SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ERNST GLERUM 「OMNIBUS TWO」

2008年12月19日 | Bass

グレルムの話をしたついでに「OMNIBUS TWO」もご紹介したい。
あの大ヒットした「OMNIBUS ONE」から3年の時を経て出された〝OMNIBUS〟シリーズ?第2弾である。
彼らはレトロバスがトレードマークのようになってしまった。
今回のジャケットに使われている2階建てバスは、既にONEのライナーノーツの中に載っているものだ。ここではちゃんとフロントからテール部分までバス全体が写っている。
なぜ今回のジャケットではトリミングしたのだろう。バスをより大きく見せるためか、はたまた背景の青に対する赤の面積を増やしたかったからなのか、わからない。しかし、よく見ると今回はフォトレタッチされている部分がいくつかあり、ONEのライナーノーツの中で紹介されているものと比べると、色彩もかなり強調されている。いわゆるビビッドに調整されているのだ。これが〝総天然色カラー〟的なレトロさを増幅させる結果を生んでおり、おそらくこれが彼の狙いだったのではないかと思っている。

このようにエルンスト・グレルムという人は、そういったイメージ戦略にかなり拘る人のようだ。
以前、「OMNIBUS ONE」をご紹介したときにも書いたが、彼のウェブサイトを見れば彼本人の趣味がよくわかる。ここにもレトロ調の車や電話機なんかがところどころ配置されていて面白い。
ついでにContact/Linksに並ぶ仲間たちのサイトを見て回ったが結構楽しめた。
蛇足ながら、そこから「Trio Bennink/Borstlap/Glerum」へジャンプすると、2008年10月28日のトリオ演奏がYouTubeで観られるが、ここでのハン・ベニングがかっこよかった。ドラムスなんてスネア一つあれば充分なんだな~、と思った次第である。
エルンスト・グレルムはというと、このライヴ演奏では本来のベースに専念している。
「OMNIBUS TWO」ではもっぱらピアノを弾いているのだが、私は彼のベースをもっともっと聴きたい。それくらい彼のベースには魅力があるのだ。

「OMNIBUS TWO」の内容は「OMNIBUS ONE」を超えている。
今回は大型バスに揺られているような、ある種の浮遊感と力強さ、そしてみんなで旅をするという楽しさが味わえるのだ。
時には緊張を強いられる場面もあるし、リラックスできるシーンも出てくる。
とにかく買って損はないアルバムだ。
「OMNIBUS THREE」があるとすれば、今度はどんなジャケットになるのだろう。それも楽しみである。
個人的にはONEのCDに印刷されたボンネットバスが登場するのではないかと思っているだが....。