<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

香港現地で感じた中国経済における香港の役割

2012-10-23 | 出張
香港現地で感じた中国経済における香港の役割

ちょっとブログ更新が疎かになっちゃいましたが、実は20日から昨日まで香港に出張していたもので。。。

今回は、MEGA SHOW という大きな展示会に付随して行われたJETROアジアキャラバン事業(以前の記事参照)に参加すること等が目的。
この事業自体の結果は・・・、
正直なところ、あまり良くなかったですね。
MEGA SHOW 自体はとても大きな展示商談会なのですが、キャラバン事業の商談会場は展示会場と別にセットされていたので、そちらにバイヤーが流れて来ることがほとんどなく・・・。
まあ、これだけ大きなイベントなので、会場を別途手配せざるを得なかったという事情は十分理解できるが、日本から参加した方々にとっては、何とも運が悪かったというしかないだろう。
上海での商談は、そこそこ良かったと思うんですけどねぇ。。。

ところで、このMEGA SHOW 、全体をざっと見て回りましたが・・・、
とても広くて圧倒させられました@@@
真剣に商材を仕入れようと思ったら、一日では足りないでしょうね。
日本の展示会とは、質、規模の両面で大きく差があります。

しかも、香港におけるイベントの大きな特徴は、欧米のバイヤーが多いということ。
このあたり、やはり英国の統治下にあったという歴史、それに関連して英語人材が豊富に揃っており、生活面でも英語が十分通用することなどが影響しているのだろう。
端的に言えば、欧米人にとって、香港はアジア商材を仕入れるには、最も効率のよい都市になっているのである。
そして、これがまた、出展するアジア企業の呼び水となるワケだから、経済がいかに循環しないと成り立たないものかが理解できるというもの。

また、香港は貿易港として発展してきたエリアの狭い地域。
ある意味、一点集中で政策を積み上げてきた地域なので、貿易を行うという観点においては高度に効率化された都市と言える。
実際、モノが集まっているところで商談を行うというのは、道理中の道理ですよね。
日本の展示会に行くと、あまり目新しい商材がなく、来場者も少ないという理由は、このあたりに本質的な問題があるんでしょう。


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香港は、政治的には中国に返還されたこともあって、いまでは中国語(普通話)を話せる香港人が増えているようだが、街中の標記などは全て繁体字、一般的に使用されている言語は広東語だから、中国語に多少自信があっても、英語力がないと仕事をするには結構厳しい環境と言える。

また、中国政府は、香港という一大金融拠点の特徴を最大限活用するため、日本では絶対に採用されない「一国二制度」を適用し続けている。
例えば、香港では関税や相続税といったものは徴収されないし、言論の自由も中国本土と比べると遥かに保証されている。
だから、街角はとても賑やかだし、自由闊達な雰囲気を肌で感じることが出来る。
欧米人が多く、欧米的な店舗が数多く軒を連ねていることも、旅人たちの感性をくすぐる要素のひとつなのだろう。

もっとも、物価の上昇というのは、本土以上に悩ましい問題のようだ。
とりわけ、土地が限られているから、不動産価格の上昇に歯止めがかからない。
テナントリースの面も深刻で、契約更新時は退去せざるを得ないといったケースが後を絶たないようだ。
これも、中国本土からの資金流入が影響しているようにも思えるが。。。

今回の出張、珍しく週末を挟むということで、珍しい光景にも出くわした。
中心部のあちらこちらで、フィリピン人のメイドたちがレジャーシートを広げておしゃべりに興じているのだ。
その理由を現地の方に聞いたところ、こうしたメイドは雇い主の家族団らんを妨げないようにということで、日曜日の日中は外に出て、仲間と一緒に過ごすのだとか・・・。
これも、一年中、寒い時期がない香港の気候が為せるワザなのかも。。。

ただ、考えようによっては、こうした「召使い」の文化を否定しているアジアの国は、日本などごく少数に止まっているということの裏返し。
人権問題や移民問題などが絡み、簡単ではないが、高コスト構造でサービスの幅が限定される日本経済でも、将来的にはこうした要素を議論していく必要が出てくるように思えてならない。


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筆者が香港と具体的に向き合うようになったのは、2006年頃からリーマンショック発生までの期間。
ちょうど暇つぶしの意味もあって、この時期に香港株を嗜んでいたので。。。

でも、面白いことに、香港株を勉強すればするほど、業績の主要な部分を本土で稼いでいるケースが多いので、必然的に本土経済にも詳しくなるんですよね。
しかも、中国本土のA株は海外の個人投資家に開放されていないため、ごく少数のB株を選択する以外は、香港株を購入するしかない。
このあたり、世間では中国株ブームとして取り上げられた時期があったが、正確に表現すると、これは香港株ブームだったのだ。
もっとも、いまは中国株は低迷しているので、そんな言葉すら聞かなくなってしまいましたが。。。

あまり詳しく書くと、長々とした文章になってしまうので、簡単にしか言及しませんが、中国が国有企業改革を断行するに当たって、香港株式市場を最大限活用したという歴史は知っておく必要がある。
つまり、中国政府は未成熟な本土株式市場を傷つけないために、既に自由な株式市場を有していた香港において難しい「国有企業の株式会社化」というテーマを国際社会において実現することが出来たのです。
それも、中国政府が思惑としていた「極めて中途半端な形」で。。。

こういった面も含めて、香港と本土は「資金」と「貿易」という2つの点で密接に連携している。
今回、香港を訪れるまで、ややもすると本土の経済発展にばかり目が向きがちだったが、改めて香港の実力を再認識することが出来た。
加えて、珠江デルタ経済圏における香港の役割というテーマも非常に重要。
筆者、ここは恥ずかしながらほとんど手付かずの状態なので。。。

いやはや、中国経済、本当に奥が深いです。
巨大なモンスター、いや巨大な龍の全容を知るには、日々精進が必要かと。。。

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1 コメント

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素晴らしい (びびっく)
2012-10-24 15:16:13
香港を様々な切り口からリポート
大変参考になりました。

ぶりぶりぶりぶりぶりー
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