<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

2012年は「世界経済 試練の年」か・・・?

2011-12-08 | 中国経済


早いもので、あと3週間強で2011年が終わる。

中国経済は動きが猛烈に速いので、毎年あっという間に1年が過ぎて行く。
自分も確実に歳をとっていっているんだなぁ・・・と。

最近よく感じるのは、年齢の重ね方と仕事の進め方の相関関係。

若いときは自分にとっての価値観が前面に出てきて、周囲の状況なんてお構いなしってこともしばしば。
それだけに、いい意味で思い切った事業展開が期待できるが、一方でリスクは他人任せみたいなところもある。

これが歳を重ねてくると、純粋さが少しずつ薄れていく反面、組織と調和のとれた対応というものを身につけ始める。
ま、純粋だった頃の自分からみると、「ズル賢い対応」をするようになるワケで。。。
そうかと言って、いつまでも「万年青年」みたいなことやってたら、社会に受け入れられませんしね。
これが「壮年の悩み」というところか・・・と。

愚痴はコレくらいにして、本題へ。

月が変わると2012年が始まるワケだが、筆者は以前から「来年は世界経済 試練の年」と推測している。
これは漠然としたアテのない予測というわけでも、経済評論家が言っているからというワケでもない。
あくまで世界的な消費動向、経済状況を踏まえての結論なのだ。

まず、経済を語る上で、何が最も重要か?
筆者は明確に「モノが売れるか?」だと答えるようにしている。
昨今では金融システムが多様化、高度化したため、ここでの儲けが本業以上の収益を上げることも見受けられるが、こうした虚業は実業あってのもの。ここを勘違いすると、「バブル崩壊」という憂き目に遭うことになる。
実際、モノが売れない限り、設備投資も生まれないし、労働者の生活も豊かにならないし、物流も生まれない。
「これは当たり前のことじゃないか?」って思いますよね。

じゃあ、来年、爆発的に売れそうなモノって想像できますか?
近年、自動車分野で言えばハイブリッド車、携帯電話で言えばスマートフォンといった人気商品がブレークしたが、来年、こうした商品郡がこれまで以上の勢いを発揮するのは想像しにくい。
勿論、突然ブレークする商品が出ない保証はないが、こうしたものに期待すること自体、危険信号とも言える。

しかも、市場を牽引してきた商品郡が熾烈な競争に晒される時期に入ってきたことも気になるところ。
現にスマホは今後、競争激化による優勝劣敗が進むと予想されている。

上記のような各論(ミクロ)以上に深刻なのが総論(マクロ)。

ご承知のとおり、世界各国はリーマンショック直後に大胆な景気対策を断行したため、もはや財務的な体力は残っていない。
欧州危機を見ても分かるとおり、ここで無理に財政出動すれば、容赦なく国債利回りの上昇とった洗礼を次々に浴びせられる危険性を孕んでいる。

正直なところ、筆者は来年、欧州危機問題が深刻化すると見ている。
いや、もっとハッキリ言えば、「一部の債務国のユーロ脱退」、最悪のケースでは「ユーロ経済圏の崩壊」というシナリオさえ想定されると思っている。
これは資本主義社会の大原則である「借りた金は責任をもって返す」という原点から考えれば、当たり前の結論なのだから。

加えて、08年から景気対策として行ったエコカー補助金やエコポイント制度などによって、「将来需要の先食い」という状況も顕著になっている。
これは薄型TVや国内自動車販売などの状況をみれば、一目瞭然であろう。
さらに深刻なのは、日本に限らず、主要国がほとんど同様の状況に陥っているということ。
おそらく中国以外の大国は、リーマンショック後と同じような対策を講じる術を持たないと言っていいだろう。

世界経済全体の発展スピードが均一化してきたことも気がかりな要因のひとつ。
以前であれば、先進国の景気減退は、途上国に対する改良技術・製品の投入でカバーできたが、いまはスマホなども世界同時発売となることが多く、こうしたタイムラグの活用は不可能になってきている。

誤解を恐れずに単純に言うならば、「2012年は売れそうなモノが見当たらず、政府からの支援も期待できない」といった状況ではなかろうか・・・。

実際、中国経済を概観すると、自動車市場の低迷や各生産領域での在庫調整など、減速感を示す指標が増えてきている。
預金準備率の引き下げが行われたのも、こうした事象が背景となっているのは疑いようのないところだ。

仮に、来年が予測どおり「モノが売れない年」となったとしたら、企業はどのように行動すべきなのか?

筆者は、これも単純に「とにかく買いたい人に向けて買ってもらえるモノを作る」ということしかないと考える。
そして、買ってくれる人が多ければ多いに越したことはない。
要は「いかにしてボリュームゾーンでシェアを確保していくか」に尽きるのだ。
また、当該ゾーンの市場をしっかり確保できれば、経済が豊かになるにつれて、企業のブランドも成長路線を歩むことができる。

中国市場で高級ゾーンばかりを狙おうとする日本企業の戦略に間違いはないのか、いま一度、再考すべきであろう。

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