SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

GEORGE WALLINTON 「JAZZ FOR THE CARRIAGE TRADE」

2007年08月12日 | Group

1955年~56年はモダンジャズが最も華やかだった頃だ。
当時は猫も杓子もハードバップに色めき立っていた。
人気グループとしてはマイルス・デイヴィス・クインテットやアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャース、ローチ~ブラウン・クインテット等がその第一線で活躍していたが、このジョージ・ウォーリントン・クインテットも忘れられない存在としてジャズ史に燦然と残っている。
ここでのメンバーはジョージ・ウォーリントン(p)、ドナルド・バード(tp)、フィル・ウッズ(as)、テディ・コティック(b)、ビル・ブラッドレイ(ds)だが、彼らの第1作である「ライヴ・アット・ザ・カフェ・ボヘミア」では、フィル・ウッズの替わりにジャッキー・マクリーンが加わっていた。
この第1作と第2作のどちらがいいかは意見の分かれるところだ。
片やライヴ録音であり、片やスタジオ録音だから、当然好みが分かれて然るべきだが、臨場感はやはり前者にかなわない。ウォーリントンの突っ込んだピアノを聴くだけで嬉しくなるのだが、フィル・ウッズとジャッキー・マクリーンのどちらが好きかということ以前に、ここはドナルド・バードの出来に注目したい。
個人的には第2作のバードが好きなのだ。「カフェ・ボヘミア」の時は何となく存在感が足りなかったバードは、この「キャリッジ・トレード」で自信を取り戻している。見事な吹奏だ。この違いは決定的に思える。
音の響き方も違う。ライヴ版は音の厚みが足りないような気がするのだ。
但し、こんなハードバップは冷静に音を聴くことよりももっと大切な何かがあるといわれれば反論のしようがない。もともとハードバップは熱気溢れるライヴで聴くのが一番なのだ。

このところ連日の猛暑になっている。夜になってもじっとりと汗がにじんでくる。
私は今、団扇片手にこの2枚のアルバムを聞き比べている。
どちらも甲乙つけがたい。それでも私はやっぱりこの「JAZZ FOR THE CARRIAGE TRADE」が好きだ。


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