出会いは、セゾン美術館でやった柳宗理展です。
御本人が来て、講義などされていた記憶があります。
帰りしなの売店で、これを手に取って、
その持ち手の「ぴったり」した感触に、ショックを受けました。
あれからいま、何年でしょうかね。
妻が買ってくれました。
某・官公庁の食堂で使われていて、
知らずに出てきたこのカップを、
憎からずおもっていたようです。
柳ナントカは、知らず。
思い出すのは、その展覧会で、カップの持ち手の試作品が、
「切れたイカリング」のように、大量に展示されていたことです。
ぱっと目にはわからないような微妙な違いを、
けれど一個ずつ手びねりで、徹底的に検討したことを示す、証拠。
目にする機会があれば、指を入れて、持ってみてください。
その「ひたっ」とする感触に、「あっ」とおもうはずです。
さて10年越し?くらいの時を経て、使ってみた感想。
・高台が四角くて、ソーサーのうえで回らない!
・スプーンがなぞる、石目の感触のざらつき。
・まるで仏像のような、完成されたフォルムのオーラ。
といったところでしょうか。
ものすごくフツーの日用品の顔をして、
ちょっと違和感あるくらいの、存在感があります。
それは、モノとしての完成度の高さ、だと推測します。
容量はすごく少なくて、100ccちょっとでした。
ケメックスで煎れたコーヒーを、
おかわりして、ちょうどいいくらい。