<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

【上海観光案内】上海市都市計画館

2012-09-30 | 上海観光案内

ここ上海は、2012年9月30日の中秋節。
今年の暦は中秋節と国慶節が連動しており、大型連休初日となったため、各地は相当な賑わいのようだ。

そんな中、筆者も休日となっているので、ちょっと溜まっていたテーマをこなしていこうか・・・と。
今回は、新たなシリーズ「上海観光案内」。
これまでも東方明珠塔や外灘などを紹介してきましたが、観光ガイドを補足するような情報は提供してこなかったので、今後、上海を訪れる場合の参考になるような情報を発信していきたいと以前から思っていましたので。

てなことで、今回は「上海市都市計画館」。

ちょっとマイナーな感は否めませんが。。。

実は、この都市計画館、中国国内の一定程度の規模以上の都市で設置されている。
おそらく政府の方針で設置されているのだろう。
市民に都市計画の内容を周知する、また外国人を含めた人々に対して都市の尊厳をアピールする等、様々な効用が考えられますので。
そういう意味では、日本でも採用したほうがいいかも。。。

ここ上海の都市計画館は、そんな中でも最大級の規模と言っていいだろう。

まず入口を入って、目に飛び込んでくるのは・・・



金色に光り輝く主要な建築郡のジオラマ。
上海に詳しい人なら分かると思うのですが、建設中のビル(世界最高となる見込み)が既に入っているのには驚かされます。。。

その隣には、外灘界隈のジオラマがありますが、これはほんの序の口。



また、2010年上海万博のマスコット、海宝の姿も。



もっとも、使用済み的な印象が否めませんが。。。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


続いて、エスカレータで2階に上がると・・・





写真や図面で上海の発展の歴史を詳しく説明するコーナーが設置してある。
とりわけボックス型で引き出すタイプの設備は、ある意味、斬新かも。
もっとも、あんまり面白くないのがイタイところではありますが。。。

2階には企画展が開催できるスペースが用意されており、当日は写真展が開催されていた。



せっかくなので、中の様子を覗いてみると・・・





こんな感じで、やっぱり面白みという点では・・・???
中国の展示、規模は大きいのですが、工夫が足りないことが多いので。。。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


もっとも、この施設の最大のウリは「上海市のジオラマ」。
ある意味、このジオラマを見るためだけに、観光客やビジネス客が集まってくると言っても過言ではない。
その様子は・・・というと







メチャメチャ巨大です@@@
3枚の画像でも全体像を写しきれませんので。。。
しかも、画像にもあるとおり、いつの間にかライトアップされるようになっていたのには驚き。
わずか3年で、ここまで進歩するとは・・・恐るべしです。

ちなみに、このジオラマの脇には、都市計画の内容や各区の紹介などもあわせて行われているから、在住者にも勉強になる。







以上、観光スポットというには地味すぎるものの、ビジネス関係者は「中国の規模感」を把握する上で、見ておいて損はない施設と言える。
もっとも、所要時間は30分程度なので、コストパフォーマンスを優先される方は訪問先から外したほうがいいでしょうね。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

「足し算」から「引き算」に転換した日中経済関係

2012-09-26 | 中国経済

7年前、当時の小泉首相の靖国神社参拝を機に、今回と同じような日中関係悪化の局面があった。
そのときと比べ、日中関係はどう変わったのか・・・?

本日(9月26日)付の報道でも、トヨタ自動車が中国への輸出を一時停止、自動車各社が中国現地生産の縮小などが報じられている。

大和総研の試算によると、中国向け輸出が1カ月止まった場合、日本の製造業の生産額は2.2兆円減り、日本の自動車メーカーにとっては1445億円の損失となるらしい。

また、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの試算によると、日本の自動車メーカーの純利益のうち中国事業が占める比率は、日産自動車が25%、トヨタが21%、ホンダが16%となっている。
生産台数の面ではまだまだ日本のほうが大きいが、利益面で中国の自動車需要がいかに貢献してきたか、理解できるデータである。

その他、客観的なマクロ経済データをみても、日本経済の中国依存度が高まっていることは容易に理解できる。

まずは、貿易面から。
中国は2009年、米国を抜いて、日本の最大の輸出相手国となった。
財務省の統計によると、2011年の中国向け輸出は、日本の輸出全体の約5分の1を占めるまでに至っている。

他方、「中国にとっての日本」は、どのような位置づけなのか?
日本は中国にとって、残念ながら欧州、米国に次ぐ世界3位の貿易相手国に過ぎない。

続いて、投資面。
2011年の日本の対中直接投資は、前年比で約60%増加し、初めて1兆円を突破した。特に、東日本大震災の発生以降、投資の数、規模ともに急速に拡大したという実態がある。

その一方で、2011年の中国による対日直接投資額は、前年の276億円から89億円に減少。
もともと両国の投資規模に差があり過ぎるとは言え、「一方は過去最高で、もう一方は減少」という状況は、両国のスタンスが窺い知れるところ。
(もっとも、中国政府が人民元の持ち出しを厳しく管理している面もある)

こうした現状をもとに、7年前との比較を進めていきたい(いつもながら、独断と偏見を交えつつ・・・)。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


靖国参拝問題で反日デモが発生した7年前当時、筆者は自動車関連の仕事で中国と関わりを持っていた。
当時はいま以上に、中国が経済成長に邁進している真っ只中といった様相で、日本の大手製造業が続々と生産拠点を設置していこうとしている時期だった。
しかしながら、当時は中国脅威論も根強く、国内産業の空洞化議論も巻き起こっていたので、日本産業界の姿勢もどこか半信半疑のように思えたと記憶している。

もっとも、当時は「政冷経熱」という言葉が一般化されるほど、政治と経済を切り離して考える傾向が強かった。そのため、日中の政治的関係は冷め切ったままだったが、対中投資だけは一貫して続けられたのである。

そして、7年後のいま、当時と同じように政治的衝突の局面を迎えた。
前回と比較して決定的に違うのは、今回の原因が「領土」に起因するということ、そして事の発端が「日本政府による尖閣諸島の国有化」にあるということの2点であろう。
とりわけ、領土問題というのは全国民にとって分かり易いテーマであり、ナショナリズムの高揚にも繋がり易いため、ハッキリ言って、かなり厄介である。
しかも、中国側の主張の背景には日中戦争の事後処理が含まれているので、さらにナショナリズムを刺激することになっている。
このあたりの事情が、今回の問題が長期化するのでは・・・と懸念される所以であろう。

経済の面で考えると、中国は7年前と比較にならないほどの経済力を身につけている。
2010年、中国はGDPで日本を追い抜き、世界第2位の経済大国となったが、2000年からの10年間でGDPは4倍以上になっており、とりわけ2003年ごろから、GDPの伸びは急激なものとなっている。
これほどまでにハイスピードで経済大国にのし上がった国は、歴史を振り返っても存在しないのではないだろうか。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


勿論、中国は国土が広く、人口も莫大なので、1人当たりGDPの低さや社会的貧富の差を指摘する声が日本国内にも根強いことは周知のとおり。
しかし、国力を比較する上で、やはり客観的な数値は無視できない。
さらに、将来性という観点に立つと、少子高齢化や深刻なデフレ状態が続く日本経済と市場拡大が続く中国経済とでは、もはや比較のしようがないという現実が立ちはだかる。

筆者は標題にあるとおり、この7年間で日中の経済関係は「足し算」から「引き算」へと変貌したと思っている。

日本側に立てば、7年前、対中投資は生産及び売上げの伸ばすための手段というプラスの面を有していた。実際、中国への生産移転が日本企業の生産コスト低減を実現させ、中国での市場確保が日本企業の業績向上に一役買っているのは疑いようのないところだ。
しかし、対中投資が相当程度進んだ現在に至っては、中国からの撤退は即、生産設備の償却、成長市場の放棄、サプライチェーンの再構築といったマイナス要素に繋がりかねない情勢にある。

中国側にとっても、7年前、日本は中国において生産拠点の新設や技術供与、製品仕入れを行ってくれる貴重なお得意さんだった。
インフラ整備の面でも多額のODAも行ってきたワケで、まさにプラス一色。
ところが、世界第2位の経済大国に成長した中国にとって、もはや日本は有力な貿易相手国のひとつに過ぎない。しかも、自国企業の高度化を優先させる場合には、今後マイナスの存在にもなり得るようになってきた。

日本にとって「足し算」から「引き算」になったことをどのように理解し、どのように計算式を組み立てていくのか、悩みは尽きないところと言えよう。
理想を言えば「掛け算」を生み出すような関係構築が望ましいが、もはや時機を失したとの見方も強い。
今回の日中関係の悪化が長期化し、「割り算」という最悪のケースを生み出さないことを祈るばかりである。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

中国への影響力が急激に低下している日本経済の現状

2012-09-25 | 中国経済

尖閣諸島の国有化に端を発した日中関係の悪化は、経済にも大きな影響を及ぼしかねない状況になっている。

折りしも日本では、少子高齢化や長引くデフレの影響で、消費市場の縮小が続いており、これまで強みとされてきた総合家電メーカーが巨額の赤字を計上するなど苦境に喘いでいる。こうした赤字解消の切り札として注目していたのが中国市場だっただけに、まさに冷や水を浴びせられた格好となっている。

こうした状況、いまは家電業界にとどまらない。
自動車にしても、エコカー補助金が終了すれば国内市場はあまり期待できない。
中国では自動車販売の伸び率が鈍化しているとは言え、2000万台もの巨大市場は他に見当たらず、ここでの生産・販売の伸びが世界市場の覇権争いに直結すると言ってもいいくらいだ。

加えて、建機や工作機械なども中国頼みの傾向が顕著。
現在、中国政府が不動産投資抑制策を継続しているため、中国の建機市場は低迷。
こうした状況は日本の建機メーカーの販売低迷を招き、これが各企業の業績下方修正、株価下落という負のサイクルを生んでいる。

工作機械をみても、中国が売上げに占める割合の高さが見てとれる。
国内大手製造業の業績が振るわなければ、新規投資は抑制されるため、工作機械の需要は先細りとなる。しかも、国内産業はこれまで投資してきた蓄積があるため、メンテナンスしながら生産を続けることが出来る。
一方で、中国はまだまだ量をたくさん作って、シェア拡大を図る戦略をとる企業が多い。
こうした企業では、現状維持、レベルアップの両面で設備投資の需要を抱えており、日本企業にとって無視できない市場であることは言うまでもない。

このほか、アパレル、飲食業をはじめ、およそ中国市場での売上げ増加によって企業業績を向上させようと考えていない大手企業はないのでは・・・と思えるような状況にある。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


以前も記事の中で書いたが、中国の消費者にとって「日本製は優れている」という神話が根強いのは事実だ。
ただ、こうした神話が以前に比べると急激に低下しているように感じるのは、筆者だけではないだろう。

まず、日本製と言っても、その大部分は中国をはじめとするアジア製。
家電や携帯電話などの分野を例に挙げると、現地企業の成長・躍進は著しく、価格や販売力にデメリットを抱える日本企業は、中国市場で大きなシェアを確保できていない。

加えて、開発力という面でも、以前ほどの影響力を発揮できていない。
いまや半数以上の国民がスマートフォン(以下、スマホ)を所持しているのでは・・・とも言われる中国にあって、日本製のスマホはほとんど存在感を発揮できていない。
かつて、音楽プレイヤーと言えばソニーだったが、iPodが世に出た頃から完全にその地位を失っている。

その他PCや家電でもこの傾向は同様で、今のところ何とか競争力を維持できているのは、デジカメ等ごく一部になりつつあるのが現状だ。

しかし、このデジカメ等でさえ、今後は厳しくなると言われている。
スマホやiPadに代表されるタブレット端末などがデジカメ等の機能を高精度に内蔵化していくことで、その市場そのものが急激に縮小していく可能性が論じられているのである。
私たちの生活シーンでも、ちょっとした撮影は携帯やスマホで済ませるという場面は多くなっているのではないだろうか?
これに追い討ちをかけるように、機器は日進月歩で進化する。
「次」を見据えた開発を続けない限り、日本の技術の優位性は維持していくことすら難しいのかも知れない。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


以上のとおり、中国の消費市場での日本製品のシェアは確実に低下している。
市場が伸び続けているにもかかわらず・・・である。

こうした状況は、結果的に「中国の消費者が日々の暮らしの中で日本製品を見かける機会が少なくなる」という現象に繋がっていく。
これが、次に何を生むか・・・?
シェアが低いということは、「人気がない=世の人々の信任が得られていない」という意識に繋がり、これが更に売上げの伸び悩みへと跳ね返ってくる。
いまの日本経済は、日本に在住する方々が思っている以上に大変な局面を迎えようとしていると、筆者は率直に感じている。

今回の日中関係の悪化に当たって、一部の学者等から「経済制裁の発動」といった強硬論も飛び出しているが、その根拠となっているのが「日本経済が中国に与える影響の低さ」及び「中国経済が日本に与える影響の高さ」。

勿論、日本からしてみれば、これまで中国に対して多額のODAを拠出し、中国経済の発展を支援してきたという自負があり、こういった議論は筋違いだというほうが理にかなっている。

しかし、「経済」というパワーは人、国の考え方を変えてしまう。
また、商売の鉄則でもあるが、「売る側」よりも「買う側」のほうが強いのだ。

今回、図らずも日本は「政治が経済に与える影響の大きさ」を思い知ることになった。そして、その解はいまだ出ていない。

無論、日本は卑屈になる必要はないが、現状を正しく認識した上で、日本ブランドをどうやって維持・向上させてていくのか、ひいてはこのブランド力のどのように国力の一部として生かしていくのか、という視点を強く持ち続けるべきだと筆者は感じている。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

【連載250回】中国 尖閣問題長期化に伴う諸問題(現状と予測)

2012-09-24 | 尖閣問題

冒頭、私事で大変恐縮ですが、今回記事で連載250回を迎えました。
およそ1年半での到達。
よく頑張ったと言うべきなのか、もっと毎日配信すべきと言うべきなのか。。。
ま、今後もマイペースで更新していきますので。

早速、3日サボったので、反日デモ後の状況から。

中国公安がデモ禁止令を出したおかげで、ここ上海でもデモは発生していない。
一見すると平穏を取り戻したようにも見受けられるが、虹橋の日本人学校では運動会が明日(25日)に延期されるなど、やはり万が一に備えた措置は継続されたままだ。

日本の報道をみていると、「日当が支払われるのでデモに参加した」との証言などをもとに官製デモだったとの見方も根強い。
これは、以前も行われた手法なので、一部にはこうした類の参加者も含まれているかも知れない。
ただ、冷静に考えて、あれだけの規模のデモ参加者の大部分が官製デモ系だとするのは、やはり無理があるだろう。
中国の場合、デモ行為自体が厳しく管理されているため、こうしたデモを容認した時点から、ある意味では官製デモの部類に入るだろう。
そして、現在、何事もなかったかのように、デモが鎮静化していることも。。。

中国政府は、すでに活動を次のステージに進めている。
大きく分類すると、�尖閣諸島沖での公務艇の活動強化、�経済制裁の発動示唆を含む経済面での圧力強化、�日中間の交流事業の延期・中止、�国際社会でのアピール強化の4点であろう。

まず、尖閣諸島沖での公務艇の活動については、報道にあるとおり。
こうした手法は、ASEAN諸国との間でも紛争となっている南シナ海での領土問題への対処と基本的には同じ。
実効支配というアリバイを造成していこうというモノ。

これに対して、米国が「尖閣諸島は日米安保の対象となる」と発言したことは、中国に少なからぬプレッシャーを与えることになりそうだ。
とは言え、その代償がオスプレイの全国配備でなかったのか・・・?
あまり考えたくはないが、あまりにも時期が符合するので気になるところ。
こうした政治的力学のもと、尖閣沖での緊張状態はしばらく続くものと予想している。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


次に、経済面での圧力強化。
実は、日本にとって、これが一番厄介な問題。
経済が低迷を続ける日本にとって、日本在住の方々が思っている以上に、中国はもはや日本経済にとって不可欠な存在となっているからだ。
これは、拡大を続ける中国市場での売上げ増という点だけではない。
靖国問題で揺れた7年前と比較すると、日本の中規模以上の企業はかなりの割合で中国を生産拠点としており、その割合を拡大させてきた。
つまり、日本にとって議論されるべき課題は、「将来」ではなく「現在」にあるのだ。
この点に関しては、後日詳しくレポートすることとしたい。

加えて、「経済制裁の発動」が取り沙汰されているが、当面はそこまでの措置はとらないだろうと予想している。
つまり、「心理的な圧力」といったアナウンス効果を狙った発言ではないだろうか。

しかしながら、短期的なマイナス材料は既に散見されている。

最も顕著なのは、日本料理店の売上げ激減。
特にここ数日は、外食を控える在留邦人も多かった上に、中国人も日本料理店での食事を敬遠したと予想されており、現在1日に1~2店舗開業しているという日本食出店ラッシュは完全に冷や水を浴びせられた格好となっている。
筆者が聞いたところによると、上海にて飲食ビジネスを手広く展開している店でさえ、反日デモ直後には来店客数が8名だったとか。

次に、日本車の売上げ減少も懸念されているところ。
今回の反日デモでは、日本車が複数襲撃されており、襲撃回避を目的とした自動車ステッカーも販売されているほど。
単純に考えて、日本車を購入しなければならないという必然的な理由は存在するだろうか?
同じような価格帯にはドイツ車や韓国車、米国車も並んでおり、中国の消費者にとって、購入検討の最終段階で反日デモの映像が脳裏をよぎる可能性は少なくないだろう。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


加えて、今後の影響が心配されるのが「貿易・通関面での管理強化」。
これは、2年前に発生した尖閣諸島沖での漁船衝突問題でも見受けられたもので、表向きは「法令の遵守強化」と言いつつ、その実態は明らかにやり過ぎといった領域まで管理を強化させるというもの。
こうした管理強化によって、日中双方の経済活動に支障が出るのは両国にとって好ましくないもの。
しかし、中国では上層部からの支持は絶対であるだけに、今後どこまで支持を拡充させるのか、目が離せないところだ。
また一部では、既に酒類等の輸入が滞っているとの情報もあり、在留邦人の現地での生活にも影響が拡大しそうだ。

また、訪日観光は相当大きな打撃を受けている。
大手旅行社のツアーを中心に、団体旅行が次々にキャンセルされており、正直なところ国慶節明けにどれだけ低迷するかさえ予想が立たないとの悲観的な見方が大勢を占めているのが現状だ。

続いて、日中間の交流事業の延期・中止。
先週は、開催前日という土壇場に日中グリーンエキスポ2012が延期という憂き目にあった。すでに会場内の装飾もかなり進んでいたようなので、その意味では実質的な損害も発生していると言える。
そのほか、各種交流事業が次々に延期、中止と発表されているが、遂に日中国交正常化40周年の記念式典も正式に中止となった。
いつになったら正常化となるのか・・・、今後の両政府の対応如何と言える。

余談だが、ウチのスタッフによると、中国では40年目だけは節目の年と考えないようにする傾向も強いそうだ。
そのため、誕生日などを祝う際にも、10歳、20歳、30歳の次は、わざと39歳にしたりすることもあるとのこと。
その意味では、今回の40周年もこの法則に当てはまってしまったのかも。。。

最後に、国際社会に向けたアピールの数々。
現時点でも、度重なる外交部声明の発表、領海基線の公布、権益維持を目的とした巡視活動、東中国海の一部海域の大陸棚拡張案の申請などを次々と繰り出してきているが、今後もこの傾向は続くだろう。

ちなみに、先日紹介した人民日報では「大国の怒りはまだこれからだ」という論評が掲載されている。
こうした政治的な威嚇にどのように対処していくのか、日本政府に突きつけられた課題はあまりにも大きい。


↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

自民党総裁選の行方と日中関係への影響(勝手な予想)

2012-09-20 | 日記

いま、中国での反日デモ拡大、日中関係の緊張化をよそに、日本では自民党総裁選の行方に大きな関心が寄せられている。
3年前、民主党に大いに期待した国民の夢は混乱のうちに崩壊し、再び自民党政治への先祖返りしようとしている。
これが本当によいことなのか・・・、最終的には歴史の結末に委ねるしかないのだろう。

今回の自民党総裁選、言えば最大野党の党首を決める党員選挙に過ぎないが、自民党は次期衆院選で第1党となる可能性が極めて濃厚なだけに、事実上、次期首相を選出する選挙と位置づけられているから、民主党代表選よりも盛り上がるのは無理もない。

そこで、17日の毎日新聞や読売新聞の報道をもとに、総裁選の行方を勝手に占ってみたいと思う。

上記2紙の情勢分析によると、石破茂前政調会長(55)、安倍晋三元首相(57)、石原伸晃幹事長(55)の3氏が激しく競り合っているとのこと。

今回の総裁選は199の議員票と300の党員票の計499票で争われ、1回目の投票で過半数に達する候補がいなかった場合、199の議員票のみで上位2人による決選投票が行われることになっている。

全国の党員による投票動向調査では、石破氏が4割弱の支持でトップ、安倍、石原両氏が2割の支持を確保し、次いで町村氏、林氏と続いている模様。

一方、国会議員票のほうは、安倍氏が50人近くの支持を集め、やや優勢。額賀派などの全面的な支援を受ける石原氏も40人以上を確保したようだ。
党員票で優位に立つ石破氏は無派閥議員や中堅・若手を中心に30人以上、町村氏も派閥所属議員ら約30人を固め、林氏は古賀派など20人を超す支持を集めている。

つまり、国会議員票と党員票の動向には「ねじれ」があるワケだ。

ちなみに、19日、町村氏が体調を崩し、総裁選撤退の可能性が報じられているが、現時点では総裁選活動は継続させるようだ。同氏が撤退となると、総裁選の行方に大きな影響を与えるだけに、今後も同行から目が離せないところと言えよう。

なお、すでに国会議員票の8割が固まっているが、谷垣総裁を支持するグループの大半が態度を決めておらず、その判断に注目が集まる。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


このように、決選投票が確実な情勢にあることから、総裁選を勝ち抜くには、最多得票を獲得するだけではダメという構図になっている。
要するに、まずは2位以内を確保し、次いで他候補をいかに取り込むかといった視点が重要になってくるのだ。
このあたりを詳しく見ていきたい(よほどの失言等がないことが前提)。

まず、党員票で優位に立つ石破氏の決選投票進出は、ほぼ間違いないだろう。
したがって、安倍、石原両氏による2位争いがポイント。
前述のとおり、党員票では互角の争いを演じており、党員投票締切日まで何を訴えていけるか、またいかに失言をしないか、の2点で票の上積みが決まってくる
だろう。

ただ、ここでの票差は事前の予想が立てにくいため、票読みという観点では国会議員票をいかに固めるかが重点課題となってくるだろう。
この点では、現時点で安倍氏がリードしているとの報道。
つまり、石原氏が決選投票に進むためには、国会議員票で安倍氏を上回る必要があるのだ。
こうなると、キャスティングボードを握るのが、今回の総裁選出馬断念に追い込まれた谷垣総裁支持グループの票。
この大部分が石原氏支持に回れば、石原氏は決選投票進出に大きく前進することになるが、ご存知のとおり石原氏は谷垣総裁を出馬断念に追い込んだ張本人。
いくら谷垣総裁の路線を堅持すると言っても、スンナリと石原支持となるかは予断を許さないところ。
皮肉なことに、石原氏の命運は谷垣グループが握っているのだ。

ここから先は、決選投票を勝手にシミュレーションしてみたい。

決選投票は、国会議員票のみで決せられるため、政策面での合致性もさることながら、選挙後のポスト争奪も見据えた激しい票の奪い合いが予想される。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


まず、石原氏が2位となった場合。
3位となった安倍グループは、安保政策で近い石破氏に糾合される可能性が高いのではないか。
4位の町村グループは、実質的なオーナーである森元首相の影響を受けるため石原氏支持、5位の林グループも古賀派として石原氏支持に回る可能性が高い。
こうなると、単純計算では石破氏:30+50+α、石原氏:40+30+20+αとなり、ともに決定打を欠き、大接戦という展開が予想される。
もっとも、町村グループは安倍氏と同じ派閥なので、まとまって石破氏に投票するという可能性も大いに有りうるだろう。

そして、ここでもカギになるのは谷垣総裁支持グループということに。
というか、石原氏にとっては、決選投票に進む上でも同グループの支持確保は不可欠な要素なので、ここを取り込めれば石原氏が若干優位という展開か・・・?

続いて、安倍氏が2位となった場合。
3位となった石原グループは、石破氏への敵対心から安倍氏支持に回る可能性が高いのではないか。
石破氏は同党長老にウケがよくないと言われているので、4位及び5位の票も地滑り的に安倍氏支持に回る可能性が高いように思える。
こうなると、安倍氏が当選という構図が透けて見えてくるワケだ。

結論から言うと、世論調査などでも高い人気を誇る石破氏が、誰が2位になったとしても、決選投票では苦戦を強いられるという予測になる(まあ、当たるかどうか、分かりませんので)。

仮に石破氏以外となった場合、巷はどのような反応となるんでしょうかねぇ。。。
勿論、首相は人気投票で決められるワケではないけれど、やっぱり国民の意識とズレていると捉えられるかも知れませんね。

最後に、3氏のこれまでの経歴をもとに、日中関係に与える影響を予測してみたい。

まず、石破氏については、日米同盟を堅持する姿勢が明確で、自他共に認める安保オタクであることから、日中関係は一時的に緊張が高まる可能性が高そうだ。
とりわけ、自衛隊の格上げ等の方針に対して、中国は激しく抵抗することが予想される。

次に、安倍氏については、前回首相経験時に日中友好を演出しただけあって、3氏の中では中国政府に対して最もマイルドな印象を与えるだろう。
ただ、基本的には日米同盟堅持が持論なだけに、前回のようにバランス感覚を失わないかが心配されるところ。

最後に、石原氏。
「中国は尖閣に攻めてこない」と発言するなど失言の目立つ同氏だが、中国政府にとっては東京都知事の息子というイメージが強く、同氏に対する警戒心は相当強いだろう。
ただ、正直なところ、同氏がどのような政治信条を有しているのか分かりにくく、現時点では日中関係に与える影響は予測不能といったところかと。。。

いずれにせよ、またしても予測不明瞭な間接選挙で、次期首相が決まろうとしている日本。
国民の大多数が不満を抱いている旧態依然とした選出方法を見直し、直接選挙で国家元首を選んだほうがいいと思うのは、もはや筆者だけではないだろう。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へにほんブログ村

人気ブログランキングへ