やっぱり来るんじゃなかった!!30分も雪の中に足を突っ込んでいると、もう痛くてどうしようもなくなってきます。
しかもこの日は晴天でしたので、枝とかにカサバってる雪が少しづつ溶け出しています。
あーぶなーい!
ウッカリしてると、ドサドサと雪が落ちてきて、ドリフの大爆笑状態。別に楽しい思い出など期待していませんでしたが、やはり所長がらみで来ると過酷な運命が待っています。
そんな中でも所長は元気いっぱい。
こうも人間の感覚というものは、個体差があるものなのだろうか。やはり団塊の世代魂というのは、僕などでは手の届かない何かを秘めてる感じがします。
そして肝心の枝調査。刈る枝にも一定の基準があるらしく、その場にいた僕以外の人たちは真剣な表情で、木を眺め、枝を眺めて、ここはこう切ろうとか、この木は伐採してしまおう、などと打ち合わせをしています。
正直、ワカンネ。
あの木と、この木の区別がつかず、あの枝とこの枝の違いが分からない僕には、彼等の言っていることがよく分かりません。
偏在的傾向にある物事というのは、分からない人には全く分からないものです。
それでも必死に図面に位置を記録し、写真を撮ります。木なんて見た目は同じなので、番号を振ります。足も感覚が無くなってしまったので、先ほどのような苦しさはありません。そうして広い庭を2時間ほど歩き回って終了。
再び小屋に戻り、ようやく足を暖められます。そして休む間もなく打ち合わせ。今度は「庭にどんな花を植えようか」の打ち合わせ。夏くらいにその別荘の持ち主が来るので、それまでに綺麗な花を咲かせましょ大作戦。
普段パチンコばかりしてる僕には無縁の話。オッサン5人でお花トークに文字通り花を咲かせてるのも、けっこうスゴイ光景。まぁ3人は本職ですが。そうして1時間ほど経った頃には、だいたいの方針も決まりました。
時間は12:00。
「じゃ、帰るか」と所長。
早い!!助かりました。
管理人さんに駅まで送ってもらい、券売機で切符を購入。僕は窓口。
しかし発車まで30分ほどあります。
「じゃ、メシでも食うか」と所長。
待ってました!!
「どこで食べるか?」とキョロキョロしてる所長。
僕はハッとしました。すぐそこに立ち食いソバ屋があるのです。
マズい!このままだと確実に立ち食いソバ屋行きです。
僕は何気なく立ち食いソバ方面に立ち塞がり、所長の視線をシャットアウトします。
「あ、駅でたトコに店がありますよ」と僕。
「そんな時間ないだろ」
あるよ!
「30分ありますよ」
「立ち食いソバ屋なかったっけ?」
はいはい、ありますよ。
ホラ!すぐそこに!!
「あーそこにあります」と僕。もういいや。
軽井沢に来てまで立ち食いソバ屋。
僕は天ぷらソバ、所長は天ぷらソバに卵入れ。合わせて950円なり。
ここで異変が。
立ち食いソバ屋は基本的に前払いです。が、所長が財布を出そうとしません。
え!?本気?
見つめ合う二人。
僕けっこう妥協して、ここに居ますけど。スタートラインから見たら100m.くらい下がってますけど。そのうえ僕が所長の天ぷらソバ代(卵入り)も払うの?
ないわ。ないわ!!!
こういう場面は僕も大嫌いなので、普通だったら僕が払っちゃいます。が、今回は引けねぇ。軽井沢駅の立ち食いソバ屋で、変な攻防が始まりした。
二人とも財布を出すとこまでは進展しましたが、中身が出てこない。
「あ、おまえいっぱい持ってるなぁ!」先制攻撃は所長。
こともあろうか、部下の財布を覗き込んで、そんなこと言ってます。
もう反則スレスレっていうか、反則だろ!「いやいや、そんなの関係ないです。トータルでは所長の方が持ってますよ」と僕も返す刀で反撃。
すげー小さい戦い。
困ってるのは、店のオバちゃん。まさか立ち食いソバ2杯で、こんな醜い戦いが始まるとは思っていなかったのでしょう。
え!1000円くらい早く払ってよ!的な視線を投げかけてます。第三勢力です。
そうして渋々1000円を出す所長。本気なのか・・・。波乱に満ちた昼食タイムを終え、いよいよホームへ。
「じゃあ前に方に行こうか」と所長。「え?なんで前なんですか?僕は後ろですよ」なんか噛み合わない。
そうです。所長は自由席なのです。
「なんだ!おまえ指定席か!」と驚愕する所長。
「ええ、まあ。」と勝ち誇る僕。
最後に勝った感じでした。
(おわり)