SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

BOB GORDON 「MEET MR.GORDON」

2010年01月01日 | Baritone & Soprano Saxophone

元旦早々、軽快なバリトンで楽しんでいる。
重低音が命のバリトンサックスから真っ青な空と海を感じることも少ないとは思うのだが、ボブ・ゴードンは別だ。
この明るさはジェリー・マリガンにも通じていて、ウエストコーストジャズの一番おいしい部分を匂わせる。
但しボブ・ゴードンのリーダーアルバムはこれ一枚しかない。
これは、天からわずか2年という短い活動時間しか与えられず、交通事故で27歳の生涯を閉じた若者の貴重な記録でもあるのだ。

1950年代のアメリカ西海岸といえば、リーゼントにレイバンのサングラスをかけて、派手なコンバーチブルを乗り回す若者が集まるイメージだ。
いわば日本人が一番憧れたアメリカの姿である。
かかっている音楽といえば、ロカビリーか極々初期のサーフミュージック、そしてウエストコーストジャズだったろう。
当時のウエストコーストジャズを演っていた面々も、みんなイケメンだった。
チェット・ベイカーやアート・ペッパー、ラス・フリーマンなどなど、みんな才能にも溢れた人たちで、ジェリー・マリガンに至っては何種類ものホーンを自在に操り、ピアノも上手かった。
おそらくボブ・ゴードンも、そんな仲間に囲まれて青春を謳歌していた一人ではないかと思う(見た目はちょっと野暮ったいが....)。
このアルバムからはそんな彼の意気揚々とした青春の喜びが十二分に伝わってくる。
音そのものに若さが感じられるといった方がいいかもしれない。

その若さを感じる源は何といっても曲のテンポにある。
何も考えずに自然と身体が反応するリズムだ。
これを単調だという人もいるだろうが、実はここがウエストコーストジャズの生命線なのである。
こんな風に一見単調で平凡そうな作品を愛してこそ、本物のジャズファンといいたいところだ。

ま、とにかく今年もこんな調子でがんばります。




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