藍染作家の森くみ子さんから個展のご案内が届いた。
森さんは、阿波藍の産地である徳島県で、伝統工法による手仕事で藍染作品を作り続けて来た人である。
森さんとのご縁があったのは、今から7年くらい前。わたしは、彼女の染める藍の布が好きで、彼女が東京で個展を行う度に、一枚ずつ小さな作品を買い求めてきた。
我が家の室内のドアには、森さんのタペストリーが2枚掛けてあり、壁面にも、彼女の作品をタペストリーとして飾っている.
ジャパンブルーの深くて透明感のある色あいは、水をくぐるごとに、色あせることなく静かに清廉な輝きを増して行く。
「藍は生きている」という如く、天気や気温によっても変化する藍がめのご機嫌をとるのは難しく、その作業工程は労多く、手軽なインディゴブルーが席巻している現状の中で、森さんの活躍が楽しみでもあった。
若き新進作家として、消え行きつつある完全な手仕事としての日本藍の染色家として、将来を背負って行く稀有な人として、すでに森さんの活躍は、ミセスなどにも特集記事を組まれるほどに成熟して来ていた。
そんな森さんが、大切なパートナーとしてともに暮らした伊藤洋一郎さんを昨年秋亡くした事を、今年の初めに知った。
3月、銀座のギャラリー「新居」の個展会場で、森さんと会い、ゆっくりと話す機会があった。
「入っている予定を今年はこなして、来年は、画家、写真家として遺された伊藤さんの作品と向き合いたい」と言っていた彼女の言葉にただ頷くことしか出来なかった。
伊藤さんとの関係は、たまに森さんから聞いていたけれど、大きな年齢差を超えて、お互いに自分の領分をきちんと守り、それぞれが自分の仕事をこなす上で緊張感を保ちあいながら触発し合えるいい関係を築いている事を知って、うらやましいほどの感銘を受けたことを思い出す。
そして、今回ご案内の荻窪銀花の個展のあと、今年いっぱいで彼女の工房「桜工房」を閉じることが記されていた。
人は、いろいろのかかわりの中で、生かされている。
27歳から16年間のごまかしのない一途な仕事を一旦クローズし、「今まで築き上げてきたものを大切に、少し時間をかけて、仕事の在り方を見直したいと思います。」と記されていた。
彼女が、どれほどの大きな喪失感に包まれているのかと思うと、ゆっくりと過ぎ行く時間のなかでしか、その痛手をいやす術はないだろうことは想像に難くない。
この出来事を乗り越えて、どんなふうにいっそう成熟していくのか、静かに見守ってあげたいと思う。
作品にご興味のある方は、「森くみ子阿波藍絞り展」へどうぞ。(写真)
7月15日(金)~26日(火) 荻窪銀花 JRおぎくぼ駅徒歩3分。03-3393-5091
(水曜定休・営業時間などは、お電話でご確認下さい。)
木戸さんは 素敵な多くの人と接していますね。
出会った人々を大切にしそれぞれに 良さを表現して皆に伝えてくれますね。
藍染作家森さんの個展・きっと心温かい作品が並んでいる様子が・思い浮かびます。
木戸さんにまたまた、感謝のコメント?なんです。
レンタルBOXのご利用が更に増えました!
”ちあ ”からの情報からでーす。
温かい記事を書いていただいて感謝していす
誤 (虫刺されかにも)
正 (虫刺されなどにも)