん存在する。沿海部の発展は相当程度進んだが、中国全体で考えるとまだまだ発展の余地は大いに残されている。いや、国全体が伸びていこうという勢いに満ちていると言っても過言ではない。もっと、この国をしっかり自分の目で見て、法人、個人とも今後の戦略を考え直したほうがいいだろう。

いま日本がやるべきことは何なのか・・・?
ひとりひとりが真剣に考えるべき時が来ている。

人民元の海外直接投資を解禁

2011-02-12 | 中国経済
2011年1月13日、中国人民銀行が認可制ながら、域内企業が人民元で域外に直接投資することを認める文書を通達した。

今回の通達によって、域外直接投資主管部門の許可を得た域内機関・銀行は、人民元決済銀行口座を通じ、域外に直接投資する人民元資金の決済が可能となった。
また、域内機関が域外直接投資で得た利益を、人民元建てで域内に還流させることも認めた。このほか、銀行は域内機関が域外で投資する企業もしくはプロジェクトに対し、人民元建てで融資することもできるようになった。

中国政府は最近、「走出去」という言葉を使って、海外投資の推進を行ってきた。
日本でも、蘇寧電器によるラオックスの買収、山東如意科技集団有限公司によるレナウンへの経営参加などが見受けられる。
中国域内企業も本格的に力をつけている上、国有企業は政府の支援の下で豊富な資金力を誇っている。こうした人民元決済制度が軌道に乗れば、官民一体となった取り組みが進み、中国による世界中の資産買い占めが進む可能性がある。

中国政府は、これまでも人民元の国際化に向けた取り組みを慎重に進めてきた。
人民元建ての貿易決済の開放もそのひとつで、最初は上海など一部の先進都市のみで実施し、課題を整理しながら都市数を拡大、そして適用可能な対象地域をASEAN地域にまで拡大することで、人民元建ての貿易決済は急拡大している。日本政府とは比べものにならないほど用意周到である。
中国人民銀行(中央銀行)によると、2010年の決済額は5063億元(約6兆3千億円)に達し、09年(36億元)の約140倍にまで膨らんだ。
いまのところ、人民元決済が全体に占める割合は2.6%に過ぎないものの、自国通貨を決済に用いるほうが基本的に有利なことから、その趨勢は当面続くことが予想される。

ご承知のとおり、人民元は管理通貨であって、国際市場で自由に売買できる通貨ではない。基本的にはドルに連動しているが、ドルの基軸通貨としての地位が揺らぐ中、中国政府は新たな道を探る必要に迫られている。そんな中、中国政府が人民元の国際化に向けて本気で動き出したと考えるのが自然である。
また本来、通貨はその国の経済力を映す鏡のようなものと言える。中国経済がGDPで第二位になるほど影響力を持った現在、米国などが人民元の開放を要求するのは当然の流れであるが、中国自身も本当の意味での経済大国を目指して通貨の強化を図ろうとしていると考えるべきである。

その一方で、この動きを違った角度からみてみたい。
最近、中国人が日本の不動産や森林を買い漁っているという報道がなされている。いや、この動きは日本に対してだけではなく、世界中で起こっている。また、訪日観光客が東京銀座で高級ブランド品を大量に購入しているといった類の話も枚挙に暇がない。
こうした動きは、人民元を管理する立場である中国政府にとってどうだろうか?おそらく、あまり心地よいものではないだろう。これを非常に厳格に捉えれば、人民元の国外持出しとも考えられるからである。実際、中国人が出所の判断しにくい現金で高級マンションを購入したという話も多く聞かれる。

こうした動きに対しても、人民元による海外直接投資の解禁は一定の意味を持つと筆者は考える。例えば、ある中国企業や中国人が海外の資産を大量に購入した際、認可を受けていなければ、場合によっては処罰の対象にさえなり得るからである。
つまり、中国政府にとって好ましい海外優良企業の買収などは積極的に推し進め、好ましくない人民元の海外資産への拡散は阻止するという二つの効果が期待できるのである。

上記はあくまで筆者の推論であり、本当の答えは定かではないが、はっきり言えることは人民元が着実に国際通貨への道を踏み出したということである。
近い将来、日本の資産が人民元で買い占められるという時代が来るかも知れない。。。

中国人民銀行が利上げ

2011-02-09 | 中国経済
中国人民銀行(中央銀行)が2月8日、政策金利を引き上げました。利上げはここ1カ月余りで2度目となり、1年物預金金利は0.25%引き上げられて3%、1年物貸出金利も同様に0.25%引き上げられ、6.06%となります。

具体的な金利推移は、以下のページを参照ください。
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_int_china-kinri

中国の12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.6%で、11月の同5.1%から鈍化したものの、食品価格が上昇傾向にあることから、1月は再び加速すると見込まれています。
分かりやすく言うと、物価上昇率より預金金利が1.6%低いことになり、理論的には預金しても損をする計算になります(実際には、そう簡単な話ではありませんが)。
したがって、人々の志向が不動産市場や商品市場に向かうということに繋がります。

ただ、食品価格の上昇は本当に目を見張るものがあるようです。特に、豚肉や野菜などはここ数年で5倍以上に高騰したという話も耳にします。庶民の生活に直結する話題なので、中国政府も本腰を入れてインフレ阻止に取り組むことになるでしょうね。

最近の金利推移をみると、金融危機から2年余り、大幅な金融緩和に踏み切ったことがよく分かります。同時に、数ヶ月前から利上げや預金準備率の引上げ等による金融引締めを徐々に開始しており、中国政府が既に出口戦略を模索し始めたことも見て取れます。

一方で、日本の状況はどうでしょうか?
長引くデフレ不況の中で利上げに踏み切りにくい状況があったとは言え、ここまで超低金利政策が続くと、もはや金融政策(金利を上下させることで景気を調整する)という重要なカードを長期間にわたって放棄していると考えることもできます。
加えて、財政赤字の拡大に伴う長期債務(国債)の膨張が続き、仮に景気が回復したとしても、国債の利払い増加を考えると利上げに踏み切りづらいという状況も生み出しています。

金融危機以降、欧米諸国もこぞって利下げを行いました。
いま金融市場には、お金がジャブジャブ供給されている状況と言えます。
こうした状況の中で「人民元の改革」への圧力が強まっていますが、中国の立場から考えるとどうでしょうか?
これだけ大量に供給されている世界中のお金が中国に一挙に押し寄せると、もはやインフレ対策どころではなくなります。そして、世界経済にも少なからず影響を与えるということが懸念されるわけです。

日本のメディアでは、人民元を取り巻く環境や特異性が十分に伝えられていないと思います。しかも元々、その国の状況は他国の人々にとっては分かりにくいものですから、特別な注意が必要です。

インターネット社会になった現在、メディアから無造作に流れてくる情報を鵜呑みにせず、色々な情報源をもとに自分なりの考えをまとめることが重要だと思わされる今日この頃です。

中国の春節って・・・?Part-2

2011-02-09 | 中国社会学
今日で春節も終わりです。
春節は、爆竹・花火に始まり、またまた爆竹・花火で終わるといった感じですね。
もう終わりなんですが、前回でPart-1と銘打ったので、今回はPart-2ということで。

春節期間中、基本的に毎日がお祭り状態なのですが、大晦日の夜に続いて「初五」と呼ばれる旧正月から5日目が2番目のピークとなります。
その理由は、またまた伝説に由来があるわけで・・・。

春節期間中、家々には縁起の良い対句を書いた赤い紙が貼られます。
こうした紙を貼り出すことで、運を呼び込もうというわけです。
この赤い紙、よく見ると今年の干支である兎に混じって「財神」と呼ばれるお金の神様が描かれています。
言い伝えによると、この財神はとても怠惰な性格で、年に一度、旧正月5日目にしか下界に降りて来ず、しかも気まぐれで、どの家に財をもたらすか、その日の気分で決めていたと言われています。
そこで人々は、この日に再び盛大に爆竹を鳴らし、自分の家に来てもらうよう呼び込むようになったというわけです。

同じ爆竹でも、大晦日は怪獣を寄せ付けないため、5日目は財神を呼び寄せるためと、全く正反対の意味が込められているってこと、日本ではあまり知られてないですよね。

ちなみに昨年の報道によると、上海における爆竹・花火の残骸量を比べると、5日目のほうが大晦日よりも2割ほど多かったとのことです。
ビジネスに長けた上海人の気質を表していると言えますね。

生活者の立場から言うと、5日目のほうが爆竹メインという印象で、「やかましいだけなので、早くやめてくれー」という気持ちになります。特に夜中の12時頃・・・。
その点、大晦日のほうが花火メインなので、まだ許せます。

春節休暇といっても、日本はフツーに業務が行われているので、結局は仕事がどんどん入ってくるんですよね。そういう意味では、メール・インターネットの登場は「罪」な感じです(でも、無くなると困るんですが・・・)。

明日以降は、日中関係の話題を中心に展開していきたいと思いつつ。。。


中国の春節って・・・?Part-1

2011-02-05 | 中国社会学
中国はいま、春節(旧正月)の真っ只中。
でも、春節は日本人にとって馴染みのないものだから、ちょっとイメージしにくいですよね。
ということで、今日から少し「春節」に関連する話題を提供したいと思います。

中国の春節では、街中が赤(紅)一色に染まります。
また、大晦日の夜には街中が戦争状態じゃないかと思うくらい、爆竹と花火に包まれます(迷惑な話ですが・・・)。
これは、単に中国人が赤色や爆竹・花火が好きだからというわけではなく、民間に伝わる次のような伝説に由来があるのです。

その昔、中国には「年」という獰猛な怪獣がいたという。
この怪獣は、家畜を見れば喰らいつき、人を見れば襲うという酷い有様だったため、天神様が罰として海底深くに閉じ込め、年に一度、大晦日にしか出ることを許さないようにした。
そして、ある大晦日の夜、人々がビクビクしながら「年」が現れるのを待っていたとき、遂に姿を現した「年」が家の外で防寒用に焼いていた竹の「パン!パン!」という音に驚いて、その場から逃げ出してしまった。
さらに逃げる途中に赤い洗濯物が並んでいるのを見て、目が刺されたような衝撃を受け、慌てふためいた。
これを見ていた人々は、「年」の弱点が「大きな音」と「赤色」ということに気づいた。
以来、人々は毎年の春節に赤い飾りを施し、爆竹・花火を盛大に鳴らすようになったのだという。

さすが四千年の歴史をもつ中国ですね。
この類の話は、春節に限った話ではなく、色々な場面で見受けられますので、これから折を見て紹介したいと思います。

昔話はここまでにして、現在の春節はというと・・・本当に賑やかです。
大晦日(今年の場合、2月2日)の夜、午後7時くらいから試し打ちと思われる爆竹・花火の音が鳴り始めます。
そして、年越しの瞬間となる12時頃にはもの凄い爆音と灯りに包まれるのです。
自分の住んでいる部屋のすぐ近く(つまり目の前)で花火が爆発するなんてこと、日本では体験できませんからね。
その雰囲気が伝わるかどうかは分かりませんが、そのときの様子を撮った画像を載せておきます。
あの爆竹・花火の様子をみると、日本と中国ではスケールが違いすぎるなぁ・・・と思ってしまう日本人は多いでしょうね。
でも、決して真似したいとも思いませんが。。。