ひさびさにイケてるアルバムに出会った。
2002年に結成されたイタリアのハイ・ファイヴ・クインテットの新譜である。
メンバーはファブリッツィオ・ボッソ(tp)、ダニエル・スカナピエコ(ts) 、ルカ・マヌッツァ(p)、ピエトロ・チャンカリーニ(b)、ロレンツォ・ツゥッチ(ds)の先鋭5人組。
ファブリッツィオ・ボッソは以前にこのブログでもご紹介したが、現在絶好調のトランペッターである。
この作品は彼らのブルーノート・デビュー作になるが、全編に渡って、そのボッソを中心にフレッシュなハードバップを聴かせる。
最初にこれを聴いたときは、ミリアム・アルター・クインテットの「REMINISCENCE」を連想した。私はこの「REMINISCENCE」がここ数年の愛聴盤だったので、一聴してすぐに購入を決めた。
これが大成功!文句なし!
この手のグループとしては、エリック・アレキサンダーを中心としたワン・フォー・オールがあるが、私はこのハイ・ファイヴのちょっと湿った音に、より魅力を覚える。
それはただ単に溌剌としているというだけでなく、そこに充分な都会の哀愁を感じるからだ。
誰かのセリフではないが、ジャズはやっぱり哀愁が漂ってなければいけないと思う。
ハードバップというと粗野なイメージを持つ人がいるかもしれないが、実はその演奏の奥に秘めた哀愁を嗅ぎ取れるようになって初めて、「ジャズがわかる人」になれるのだと思っている。
そういう意味において、このアルバムはある意味試金石かもしれない。まだ聴いていないという方はぜひお試しあれ。
このアルバム、ジャケットもそれなりに斬新だ。
中の雰囲気を充分に伝えているかといわれればそうともいえないが、彼ら独特の新しさと躍動感を表現できているようにも感じる。
とにかく期待させてくれる何かがあることだけは確かだ。
ジャズにもこういうジャケットがもっとあっていいと思う。
これはブルーノート健在なり、ということを証明する一枚である。