旅にハプニングと出逢いはつきものです。
中津市で私は故松下竜一氏のお墓参りをしたあと、市内をブラブラと散策しました。
中津は福沢諭吉を生んだ町としても有名で「福沢旧邸」の門の辺りまで歩いたところで旧邸の土塀の隣りに「和傘工房朱夏」ののれんを見つけ、思わず見学を申し出ました。
実はある企画「ザ・職人」で全国の職人さんを取材して記事を書くことになっていたのですが、少し行き違いがあり私の中に納得の行かないことが起こり、その依頼を中断して気持ちが乗らないままになっていましたが、こんな素敵な工房を見つけてしまうと眠っていた取材の虫がぞろぞろと起き出してしまいました。取材をしなければ深い話をきくことが出来ず、モノヅクリに興味がある私は迷った末に記事を書くことを決め、取材を申し込みました。
明治中期の家屋を改造して和傘づくりの工房にしたという「朱夏の会」代表の今吉氏に和傘づくりの行程や材料、和傘の現状などを1時間にわたって伺うことが出来ました。
和傘(蛇の目傘)の工房は、今は全国に10軒位しかないということも判り、城下町中津でただ一軒しか残されていなかった江戸時代から続いた和傘屋さんが高齢化のため製造をやめてしまったことを知った今吉さんは、今から4年前不動産業のかたわら独学で試行錯誤の末に和傘づくりを伝統工芸として復活させた人だということも取材の中で伺う事ができました。
取材を受けていただくために私が用意しなければならないこちら側の資料も差し上げることが出来ないままの突貫取材にも関わらず、会議を中断して快く取材に応じて下さり、出逢いの妙に心より感謝しました。
和傘作りや作品の写真もたくさん撮らせていただくことが出来、その中で今吉さんが「あなたも、さあ、傘をさして。撮ってあげましょう」と私に和傘を差し出して下さり、私も「夜目・遠目・傘の内」ですねといいながら思わずカメラに収まってしまいました。(写真)
旅をしていて思わず出逢う素敵な人たちは旅の大きな醍醐味の一つです。
電撃的ともいえる出逢いをいただいた「和傘工房朱夏」さんを丁寧にきちんと写真入り記事にして皆さんに読んでいただきたいと思いました。
これから数日中に仕上げたいと思います。