無知の涙

おじさんの独り言

台風のバ・カ・ヤ・ロ・ウ(中編)

2007年09月11日 | 軽井沢メモリー

台風は去ったものの、依然として暗雲がたちこめる軽井沢の空。

1年前に出張で来たことありましたが、当然のことながら雰囲気が全く違います。

とりあえずタクシーへ乗って、行き先を告げて出発。

街中を走ってゆくと、そこらじゅうに倒れている大木。

それをレッカー車で除去しようとしている光景がアチコチに見られます。

そのとき僕は駅前を見た時から続いている違和感に、ようやく気づきました。


停電 しているのです。


そういえば駅前や軽井沢銀座に立ち並ぶ店も、ほとんどシャッターが下りて閑散としていました。信号機さえ点いていないのです。

これは本当に冗談では済まされない、と身が引き締まる思いでした。

そして目的地である別荘に到着。かなり山の中です。

敷地内に入ると、そこの管理している年配の男性が出迎えに来てくれました。

挨拶を交わして、地下室をさっそく見せてもらうことに。

機械室のような部屋の床にマンホールがあり、そこから地下室が見えました。なるほど、膝上くらいまでは完全に水没しています。風呂の水を揚げるポンプやらは完全に水の中です。

機械だから、もうダメでしょう。

修理業者が午後の3時くらいに来る、とのことでしたが、兎にも角にも水を出さない限りは修理のしようもありません。ポンプが既に到着していたので、説明書を読みながらセット。

勢い良くポンプが水を吸い上げ、ホースから水が排出され始めるも、水量は全く変化ありません。

地下に下りただけでは、地下室の範囲が把握しきれなかったので、管理人さんに確認してみると、かなり広いみたいです。

どう考えても3時間くらいでは、排出しきれないでしょう。

ということで今日の修理は絶望的なので、業者に電話してもらい、修理は明日へ延期。

来た早々に、もうやるコトがなくなってしまいました。

じゃ、帰ろっかな、と思っていると、管理人さんが

「あのー庭の掃除を手伝ってもらえないでしょうか?」

え?

いや、手伝いたいのは山々ですが、何しろ仕事で来てるので勝手に決められないのです。所長の指示以外のことを勝手にするワケにはいかないのです。

と、そこに所長から着信。恐ろしいタイミングである。

「おまえ、今日そこに泊まれ!」

はい? (o゜ー゜o)??

「掃除とか大変らしいな!片付け手伝って、明日帰って来い

「ねぇ、所長?」僕は極めて冷静な状態を保って言いました。「僕は明日も東京で仕事ありますし、そんな勝手に決められないんですよ?」

「あー大丈夫。代わりのヤツに行かせるようにしたから」

勝手に決めるな! Σ( ̄□ ̄lll)

そして、ブチッと切られる通信。

軽井沢の中心でバカと叫ぶ

です。

一部始終を聞いてる管理人さん。「すいませんねぇ。寝てないんですって?」

「いえいえ」と僕は凍りついた表情をなんとか笑顔にして応答。「ぜんぜん大丈夫ですよ」

管理人さんに罪は無いのです。

とりあえず着替えたい。

管理人さんは僕を敷地内にあるプレハブへ案内してくれました。

休憩に使って良い、とのこと。

停電しているので、真っ暗。作業用の着衣に着替えて、とりあえず一服。駅からこっち飲食店は全て閉まっていたので昼飯も買えませんでした。昼飯は良いとしても飲料水すら買って来なかったことに激しく後悔。

ていうか、俺どこに泊まるの(゜0゜;)?

ここ?

イヤだ!こんな便所もシャワーも無いトコなんて泊まれるか!

事務所に電話して、事務の女性にホテルを取って欲しいと連絡。軽井沢は電気の供給が怪しいので、新幹線で一つ先の佐久平方面で探してもらうことに。

数分後、無事に部屋が取れたと連絡がありました。金曜日なのでかなり心配でしたが。電気も大丈夫とのこと。

そうこうしている内に13:00です。プレハブを出て、庭へと向かいました。

庭には既に管理人さんと、その奥さんと、息子さんと思われる若い方が準備していました。

「東京から手伝わさせて頂きに参りました。」とまずは挨拶。新入生のような感じです。

しかし広い庭です。プライベートなコトですから、写真を載せられないのが残念ですが、ちょっとした公園くらいの広さがあります。

そしてその広大な庭一面に、台風で吹き飛ばされた木の枝や葉っぱが散乱しまくっています

これを片付けるのね。

手伝うと決めたからには役に立ちたいのです。まずは作業手順のようなものを説明してもらおうと思いましたが、もう各々作業開始しちゃってます。

細かいことまでアレやコレと聞いてしまうと、なんだか嫌々に手伝っているような印象を与えてしまいそうなので、何も聞かないことにしました。

とにかく動いて、後は他の方たちがしている作業を見ながら判断していくしかないようです。

ざっと様子を見てみると、ご夫婦が巨大なブロワで散乱している葉っぱを飛ばして集めています。ある程度集まったところで息子さんが熊手で掻き集めてリヤカーに入れています。

ブロワも2台しか無いみたいなので、僕は熊手で掻き集める方を手伝うことにしました。

熊手で落ち葉や枝を集めて、巨大なチリトリですくってリヤカーに入れる。リヤカーが一杯になったら集積場所まで運ぶ。集積場も100メートルくらい離れています。太い枝をたくさん積んでしまうと、リヤカーもけっこう重くなります。

単純作業ですが、それを何十回も繰り返していると、けっこう疲れます。寝てないので体は重いし。ノドもカラカラです。

しかも技術だって要るのです。

闇雲に葉っぱを掻き集めてる僕のところに奥さんがやってきました。地面に生えてるコケまで剥がさないように、ということです。

コケを傷つけずに、表面の落ち葉だけ掻き集める・・・・。

僕はあまり器用ではありません。造るよりも壊す方が得意なのです。力押しです。殺るか殺られるか、の世界です。パチンコと同じです。

しかし御要望とあれば、最善を尽くさねばなりません。

でもどうしてもコケに熊手を引っ掛けてしまいます。なんとかならないものか・・・などと試行錯誤しているうちに夕方になってしまいました。

作業終了。

とりあえずノドがカラカラで死にそうです。こんなにノドが乾いたのは部活動やってたとき以来です。

管理人さんに一番近い自動販売機の場所を聞くと、僕らがいる場所から10分ぐらい行ったところにあるとか。

ウオオオオオオ!ε≡Ξ≡Ξ≡Ξ≡Ξ≡ヽ(; ゜〇゜)ノ

ダッシュです。

ようやく自販機に到着。金を入れるが何故か反応無し。

停電でした。

ノオオオオオオオ!~(T◇T)~≡Ξ≡Ξ≡Ξ≡3

力なくプレハブに戻って着替えていると、管理人さんがやって来ました。どうやら車で駅まで送ってくれるそうです。

考えてみれば、ここはかなりの山の中です。歩いて駅までなんて帰れないのです。

駅に着いて、改札口まで行くと、来たときとは違ってかなりの観光客がいました。一人で紙袋一つ持ってフラフラしてるのなんて僕ぐらいのものです。

空を見ると、ようやく暗い雲が切れて、青空が見えてきました。

当然みどりの窓口も混んでます。

もうクタクタだったので、また20分も30分も待たされるのはウンザリでしたからタクシーに乗っちゃいました。

タクシーに乗って移動しながら外の風景を見てると、本当に今回の台風の凄さが分かりました。

もう木という木は倒れまくり、いくつもの道が通行止めになってしまっていました。おかげで全く到着しないのです。完全にタクシーは失敗だったようです。

目的地に着いてみれば、タクシー料金なんと9500円!

ていうか、軽井沢のタクシーって高い気がする・・・。東京の深夜料金並みにメーター上がってくし。ちょっと寝ようかと思いましたが、メーターの上がり方が気になって眠れたもんじゃありませんでした。

何はともあれ、ようやくホテルに到着です。長かった。実に。

チェックインを済ませ、部屋に入り荷物を置いてソッコーで風呂へ。ここのホテルの最上階が大浴場になっていて、

露天風呂!!この長かった1日の終止符。

最高でした。

湯船につかって空を見上げると、不吉に覆われていた黒雲は去っていて、夕日でピンク色に染まった雲たちが風に乗って流れていました。次第に影を落としてゆく山々。ゆっくりと、優しく夜の帳が下りてゆきます。

明日は晴れそうです。

風呂から上がり、近くのコンビニで下着に靴下、それから酒とツマミを買い求め、久々にゆっくりとテレビを見ながら酒を飲みました。

パチンコもゲーセンも何も無いです。あっても遊戯するような体力はもう無いのです。

テレビを見てて思ったのですが、「バナナマン」てコンビ名なんですね。あのオカッパ頭の名前かとずっと思ってました。

そして22:00過ぎに就寝

明日は睡眠バッチリで頑張るぞ!と思ってたのですが、

1:00くらいに目が覚めてしまいました。そんなに早く寝たのなんて久しぶりだったので、体が仮眠と勘違いしているようでした。

それに、僕はベッドが苦手でした。すっかり忘れてました。ザコ寝でも何でも寝れるのですが、ベッドだけは寝付けない、というメンドクサイ体質なのです。あのフカフカ感が、どうも体に馴染まない

一度、旅行に行った時に、わざわざベッドを動かして壁とベッドのスキマに寝てたことがあります。もちろん無意識です。それを便所に起きた友達が見つけてビックリして起こされました。

結局、3:00くらいまで起きてましたね。でも一つだけ良いことがあったので、そんなに不快でもありませんでしたけど。

 

                          つづく