SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ERIC LE LANN 「Eric Le Lann」

2010年01月05日 | Trumpet/Cornett

まだ新譜といってもいい作品だろう。
エリック・ル・ランの通算13枚目になる快作である。
この人のことを知ったのは最近のことだ。「Le Lann-Top」という前作を聴いて興味を持った。
きっかけは、ジルフェマのリオーネル・ルエケ(g)がゲストで出ていたので聴いてみたのだが、何といっても全編に渡って冴え渡るトランペットと重いベースのコンビネーションが見事だった。
それもそのはず、「Le Lann-Top」では、プログレッシヴロック界からMAGMAのヤニック・トップ(b)を連れてきて、ハードなジャズロックを演奏してみせたのだから驚きだ。
こんな風にエリック・ル・ランという人は、かなり型破りで挑戦的な人と見た。
だから今回もそんな路線かなと思いきや、13作目は実にストレート・アヘッドなジャズアルバムに仕上げてきた。
ある意味、これも新鮮な驚きだった。
これで間違いなくファン層も広がったのではないかと思っている。

とにかく1曲目の出だしからしてル・ランの繰り出す音に酔いしれた。
彼の吹くペットは、クールで切なく、夜の静寂に谺するようだ。
バック陣も超がつくほどの豪華版である。
ピアノは売れっ子のデヴィッド・キコスキー、ベースは最近ケヴィン・ヘイズの作品にも登場していたダグ・ウェイス、そしてドラムスは泣く子も黙る御大アル・フォスターだ。
特にアル・フォスターがスピーカーの中央に陣取って、全体をコントロールしながら的確なリズムと効果的なアクセントを叩き出しているのには頭が下がる。正に見本のようなドラムである。
キコスキーのピアノもキレがいいし、ウェイスも跳ねるようなベースを弾き出している。そこにふわりとル・ランのトランペットが被さっている感じだ。
こういう安定感のあるバックがつくと、それだけでアルバムのグレードがグッと上がる。
しかもこれは純粋なワンホーンアルバムだから、トランペット好きなら迷わず手に入れたい作品といえる。

今ちょうど7曲目の「Herve in Black and Blue」がかかっている。
時間は夜の10時である。
ちょっとだけボリュームをおさえてみた。
アル・フォスターの叩くシンバル音が心地いい。
こんな真冬の夜に似合った音の響き方だ。


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