SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

JELLY ROLL MORTON 「Red Hot Peppers,...」

2008年12月05日 | Piano/keyboard

ライナーノーツを見ると、ジェリー・ロール・モートンは1885年生まれというから、私が知っているジャズメンの中ではスコット・ジョップリンの次に古い人だ。
しかも亡くなったのが1941年だから、それからでも既に67年の歳月が流れている。
しかしこんな前の人が残した音楽にもかかわらず、今の時代の人間が聴いても充分楽しめる。これはこの上もなくハッピーなことだ。

私が今聴いているのは1927年吹き込みの「Wolverine Blues」。
曲はもちろん彼の自作だ。
このアルバムは全23曲も納められている。そのほとんどが彼のグループであるレッド・ホット・ペッパーズの演奏で占められているのだが、この曲と「Shreveport Stomp」、「Turtle Twist」がトリオでの演奏である。
しかし今のピアノトリオとは違い、ピアノ、ドラムス、クラリネットによるトリオ演奏だ。
主役はあくまでクラリネットかもしれないが、ここでのジェリー・ロール・モートンのピアノは生き生きしている。
ラグタイムピアノの神髄ここにありき、である。
この絶妙なスイング感は、いい時のドロシー・ドネガンの演奏にも通じており実に楽しい。

ジェリー・ロール・モートンはジャズメンとして決して恵まれた人ではなかったようだ。
時は折しも世界大恐慌時代。契約していたレコード会社ともうまくいかず、結局はひとり寂しく病に倒れ亡くなったと聞く。
考えてみれば、今も世界大恐慌になりつつある世の中。
せめて彼の演奏するディキシーランド・ジャズのように、暗いもやもやをハッピーに吹き飛ばしたいものだ。