SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CHICK COREA 「Return to Forever」

2007年07月11日 | Group

実に美しいジャケットだ。いつまで見ていても見飽きることがない。
このジャケットでECMは決定的なメジャーレーベルになった。
このアルバムがもたらした効果はそれだけではない。
まずジャズ界に大きな変革をもたらすきっかけを作った。具体的にはアコースティックとエレクトリックの融合である。ここからクロスオーバー・ミュージックという言葉が生まれた。フュージョンの先駆けである。
その心地いいサウンドは、それまでの難解なフリージャズに参っていた多くのジャズファンのみならず、ポピュラー音楽界からも幅広く受け入れられたのだ。その結果このアルバムは大ヒットし、チック・コリアの名前も世界中に知れ渡ることになった。
この大ヒットのお陰で、タイトル曲である「リターン・トゥ・フォーエバー」はそのままグループ名になり、その後も積極的な活動を続けた。
このグループからは人気プレイヤーも何人か排出することになる。例えばこのアルバムから参加しているスタンリー・クラークやアイアート・モレイラ、第2期のアル・ディメオラ、レニー・ホワイトといった面々だ。彼らは全員恐るべきテクニシャンばかりで、もう一つの人気グループ「ウェザーリポート」と人気を二分していた。
ヴォーカルをいち早く取り入れ成功したのもこのアルバムの先進性を物語っている。フローラ・プリムのスキャットはこの作品のイメージを決定づける要因だ。この浮遊感がジャケットのカモメと相まって、私たちを海の上へ滑るように連れて行ってくれるのだ。

いまでこそクロスオーバー・ミュージックなどという言葉は死語になってしまったが、時代を変えた作品にはとてつもない品格と存在感があるものだ。
久々にこのアルバムを取り出し聴いてみて、改めてそのスケールの大きさに驚いた。
古くなっているのは私たちの頭の中にあるイメージであって、レコードはいつまで経っても新鮮なままである。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です (YAN)
2007-07-11 22:27:45
どうも歳をとってきたせいか、思い込みで判断してしまうことが多いです。何事も、じっくり見聞きし直すと、新たな発見があるものです。
返信する
全くです (SATOM)
2007-07-11 23:15:34
レコード棚を見ると、「ああ、こんなのもあったな」とか思うことがよくあります。その時、頭の中でイメージされた曲は、実際の音とはかなり違っていることがほとんどです。
そのギャップを埋める作業を徹底的にやりたいと思っています。
返信する