SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

IGOR PROCHAZKA TRIO 「Easy Route」

2008年12月16日 | Piano/keyboard

今年リリースされたこのアルバム、なかなかの評判だ。
知らないのもしゃくに障るので早速手に入れたのだが、聴いてみてすぐに見せかけだけのシロモノではないと感じた。
イゴール・プロチャツカ(読み方に自信なし)の弾くピアノはそれほど前に出てこない。
時々、印象に残るフレーズが出てくるものの、全般的に奥の方で流れるようなメロディを刻んでいる。
飛び出してくるのはクリスチャン・ペレスの強烈なベース。
もう最初から終わりまで〝ぶいぶい〟いわせている感じだ。この迫力がアルバム成功の一因である。
フェデリコ・マリーニが叩くドラムスもコントロールが効いていて実に好印象。この人〝おかず〟の入れ方が上手い。しかも気がつけばいつの間にか4ビートのリズムではなかったりする。新しい風を感じるのはこの人のせいかもしれない。
とにかく3人の若さがとびっきり新鮮なピアノトリオなのである。

しかし何といってもこのアルバムはジャケットが人を惹きつける。
場所がスペインだからこういう眩しいくらいの風景はあちこちで見られそうだが、これをそのままアルバムジャケットにしようとするところに斬新さがある。
私がこのアルバムジャケットを最初に見たときは、すぐにエルンスト・グレルムの「OMNIBUS ONE」を連想した。
そう、あの印象的なレトロバスの写真が使われた作品だ。
その時もハッとしてすぐに買い込んだが、中身の演奏もこのアルバム同様、なかなかのものだった。
やっぱり中身の善し悪しは「顔」に出るのだ。

このアルバムの特徴的なもう一つの部分は、僅か35分という全体の演奏時間の短さである。
「あれ、もう終わったの?」ってな感じだが、私はこれくらいが腹八分目でちょうどいい。
これ以上聴いていると無駄な贅肉が付くというものだ。