<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

任天堂の業績不振にみる日本企業の悪い癖

2011-07-29 | 日記


一見、中国経済とは無関係にみえる話題を取り上げたい。

7月28日、任天堂は業績見通しの大幅下方修正を発表した。
理由は新発売した「3DS」の不振。
同時に、希望小売価格25,000円を一気に15,000円に引き下げるという賭けに出た。

筆者はこの状況をみて、以前のドコモ「FOMA」発売を思い出した。
ドコモは当時、鳴り物入りでTV電話が出来る「FOMA」を投入したのだ。
しかも、自信たっぷりに。

だが、フタを開けると、TV電話の需要は限りなく少なく、かなりの年月が経った現在でもTV電話の利用が少ないこと、携帯電話会社がTV電話を売りにしていないことを見れば、いかにこの戦略が失敗だったかを垣間見ることができる。

今回の任天堂も、筆者は同様の事例と考えている。
任天堂としては、「次は絶対に3Dが売れる」と思って投入したのだろうが、残念ながら消費者はそこまでの付加価値を感じなかったということ。
しかも、この3D技術、市場を注意深く観察していれば、危険性を予見することができたのではないだろうか?
例えば薄型TVの市場、3DのTVが爆発的に売れている状況なのか・・・。
誰が見ても分かる話である。

要するに、開発する側が自分たちの発想や技術開発に酔いしれてしまい、本当に大衆で受け入れられているものを見失ったと言える。
日本企業は技術力、開発力に優れているが故、こうした事態に陥るケースがよくある。
勿論、技術開発には失敗が付きものと言えなくもないが・・・。

もしくは、DSの進化形、ソーシャルゲームの差別化として3Dしか道がなかったが故に、こだわらざるを得なかったのかもしれないが・・・。いずれにせよ、現段階では市場に受け入れられなかった。

翻って、中国ではどうか?
多くの場合、中国の大手企業は先行利益にあまり注目しない。
一般大衆化したとき、爆発的に利用者が増えるときに一気に攻勢をかけるパターンが多い。
スマートフォンでも出遅れが顕著だったが、いまではiPhoneならぬ楽Phone(レノボ)など、アップルもどきが目白押しである。

任天堂の戦略の良し悪しはさておき、市場攻略には幾つものパターンがある。
日本の技術開発なくして新技術の登場がないことは確かだが、あまりにもそこに拘りすぎると本当に美味しい部分を海外企業に持っていかれることが少なくない。
しかも、中国企業の模倣力いやキャッチアップは以前と比較にならないほど速くなっている。

いま日本企業に求められているのは、技術開発と同時に「世界で売りまくる販売力」ではないか・・・。

上海タクシー業界の生き残り競争

2011-07-28 | 中国社会学


上海で遂にタクシー料金の値上げが実施された。
今回は燃料附加費が1元加算されて、現行の初乗り料金:12元が実質的に14元に値上げされた。
ただでさえ中国で最も高いタクシー料金が、他の追随を許さないほどの高さになったと、上海人の間ではブーイングの嵐である。
たかが2元(約25円)じゃないかと侮るなかれ、上海ではバスは2元だから割高感はかなりのモノだ。

もともと上海万博開催時にタクシー台数を増やしたツケで、最近は空車のタクシーが目立つようになっていた。
そこに、折からの燃料高も加わって、タクシー運転手の生活は苦しくなる一方だった。政府としても一定の策を打ち出した格好だが、これで運転手の生活が楽になるかと言えば、そう単純そうでもない。

日本でも同様だが、運賃の値上げは一時的な需要減退を招くことが多い。
今回の値上げは、正式には8月1日から適用だが、会社によっては既に値上げしてもよいという意味不明な通達により、かなりの部分で値上げが敢行されている(中国らしいが・・・)。
ということで、現状をみると、やはり少なからず影響が出ているようだ。
まず端的に表れているのは、朝ラッシュ時の客待ちタクシーの増加。
今まで数えるほどだった客待ちタクシーが、結構な台数まで膨らんでいるのだ。

こうした状況の中、タクシー業界も生き残りをかけた競争時代に突入したと言ってよさそうだ。
上海では、大衆(水色)、強生(黄色)、錦江(白色)、巴士(黄緑色)、海博(青色)の5社が「5強」といった位置づけ。
初めて上海を訪れる旅行客にとって、この5社であればまず問題が起こる可能性が低いだろう。

いままで黄緑色のタクシーと言えば「巴士」だったが、ある日を境に「強生(通常、黄色)」に変わったことに気づいた。
調べてみると・・・、「強生」に合併・吸収されたとのこと。

うーん、両社とも大手だけに競争の激しさが窺える。
筆者が別の会社のタクシー運転手に聞いたところによると、最大手の「大衆」と地場大手の「錦江」も合併の方向とのこと(未確認情報なので悪しからず)。
これが本当だとすると、かなりの規模で合理化が図られることを意味する。

そういえば、万博終了時には「順次、万博タクシー仕様に変更していく」としていたタクシー車両の更新も進んでいないような印象を受ける。



経済の成熟化に伴って、苦しい業界が発生してくるのは、万国共通といったところか・・・。





中国で見かけた日常の光景?

2011-07-24 | 中国社会学
今日は日曜日なので、軽めに。
最近、街角でスナップした画像を中心に、「中国のいま」を伝えたい。
必ずしも全てがいまの中国を正しく反映しているわけではないので、その点は予めご了承を。

まず、北京で見かけた豪快なショット。



駐車場で車のドアを全て全開にして、豪快に昼寝@@@
うーん、日本でもやってみたい。

続いて、ビルの窓ふきの現場に遭遇。



文字通り、命綱です。ロープを腹にくくりつけているだけ。
どうやら中国では人命の価値も高くないのかも・・・。

大連の公園の一角では、こんな凧を発見。



うーん、かわいくないミッキーですね。
いや、名前はミッキーじゃなく、ミッシーかも・・・。

続いて、上海のリニア駅で、斬新な冷房器具を発見。



冷気が出ているように見えるが、涼風の範囲が狭い、狭い。
おまけに、風は売店の販売員のほうに向けられている。
何のための設備なんだか・・・。

あとは、中国でよく目にする光景。
中国では、青空市場は花盛り。



これは地下鉄の出口付近だが、ほぼ毎日同じように出店している。
出店料もかからないから儲かるだろうなぁ・・・。
携帯電話のフィルム貼り職人も至るところに。



1つ、だいたい20元(約250円)でキレイに貼ってくれる。
安いですよね。

ショッピングセンターの広場では、しょっちゅう不動産の販売コーナーが。



しかも、結構、金がかかっている。

あと、特に夏場、街中は洗濯物が花盛り。



干せるところを見つければ、どこにでも干してしまう。
合理的です、はい。

最後に、下の広告、オシャレな女性が映っているが、Tシャツの価格は29元(約360円)から。



物価が高くなったといっても、まだまだ日本とは比べものにならない中国でした。

大連ゴルフ博にみる中国ゴルフ人気の可能性

2011-07-23 | 中国社会学
昨日のブライダル事情に続いて、今日はゴルフ事情。

訪日観光誘致の観点からも注目を集めているゴルフ人気。
実際のところはどうなのだろうか?
筆者はゴルフのプレイはしないが、知識はソコソコなので、先日(7月9~11日)の大連ゴルフ博の見聞も交えながら、中国のゴルフ人気をレポートしたいと思う。

まず、大連ゴルフ博について。
会場は、大連でも有数の観光地/星海公園地域にある展示センター。



会場入口付近はこんな感じ。



入口付近でも新車の販売会が行われていた。
それにしても、狭いスペースに車がギッシリ。



展示センター内は、どうやら贅沢品の展示会と併催らしい。
会場案内図をみるとよく分かるが、左右で二つの展示会が開催されている。



せっかくなので、先に脱線して贅沢品の展示会を覗いてみることに。







うーん、ビミョーに贅沢品とも言えないモノがズラリ。
ま、中国でよく目にする光景ではあるが・・・。

気を取り直して、今度こそ大連ゴルフ博の会場へ。





入ってすぐの辺りは、ゴルフ用品の即売あり、ゴルフの練習グッズの展示あり、ゴルフ場のPRあり・・・と、なかなか上手く仕上がっている。
売っているものが本物かどうかは定かではないが・・・。

日本からは北九州市に本社がある第一交通産業が出展。



同社は日本一の保有台数を誇るタクシー事業をはじめ、不動産や介護ビジネス等、多角的な経営を行っている。
昨年、上海事務所を開設し、訪日観光誘致に向けて積極的に活動している。
官民一体となって、訪日観光の復活を目指したいものだ。

奥の方では、ゴルフのシミュレーションや古いゴルフ用具の展示なども行われていた。





とはいえ、そのほかの展示は・・・







自動車や不動産、果てはワインなど、ちょっとゴルフとは無関係な展示も。
ま、発展途上の分野だから仕方ないでしょうね。
ただ、入口付近から共通しているのは、ゴルフは贅沢品のひとつという位置づけ。
日本ではサラリーマンも楽しむスポーツだが、中国ではまだまだ富裕層でないと楽しめないスポーツなのだ。

ただ、各地で続々とゴルフ場開発が行われているのは事実。
しかも、ゴルフが五輪競技に追加されることが決定したため、中国政府も本格的にゴルフ振興に取り組むとの情報もある。

中国のゴルフ人気の行方、今後も要チェックだ。

中国のブライダルフェスタにみる結婚事情

2011-07-22 | 中国社会学
先日、日本のリクルートゼクシーが主催するブライダルフェスタに行ってきたので、そのレポートをしたいと思う。

ゼクシーは中国に進出して5年以上経っており、この分野での知名度は高い模様。
ブライダル雑誌がメインとなっており、ビジネスモデルは日本と同様だ。

まず、会場入口付近はこんな感じ。





イメージが大事な商売なので、わりとキレイにまとまっている。

内部の様子はというと・・・
一番人気があるのは、婚礼写真のコーナー。





いろんなブースに若いカップルが群がっている。
熱気があって羨ましい。
このあたりは、どの国も事情は同じというところかも・・・。



それにしても、日本と比べると、ひとつのブースがやたらとデカイ!



韓国勢の頑張りも見受けられる。



日本ではワタベウェディングが出展。



韓国に比べると控え目だが、日本勢の代表として頑張って欲しいところ。

変わったところでは、九州の自治体・企業連合がハネムーン獲得のため出展。



こうした地道な広報活動が実を結んでほしいものだ。

中国の婚礼事情は、どちらかと言うと日本よりも派手で金がかかるようだ。
日本の場合も、バブル期にかなり派手な結婚式が流行った(ゴンドラで登場など)が、昨今は節約志向が強まっている。
中国のほうは、「一人っ子政策」の影響もあって、親の思い入れが際立って高い。
ひとりしかいない子どもの晴れ舞台だから、当然といえば当然か・・・。
しかも、中国では故郷を大事にする文化が未だ根強く残っているため、勤務地と生まれ故郷、ひいては大学の所在地と、複数の場所で婚礼or披露パーティを行うことも珍しくないとのこと。
うーん、お金もさることながら、それにかかる労力もすさまじい。

ちなみに、実際の結婚式はこんな感じ。



日本とほとんど一緒ですね。


上海では、「男は家持ち、車持ちじゃないと結婚できない」が定説となっており、結婚にかかる費用は相当大きい。
親がこどものために不動産を購入するのは、ごく普通のことと受け止められている。

いやはや、経済が伸びているときは、こんな現象も起きるわけで。。。