ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

告白 湊 かなえ

2009年05月31日 | 小説-日本-
2008年
双葉社


帯などに、読み出したら止まらないなどと書いてあった。

本当に止まらなくなった。
6章からなり事件の当事者達の視点から書かれていた。

初めは、退職する女教師の話から始まる。
それは、驚愕的な”告白”であった。
女教師の娘が担任をしているクラスの生徒2人に殺された事、
そして、その二人にささやかな復讐をしたことを告げて去っていった。

そして、その後の物語として
犯人のA及びBの同級生の女の子の視点から事件の経過が語られる。

3章は犯人Bの兄の視点から母親の日記というかたちでBのものがたりがかたられる。

4章はBの視点から

5章はAの視点とAのものがたり

6章で・・・・・

たしかに、3章まで面白いと思った、
しかし読み進めていくうちに、嫌悪感の方が勝ってくる。
最後、読み終わったときの読後感の悪さ
”本屋大賞”という言葉に踊らされた自分も悪いと反省をした。

陰摩羅鬼の瑕 京極 夏彦

2009年05月29日 | 京極 夏彦
2003年
講談社ノベルス




妖怪シリーズで期待するのは、
さまざまなところで発生する火柱が、最終的に大きな業火となり、
京極堂により鎮静化する。

今回の作品は、じつに静に始まって静に終わっていく。
白樺湖畔に聳える屋敷に住んでいる伯爵は過去4度結婚初夜に花嫁を殺されるという呪われた経験があり、
今回5度目の結婚ではもう殺されないようにするため、
榎木津と関口はその屋敷に向かう。

生命の死と肉体の死、世界の中の常識と”家”の常識
もう、前半から話が読めてとてもだるい・・・

塗仏の宴  京極 夏彦

2009年05月26日 | 京極 夏彦
1998年
講談社ノベルス
☆☆☆



こちらは、「宴の支度」と「宴の始末」の二冊からなる。
表紙は、「宴の支度」は”ぬっぺぽう”
「宴の始末」は表題の”塗仏”である。
支度は、始まりの話としてぬっぺぽうの話が、
始末ですべての謎が解けるようになっている。

とある村が忽然と消滅してしまった、
その調査をしてほしいと小説家の関口のもとに依頼がくる。
その村には、不老不死のものがあるという、
そして、関口は調査に向かう。

狂骨の夢にでてきた、朱美が沼津で首吊りをしようとした男を助ける。
この男に、新興宗教と富山の薬売りががらんでくる。

巷では、華仙姑処女という霊媒師が人気を博していた

気をあやつるという気道会という組織が華仙姑処女を追っていた。

木場はストーカー事件を追っていた

そして、関口が殺人事件の容疑者として拘束される。
ばらばらに起こる事件、一見まったく違うようで何か引っかかる、
それが、宴の支度

宴の始末で、バラバラに見えた事件がどんどん一つに繋がっていく、
長い時間をかけた壮絶な復讐劇の終焉である。

笑う警官 佐々木 譲

2009年05月25日 | 小説-日本-
2007年
ハルキ文庫
☆☆☆



おもしろい!
ジェフリー・ディーヴァーのボーンコレクターをジェットコースターと評していた本があったが、
こちらも、ジェットコースター的であった。

札幌のマンションの一室で、女性の変死体が発見される。
所轄の警官達が駆けつけるも、
女性の正体が警察本部の婦人警官であると発覚すると、
警察本部へ捜査本部が移ってしまった。
さらに、その直後この女性と交際していた警察官津久井が犯人として手配される。
しかも、射殺命令まで出たのであった。

所轄の大通署の佐伯は、この事件に違和感とさらに以前おとり捜査でコンビを組んだ津久井を救う為に秘密裏に捜査を始める。

しかし、津久井は翌日、百条委員会で道警察の裏金についての証言をすることになっていた。その証言は本部にとっては致命的なものである。

一日で、津久井の無実と射殺命令をとき無事、百条委員会へ出席させることができるのか、
裏の裏をかく、佐伯の手腕が冴える。

合併人事―二十九歳の憂鬱 江上 剛

2009年05月20日 | 小説-日本-
2008年
幻冬舎




「イラっとするから読んでみて」
と、紹介されて
そうなのかな?と、思って読みました。
「なんだこの女!バカか!」と、思った

合併で出来たメガバンクが舞台である。
旧行の派閥争いと、出世競争、パワハラ、
自殺と書くと経済小説のように聞こえるが、
これらを、不倫中の29歳総合職の女性の目から書くと、
普通に恋愛小説のようになっている。

納得ずくで不倫しているという割には求める事も多し、
総合職というわりには、バリバリ仕事している風でもなく、
その時の気分であっちについたり、こっちについたりだし、
口も軽い・・・

しかも総合職を選択した女性が29歳だからって焦るだろうか?
ただ、この主人公はすべてが中途半端だからそうかもしれないが・・
にしても、最初の沖縄旅行の話はなんだったんだろう?

昔話にはウラがある  ひろ さちや

2009年05月19日 | 小説-日本-
2000年
新潮文庫
☆☆



ひろ さちやの作品で「仏教とっておきの話366」を読んだ。
法話のようなちょっと心豊かになるようなお話を一日一話みたいな本だった。
今回も、そんな感じかと思ったら・・・・
ものすごい下ネタだった。

たしかに、シンデレラ・浦島太郎・一寸法師などなどそんな話を聞いた事はあったが、
紹介されている話が、殆ど下ネタである。
しかし、それなりに、納得せざる得ない解釈がされているので、
なかなかに面白い。
しかし、電車の中などで読んでしまうと、
顔がニヤけるので部屋でひっそり読むのがオススメである。

しかし、下ネタでない話に、
「兎と亀」があって、いろいろな国の解釈と話(国によって若干話が違う)が
紹介されていた。
日本は「がんばれ!まけるな!」という
しかし、イランでは「競争してはいけない」という
そして、インドでは「亀が意地悪だ」とう
このインドの意地悪というところは、
兎が寝ているところを黙って通過したことに所以する。
もし、兎がただ寝ているのではなく、具合が悪かったのかもしれないのに
そのまま通過したことに落ち度があるという。

なるほど・・・と、思った。
私は、子供の頃
兎は亀を馬鹿にして、怠けたから負けたのだ。
亀の様に勤勉であれ!と教えられた。

まさに、目から鱗でした。

リセット 北村 薫

2009年05月18日 | 小説-日本-
2003年
新潮文庫
☆☆



普段、ミステリやホラーを中心に読んでいる。

読み始めて、どういう話なのか分からなかった。
戦時中の少女真澄の目線で物語が進んでいく。
真澄が通っていたのは、比較的裕福な少女達があつまった女学校である。
友人の家に遊びに行った時に出会った修一という少年に淡い恋心を抱くのだが、
時は戦時中である。
爆撃によって、修一は命を落としてしまう。

真澄は年齢を重ねていたある日、
和彦という少年に出会う。

真澄と修一の魂は、時を経て転生しめぐり合っていくという
ほろ苦くも美しい話であった。

絡新婦の理 京極 夏彦

2009年05月14日 | 京極 夏彦
1996年
講談社ノベルス
☆☆☆



これはすごかった。

刑事の木場は目潰し魔事件を追っていた。
一人目は妙子という犯人の近所に住んでいた娘。
二人目は川野弓栄という水商売の女。
三人目は山本純子という女学校の教師。
四人目は前島八千代とう大店の女将。
共通点は”女”とうことである。

名門の基督系女学校では、
ひそかに黒魔術が流行していた。
そして、黒い聖母が呪った相手を消してくれるという。

同じような”形”をした事件が別方向から起こり、
その中央には絡新婦がいる。

最初は、バラバラでどうなるのかと思ったが、
最終的には絡新婦(じょろうぐも)の糸の中であった。

鉄鼠の檻 京極 夏彦

2009年05月13日 | 京極 夏彦
1996年
講談社ノベルス
☆☆



箱根の老舗旅館では骨董屋の今川が取引相手を待っていたが、
5日たっても待ち人はこない。
この旅館には1作目で出てきた久遠寺家の当主であった善親も滞在していた。

雑誌記者の鳥口は京極堂の妹である敦子とともに、
箱根山中にある寺に行くところであった。
ところが旅館で今川、久遠寺とともに、旅館の庭で僧侶の遺体を発見する。
しかも、忽然とあらわれたのだ。

そして、山中の禅寺で次々と事件が起きる。

「禅問答」と「悟り」
この二つが最大のキーワードであるが、
分かりにくい題材を見事に語ってあった。


南総里見八犬伝 (著), 浜 たかや (著), 山本 タカト (イラスト)

2009年05月12日 | 歴史・時代物
2002年
偕成社
☆☆



先ず、このシリーズはことに親切な本である。
余白には、そのページにでてくる主要人物のイラストが描かれて、
誰が誰だかわかるようになっている。
このような、登場人物の多い作品はとても便利である。

子供の頃読んだ記憶があるが、その頃も勧善懲悪の活劇物ということで
大変面白く読んだ記憶がるのだが、
今、改めて読むと子供の頃思った以上に面白い、
このシリーズは全4巻だが、全部そろえて置かないと、面白くて途中で止められなくなる。
出身地の関係もあると思うのだが、子供の頃は大名だとか城だとか理解が出来なかった。
だから、家が断絶してその恨みを晴らすとか、意味が分からなかったのだ。
しかし、今ならさすがに地理的なこと歴史的なこと、”武士”というものが
わかるようになったので、面白さが増してきた。

内容は、玉梓という稀代の妖婦の呪いを里見家はうけ、
里見家の伏姫が八つの黒あざのある妖犬「八房」とともに、富山にはいる。
八房は伏姫のあげる経により、浄化され
伏姫と共に死んでいく、その際、伏姫の持っていた数珠のうち、
大玉8個が四方に散っていった。
その大玉には仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌とう文字が浮かんでいた。

そして、それぞれの玉を持った者達が紆余曲折の末、
里見家に集結し、里見家を救うという話であるが
本当は、この”紆余曲折”の部分が非常に面白い。

今回は、かなり要約されているので次回はまた違う出版社の物を読んでみよう。

ランキングに参加しました

人気ブログランキングへ