SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

DUSKO GOYKOVICH 「TEN TO TWO BLUES」

2009年06月01日 | Trumpet/Cornett

文句なしの人気盤である。
原盤はEnjaかと思いきや、スペインのEnsayoというレーベルだ。
ジャケットにもしっかりその旨がプリントされている。
このジャケットは「After Hours」として出されていたアルバムのオリジナルであるが、中身のイメージとはかけ離れているように感じる。
中身はもっと明るく溌剌としている印象があって、決してこんなおとなしいムードではない。
制作者の意図もわからぬではないが、オリジナルが全ていいわけではないということの証明である。

曲順もオリジナルでは「LAST MINUTE BLUES」がラストに配置されているが、これが最初に来るのとラストに来るのではかなり印象が違う(通称「After Hours」ではトップに配置されている)。
この曲は主役のダスコ・ゴイコビッチがトップを飾ってストレートに吹きまくっているが、その後に続くテテ・モントリュー(p)、ロブ・ランゲレイス(b)、ジョー・ナイ(ds)のリズム隊が、ゴイコビッチのトランペットを消し去るかのごとき熱演をしている。まさに鬼気迫る勢いだ。
これは確かにすごい。この1曲だけでも買う価値があるが、アルバム全体を通してみてみるとこれは明らかに異質だ。
だから私はこの曲をラストに配置しているオリジナルの方が、どちらかといえば無難だと思っている。
ただ、この曲を聴いたホルスト・ウェーバー(Enjaの創始者)が、感激のあまり、これを一番いいところに持ってきたのではないかと勝手に思っているのだが、これは私の単なる深読だろうか。

このアルバムには他にも優れたナンバーが何曲も入っている。
哀愁漂うメロディの「Old Fisherman's Daughter」もさることながら、私は彼のオリジナルナンバーである「Remember those days」がベストだと思っている。
このジャケットに合うのはこの曲くらいである。
とにかく音の色艶が抜群にいい。こんな演奏を間近で聴いたらとろけてしまいそうだ。
トランペットの魅力満載の一枚である。



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