ペンシルハウス物語~東京日和~

-gozar de tokyo-きまま そのまま なすがまま 

海のふた

2008-09-12 | 暮 Life
よしもとばななの小説
「海のふた」を読んだ。

夏の終わりの小さな海辺の街で

カキ氷が好きで好きで仕方なくて
ついにカキ氷屋を始めた主人公と

そこでひと夏過ごす事になった
都会から来た女の子の話。


読み終わった時に気持ちがなんとなく
キレイになった気がした。


電車で自分の前だけ空かないとか

並んだレジだけ進まないとか

頼んだ仕事を言い訳ばかりされるとか

なぜあなたに?と思う人に彼女がいるとか
(余計なお世話か)

たまたま外へ出た瞬間に雨に降られるとか

なんで電話くれないのだろうかとか

日々のイライラや焦りや妬みの
黒いものが中和された気がした。

この人の小説は書いた時期によって
底なしに暗い文章と静かに光りが出てる文章と差が大きい。

今回のは後者。
すごく好きな方だ。


小説の中で主人公が
海だけが海や自然しかない街で

「ただ生まれて死んでいくまでの間を、

気持ちよく、おてんとさまに恥ずかしくなく、

石の裏にも、木の陰にも宿っている精霊たちの言葉を

聞くことが出来るような自分でいること。

この世が作った美しいものを、

まっすぐな目で見つめたまま、

目をそらすようなことに手を染めず、

死ぬことができるように暮すだけのこと。

それは不可能ではない。

だって人間はそういうふうに作られて

この世にやってきたのだから。」


そうだよな。。。

まっすぐな目でもう一度見つめてみようかなと
思わせてくれた。

ずっとあいてた海のふた。
そろそろしめれるかな。。。