<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

日中の政権交代がもたらす尖閣問題の行方【大胆予想】

2012-11-16 | 尖閣問題
日中の政権交代がもたらす尖閣問題の行方【大胆予想】

2012年11月15日、中国では習近平氏が新しい中国共産党中央委員会総書記に就任した。
同時に、同氏は中国共産党中央軍事委員会主席にも就いたことから、早くも三つの権力のうちの二つを手中に収めたことになる。
とりわけ、今回の政権移行によって、中央政治局常務委員の数が9名から7名に減員されたこと、この7名の中に共青団(胡錦濤派)系が李克強1名しか入らなかったことは、今後の政権運営に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。
中国が覇権主義へと向かっていくのか、しばらくの間は目が離せないだろう。

偶然にも、時を同じくして、日本でも12月16日に総選挙が実施されることになった。
遅ればせながら、日本も2012年問題のトリを務めることになったワケで、日本国民の「やっと総選挙が決まったか」という感情以上に、選挙が近づくにつれて海外からの注目を集めることは間違いないだろう。

既に報道や巷の雰囲気にもあるとおり、よほどのことがない限り、民主党中心の政権から自民党・公明党を中心とする政権への移行が行われるのは間違いないだろう。
問題は、「どの程度、自民党が勝つのか・・・?」ということ。

ここで、折りしも橋下大阪市長率いる日本維新の会と石原前都知事率いる太陽の党が合併する方向との報道がなされた。
既に太陽の党との合併を決めている減税日本も含め、いよいよ第三極の集結か・・・と思わせる展開だが、果たして国民の支持を得ることはできるのだろうか?

私は、今回ばかりはそんなに甘くないと感じている。
なぜなら、こうした理念抜きの野合こそが、現在の民主党政権の根幹にある問題であり、それを批判してきた勢力が選挙が行われるからと言って、慌てて手を組むなどということは、到底国民の理解を得られるものではないからである。
正直言って、両氏とも、あまりにも国民を見下していると言わざるを得ない。
この合流によって急速に支持率が低下するのは間違いないだろうと筆者は見ている。

また、こういう展開になってくると、第三極を目指してきた古株「みんなの党」は、この枠組みには参加しないのではないか・・・と筆者は見ている。
みんなの党にとっては、結党以来の理念を貫くことで一定の支持を確保することができるし、他の小政党よりも明確なビジョンを打ち出すことが可能となり、長い目で見るとプラスの効果が大きいと思われるからだ。


【上海関連の情報が満載の「にほんブログ村 上海情報」はコチラ】


とりわけ、今回の総選挙はこの3年間で鬱積した国民の不満を晴らすという性格が強い。投票率も、通常より高くなると予想される。
筆者は中国在住のため、感覚がズレているかも知れないが、今回の選挙が最近の選挙と明らかに雰囲気が違うように感じるのは「無党派層」の存在が薄いということ。
確かに近年、「どこの政党に入れても同じ」という感覚から、直前の情勢をみて自民党系か民主党系のどちらかに投票するという向きが強かったように思うが、今回は「現政権には投票しない」という空気がかなり支配的だと感じている。

思い起こせば分かることだが、前回の総選挙で自民党は歴史的な敗北を喫したが、この3年間の民主党政権と比べて、どこまで失点があっただろうか。
確かに、長期政権の弊害と思えるような失策は続いたが、外交にしても内政にしても、そこまで大きなミスがなかったにもかかわらず、あれだけの惨敗をした。

したがって、現在予想されている以上に民主党は惨敗する可能性が高いように思えてならない。

大胆に予想するならば、自民党による単独過半数確保というのも現実性を帯びてきたと言っていいのではないだろうか?
なぜなら、現在の「決められない政治」の根本的な背景に「衆参のねじれ状態」がある。この状態が続く限り、国会運営に気をとられ、大局観に基づく政治運営など出来ないことは、ここ数年で証明されてきたこと。
衆参両院の過半数確保によって、以前のように政権与党に驕りが生まれる危険性があるものの、世の中の空気がやや右傾化していることもあって、地滑り的な自民党の圧勝は大きな流れとなりつつあるように思えてならない。

そうなると、この日中両国の首脳交代が尖閣問題にどう影響するのか?というのが、最も大きな関心事のひとつとなる。
仮に自民党が政権与党となれば、安倍総裁が首相に就任することになる。
同氏が首相に就けば、日中関係は更に悪化するとの声もあるが、果たしてそのような流れになるだろうか?

同氏は自民党総裁就任後、いち早く経団連の米倉会長と会談するなど、経済界との結びつきが強い。
もとより、自民党が伝統的に採用している組織型選挙を展開するのであれば、経済界の支援は必要不可欠のもの。
尖閣問題に端を発した日中関係の悪化による影響をモロに受けているのは大手企業であることから、経済界から「日中関係の改善」を望む声が高まることは想像に難くない。
「領土問題と経済問題をいかにして切り離すか」というのは、難しい課題ではあるが、少なくとも選挙実施によって、国内の環境は整っていくように思えてならない。


【中国関連の話題が満載の「にほんブログ村 中国情報(チャイナ)」はコチラ】


加えて、最近の国内メディアはプラスとマイナスを交互に展開する傾向が強い。
9月の尖閣国有化の時点では、日中関係の悪化を大々的に報道したが、最近では経済的なマイナス面を取り上げることが少なくない。
国内メディアの論調も、9月時点と比べると明らかに変化してきており、この傾向が12月、来年と進むにつれ、後退することはなかろうというのが筆者の見方である。

他方、中国側にも変化が見受けられる。
9月のデモ発生当時は「中国が受けるダメージは、日本より小さいから、何をやっても大丈夫」といった強気の発言が目立っていたが、欧州の景気が上向かない状況の中、やはり中国経済もそれなりに影響を受けているという実態が浮き彫りになってきた。
もとより日中両国経済は、サプライチェーンという面で考えると、もはや「切っても切れない関係」となっており、一方だけが大きな影響を受けるというような関係ではないのである。
そうした状況を受け、政府関係者や有識者のコメントも変化が出始めているのは、日本の政権交代も見越した中国側からのサインではないかとすら感じられる。

さらに、米国はこの問題に関して、一貫して両国に冷静な対応を求めている。
本日のニュースの中で、オバマ大統領が「いかなる領土紛争も国際法に則って解決されるべき」というようなことを言っていたのは、注目に値すると思っている。
両国にとって、米国は無視できない存在であるため、米国が本気で両国の仲裁に入ってきた場合には、事態が急展開する可能性も否定できないだろう。

こうした展開が生まれてつつあるのは、オバマ大統領が再選されたという事実が大きい。
そして、中国の指導部が確定し、日本で新たな政権が生まれることで、この問題の行方が決定づけられるに違いない。

総括すると、筆者は総選挙後の来年1月、日中両国が関係改善に向けて大きく歩み出すものと信じている。
いや、このタイミングで始動しなければ、尖閣問題が長期化するに違いない。

物事には必ず節目というものがある。
指導者が交代することによって、悪く言えば責任を全て前任者に押し付けることも出来るのだから。。。
そういった状況を上手く利用できるか、日本の政治力が試されると言えよう。

※すべて筆者の独断ですので、当たらない可能性、大いにありますので、悪しからずご了承のほど。。。

↓ご愛読ありがとうございます。よければ応援クリックをポチっとお願いします。(ブログランキングに参戦中)

にほんブログ村 海外生活ブログ 中国情報(チャイナ)へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿