いま、中国での反日デモ拡大、日中関係の緊張化をよそに、日本では自民党総裁選の行方に大きな関心が寄せられている。
3年前、民主党に大いに期待した国民の夢は混乱のうちに崩壊し、再び自民党政治への先祖返りしようとしている。
これが本当によいことなのか・・・、最終的には歴史の結末に委ねるしかないのだろう。
今回の自民党総裁選、言えば最大野党の党首を決める党員選挙に過ぎないが、自民党は次期衆院選で第1党となる可能性が極めて濃厚なだけに、事実上、次期首相を選出する選挙と位置づけられているから、民主党代表選よりも盛り上がるのは無理もない。
そこで、17日の毎日新聞や読売新聞の報道をもとに、総裁選の行方を勝手に占ってみたいと思う。
上記2紙の情勢分析によると、石破茂前政調会長(55)、安倍晋三元首相(57)、石原伸晃幹事長(55)の3氏が激しく競り合っているとのこと。
今回の総裁選は199の議員票と300の党員票の計499票で争われ、1回目の投票で過半数に達する候補がいなかった場合、199の議員票のみで上位2人による決選投票が行われることになっている。
全国の党員による投票動向調査では、石破氏が4割弱の支持でトップ、安倍、石原両氏が2割の支持を確保し、次いで町村氏、林氏と続いている模様。
一方、国会議員票のほうは、安倍氏が50人近くの支持を集め、やや優勢。額賀派などの全面的な支援を受ける石原氏も40人以上を確保したようだ。
党員票で優位に立つ石破氏は無派閥議員や中堅・若手を中心に30人以上、町村氏も派閥所属議員ら約30人を固め、林氏は古賀派など20人を超す支持を集めている。
つまり、国会議員票と党員票の動向には「ねじれ」があるワケだ。
ちなみに、19日、町村氏が体調を崩し、総裁選撤退の可能性が報じられているが、現時点では総裁選活動は継続させるようだ。同氏が撤退となると、総裁選の行方に大きな影響を与えるだけに、今後も同行から目が離せないところと言えよう。
なお、すでに国会議員票の8割が固まっているが、谷垣総裁を支持するグループの大半が態度を決めておらず、その判断に注目が集まる。
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このように、決選投票が確実な情勢にあることから、総裁選を勝ち抜くには、最多得票を獲得するだけではダメという構図になっている。
要するに、まずは2位以内を確保し、次いで他候補をいかに取り込むかといった視点が重要になってくるのだ。
このあたりを詳しく見ていきたい(よほどの失言等がないことが前提)。
まず、党員票で優位に立つ石破氏の決選投票進出は、ほぼ間違いないだろう。
したがって、安倍、石原両氏による2位争いがポイント。
前述のとおり、党員票では互角の争いを演じており、党員投票締切日まで何を訴えていけるか、またいかに失言をしないか、の2点で票の上積みが決まってくる
だろう。
ただ、ここでの票差は事前の予想が立てにくいため、票読みという観点では国会議員票をいかに固めるかが重点課題となってくるだろう。
この点では、現時点で安倍氏がリードしているとの報道。
つまり、石原氏が決選投票に進むためには、国会議員票で安倍氏を上回る必要があるのだ。
こうなると、キャスティングボードを握るのが、今回の総裁選出馬断念に追い込まれた谷垣総裁支持グループの票。
この大部分が石原氏支持に回れば、石原氏は決選投票進出に大きく前進することになるが、ご存知のとおり石原氏は谷垣総裁を出馬断念に追い込んだ張本人。
いくら谷垣総裁の路線を堅持すると言っても、スンナリと石原支持となるかは予断を許さないところ。
皮肉なことに、石原氏の命運は谷垣グループが握っているのだ。
ここから先は、決選投票を勝手にシミュレーションしてみたい。
決選投票は、国会議員票のみで決せられるため、政策面での合致性もさることながら、選挙後のポスト争奪も見据えた激しい票の奪い合いが予想される。
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まず、石原氏が2位となった場合。
3位となった安倍グループは、安保政策で近い石破氏に糾合される可能性が高いのではないか。
4位の町村グループは、実質的なオーナーである森元首相の影響を受けるため石原氏支持、5位の林グループも古賀派として石原氏支持に回る可能性が高い。
こうなると、単純計算では石破氏:30+50+α、石原氏:40+30+20+αとなり、ともに決定打を欠き、大接戦という展開が予想される。
もっとも、町村グループは安倍氏と同じ派閥なので、まとまって石破氏に投票するという可能性も大いに有りうるだろう。
そして、ここでもカギになるのは谷垣総裁支持グループということに。
というか、石原氏にとっては、決選投票に進む上でも同グループの支持確保は不可欠な要素なので、ここを取り込めれば石原氏が若干優位という展開か・・・?
続いて、安倍氏が2位となった場合。
3位となった石原グループは、石破氏への敵対心から安倍氏支持に回る可能性が高いのではないか。
石破氏は同党長老にウケがよくないと言われているので、4位及び5位の票も地滑り的に安倍氏支持に回る可能性が高いように思える。
こうなると、安倍氏が当選という構図が透けて見えてくるワケだ。
結論から言うと、世論調査などでも高い人気を誇る石破氏が、誰が2位になったとしても、決選投票では苦戦を強いられるという予測になる(まあ、当たるかどうか、分かりませんので)。
仮に石破氏以外となった場合、巷はどのような反応となるんでしょうかねぇ。。。
勿論、首相は人気投票で決められるワケではないけれど、やっぱり国民の意識とズレていると捉えられるかも知れませんね。
最後に、3氏のこれまでの経歴をもとに、日中関係に与える影響を予測してみたい。
まず、石破氏については、日米同盟を堅持する姿勢が明確で、自他共に認める安保オタクであることから、日中関係は一時的に緊張が高まる可能性が高そうだ。
とりわけ、自衛隊の格上げ等の方針に対して、中国は激しく抵抗することが予想される。
次に、安倍氏については、前回首相経験時に日中友好を演出しただけあって、3氏の中では中国政府に対して最もマイルドな印象を与えるだろう。
ただ、基本的には日米同盟堅持が持論なだけに、前回のようにバランス感覚を失わないかが心配されるところ。
最後に、石原氏。
「中国は尖閣に攻めてこない」と発言するなど失言の目立つ同氏だが、中国政府にとっては東京都知事の息子というイメージが強く、同氏に対する警戒心は相当強いだろう。
ただ、正直なところ、同氏がどのような政治信条を有しているのか分かりにくく、現時点では日中関係に与える影響は予測不能といったところかと。。。
いずれにせよ、またしても予測不明瞭な間接選挙で、次期首相が決まろうとしている日本。
国民の大多数が不満を抱いている旧態依然とした選出方法を見直し、直接選挙で国家元首を選んだほうがいいと思うのは、もはや筆者だけではないだろう。
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