<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国不動産市場の行方は・・・?

2011-12-11 | 中国経済

中国政府が継続的に実施している不動産価格抑制策の影響で、中国の不動産価格は全国的に値下がりを続けている。
国家統計局によると、大都市・中都市70都市のうち、今年10月に前月比で不動産価格が下落したのは34都市と約半数に及び、横ばいも20都市となっている。

加えて、不動産市場における大規模な土地備蓄策に威力を発揮。
国土部によると、今年10月時点で未起工の不動産用地は21万ヘクタール以上、竣工していない不動産用地も45万ヘクタール以上に上り、その7割以上が住宅用地となっている。
この土地備蓄策、中国だから出来る術ですね、土地が国有ですから。
資本主義国家だと、土地は私有なので、強制的に土地売買を抑制することは不可能です。その意味では、なかなかよく出来た経済政策かと・・・。

ただ、市場や政府関係者などは、不動産価格抑制策はまだ不十分との見方で一致。当面、政策緩和が行われそうな雰囲気はなさそう。

とはいえ、足元では徐々に影響が顕在化しつつある。
例えば、不動産取引の現場。
米不動産仲介大手のセンチュリー21の中国現地法人である21世紀中国不動産は第3四半期に1億元近い損失(前年同期比83%増)を計上。あわせて直営店103店舗の閉鎖を発表している。
こうした動きは、リーマンショック後にも見受けられたが、当時と比べるとまだ動きは穏やかなほう。ただ、今後も保有不動産価値の目減りや不動産開発の遅れが顕著になってくると、同業界の至るところで資金繰り悪化に繋がる危険性もあるだろう。

関連業界を見渡すと、不動産業界に先んじて鉄鋼業界が冷え込んでおり、建築向け製品、内装・各種設備向け製品の需要も落ち込んでいる。
中国の場合、まだまだスケルトン渡しが主流で、内装は購入者自身が行うことが多いので、内装関連の経済規模は大きく、そのぶん経済全般に与える影響力も日本の比ではない。

加えて、今後注視すべきなのは、消費市場への影響。
中国の一般市民は、日本ほど給与水準が高くないにもかかわらず、海外旅行や高額商品の購入といった旺盛な消費行動を示すことが多い。
これはなぜか・・・?
推測の域を出ないが、やはり不動産市場や株式市場の上昇による恩恵を無視することはできないだろう。
それだけに、マクロ経済政策による不動産・株式、両市場の低迷は、ボディブローのように中国経済全般に影響を及ぼし始めていると言っていいだろう。

筆者は来年にかけて、世界経済と同様、中国経済も踊り場を迎えるとみている。
中国最大の貿易相手先である欧州経済の動向は、当然ながら中国にも大きな影響を及ぼすに違いないからだ。
こうした場面で、リーマンショック後と同様に大幅な景気刺激策を展開するのか、インフレ懸念から抑制的な政策を維持するのか、注目されるところだ。

ここで言えるのは、現在の人民元相場を維持したままで、不動産価格のみを安定させ、景気刺激策を展開するのは不可能に近いということ。
だって、人間がどんなにお金に「色」を付けようとしても、お金は「無色」で流れるべきところに流れていきますから。。。

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