あれほど言ったじゃないか!なことが1ヶ月経たぬ内に起きて
その度に私は振り回されて
ヘトヘトに疲れてしまう。
老いるというのは子供に帰ることではない。
大人のまま脳が退化していくのであって
子供のように純真だったりはしない。
とても嫌なことがたくさん起こる。
それが介護につきまとう心労になる
このまま私一人で抱えてやっていけるのだろうか?
父の入浴中に母から電話がかかる。
訳のわからないことを言っている・・・・のだが
その中に過去の真実がある。
「私の恋人が来るから」
「私は貴方を産みたいと思ったことはない」
「貴方の父親はお父さんじゃない」
「貴方なんか幸せになんかならないから」
「和子(姉)だけが望んだ子供だったのよ」
「貴方をずっと呪ってやる」
もう・・・
毎日毎日、よく色々思いついてくれるものだ。
というか、ほぼ真実で
それを脳が働く間に私に伝えたかったのかもしれないが
そんな言葉を聞いて、飲み込んだまま
彼女の介護は心境的にとても難しい。
私は心がせまいのかもしれない。
だけどどうしても許せない過去もある。
こんな気持で親の世話をしていたら
きっと、また自分を追い込んでしまう。
すでに鬱になりかけているし
音楽のこと以外、何も出来ないし
何を言われても虚ろだ。
主治医は「介護問題で治療を辞めた人は居ない!」と言ったが
おそらく、再発転移していない人の中にはたくさんいるだろう。
私は再発転移しているから、立場が違うし
今治療をやめるのは大変危険だということは判っているが
何だか長生きしなくてもいいや、と。
いや、もう少し生きてやりたい事などはあったりするけれど
そんな事がとても虚しく感じてしまう。
合法的な自殺願望なのかな?
両親はどこかで感知している。
私が過去の問題で親の介護に不安を抱いていること。
私は親を許していないこと。
それらが親子であっても許されることではなかったこと。
姉がいたら・・・
寝付きの悪い夜が増えて
姉との会話を思い出す。
喧嘩もしたし、大人になってからは「そんなの最低!」なんて
お互いを非難したこともある。
だけど、私達は親の問題で困ったときには
肩を寄せあって
「嵐はいつか過ぎるものなんだよ」と
ずっと慰め合い、支えあってきた。
小さい頃からそうだったのだ。
父はすっかり忘れているけれど
母は自分の我儘が通らないとすぐにヒステリーを起こした。
とても生みの親とは思えないような汚い言葉で罵り
傷ができるほど殴り、蹴り、叩いた。
そして、子供の行事に参加したことは殆ど無い。
私の小、中学校の入園卒園式には祖母が一緒に写っている。
姉は「玲子、ママに来てって言おうよ」と
姉からも頼んだのだが
私の行事には来なかった。
母の中には「望まない子供」の行事など忘れ去りたいことであったろう。
それでも、子だから
老いた親の面倒を見なくては、と思う。
親を思って、というよりも
他人にご迷惑がかからないように
私の代までで、こんなことは終わらせてしまいたいから。
父は私の心情を解らない。
私がどんな悲しい決意をしたのか
彼の心には届かない。
不安そうな幼い私に「大丈夫だよ」と姉が寄り添っている。
これは地獄巡りの時
姉は天国から私をどう見ているだろうか。
本当に容量の悪い子だ、と
また呆れているのかもしれない。