ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

極北からの声―フルメタル・パニック!サイドアームズ〈2〉賀東 招二

2011年02月26日 | 賀東 招二
2006年
富士見ファンタジア文庫



サイドアームズということで、
主人公は普段、脇を固める方がたがメインの語り手となる。

ミスリルの少佐、カリーニンがソ連軍にいた頃のはなしである。
北極海に日本の旅客機が墜落した。
カリーニンが乗った軍艦が到着した時は、旅客機はかろうじて氷上にあり、
捜索をすると、一人の女性と幼い子供が生存していた。
しかし、子供を救出したが女性は亡くなった。
帰還したが、旅客機は闇に付され、救出した子供の行方も分からなくなる。
数年後、あの少年が軍によってスパイとして育てられていたことがわかった。
その少年が、宗介である。
宗介の過去と、カリーニンの過去がわかる
「極北からの声」

ミスリルの中佐、マデューカスがイギリス海軍にいた頃の話で
テッサの父親であるカールとの出会い、
そして、カールの双子の子供たちの異常な能力の話を聞く、
その双子の能力のせいで両親は殺され、双子の行方が分からなくなるが・・
マデューカスとテッサの出会いが書かれた
「トゥアハー・デ・ダナン号の誕生」

2作品は、かなりシリアスでこの当時の世界紛争地図がわかる。

最後の作品は、いつものドタバタ
恭子が飼い始めた猫の自慢をする、そしてかなめも飼っているハムスターの自慢をする。
すると、宗介までが白猫を飼いだしたと自慢をするので
恭子とハムスターが見に行くと・・・
の「大食らいのコムラード」

本編とはちょっと違って面白い。

フルメタル・パニック! 燃えるワン・マン・フォース 賀東 招二

2011年02月25日 | 賀東 招二
2006年
富士見ファンタジア文庫



全てを無くした宗介は、東南アジアのとある町へやって来た。
その町では、ASでの闘技会が行われていた。
宗介はナミという少女率いる弱小チームの操縦士となり、
そのチームにはレモンというジャーナリストがスポンサーとして参加していた。

ある日、宗介とレモンが市場に出かけたところを、
警察に拘束される。
しかし、この警察はアマルガムにつながっているようだった。
そこで、宗介は闇闘技会への出場することで釈放してもらい、
闘技会場へ向かう、
すると、相手はM9、ミスリルのASだった。

闇闘技会で勝利をした宗介は、この闘技会の裏にクラマが絡んでいることに気付く、
そして、ここでの生活も終焉を迎える。

この先、アマルガムまでたどり着いてかなめを救うことができるのか、
ミスリルの人たちはどうなってしまったのか、
ハラハラの展開である。

フルメタル・パニック! 悩んでられない八方塞がり? 賀東 招二

2011年02月24日 | 賀東 招二
2005年
富士見ファンタジア文庫



風間がネトゲの仲間をヴァーチャル世界で連れ去られてしまう。
しかも、連れ去ったのはその世界では有名なキャラであるため、
風間一人では歯が立たない。
そこで、かなめや宗介たちに援助を頼むが・・・
RPG仕立てのファンタジーモノでこういう息抜きも面白いかも・・・の
「約束のバーチャル」

廃工場でドラマのロケ中の吉良浩介の前に現れたのは
サブマシンガンの試射に来た宗介だった。
アイドルとして忙しい日々を送る浩介にとって、
自分にそっくりな宗介を見て考えたことは・・
入れ替わってみて、どんなに忙しくても浩介は浩介でいいと痛切に思った
「影武者のショウビス」

学園祭の出し物、かなめたち4組は喫茶店、しかし6組の喫茶店は人気があり
すっかり負けムード、そんな時に宗介が呼んだ”知り合い”のために・・・の
「対立のフェスティバル」

学園祭ではミスコンが行われることになった。
ミスコンに出る気が無いかなめに対し、依然いざこざがあった未亜が宣戦布告してきて・・
「愛憎のフェスティバル」

長編はかなりシリアスモードで、
かなめは奪われるし、ミスリルは壊滅するしで息の詰まる展開のなかで、
短編のドタバタはちょっとした息抜きになって楽しい。



フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人 佐藤 友哉

2011年02月22日 | 小説-日本-
2001年
講談社ノベルス



狂っているから、壊れているからを前提に持ってきて、
何でもアリというのは
大嫌いだ!!

読み始めて、「ああ・・イヤだ!読みたくない、買っちゃってもったいないから我慢しよう」
と、思う本である。
そして、読後嫌~な気持ちになった本で「告白」があるが、
あれは、狂っていても共感はできなくても納得するところがある。
しかし、この本は読中・読後嫌な気分になり、早く終了させたいと思った。
しかし、幸いなことに難しいことばも内容もないため、あっさり読めたのはありがたい。

この本を読んでみようと思ったきっかけは、以前、読んだ
QED 鏡家の薬屋探偵 メフィスト賞トリビュート

↑この本を読んで興味を持ったからだ
この鏡家をイメージして小説を書いた竹本健治氏には脱帽だ!
すっかりだまされてしまった。

にしても、メフィスト賞の当たり外れは激しい。
蘇部健一 - 『六枚のとんかつ』
高田崇史 - 『QED 百人一首の呪』は好きであるが、
ここには書かないが、メフィスト賞作家で大嫌いな作家が結構いる。

前置きは、ここまでで

内容は、妹とレイプした犯人に復讐を考える。
そして、犯人の娘たちを監禁して・・という話である。

それだけだ。

鷺と雪 北村 薫

2011年02月18日 | 小説-日本-
2009年
文藝春秋
☆☆

面白い本は読んでいるときは楽しくて良いが、
読み終わるのが早くてさみしい気もする。

花村家のお嬢様、英子とそのお抱え運転手、別宮(ベッキー)さんの謎解きシリーズである。

仲良くしていただいている、侯爵家のお嬢様の親戚にあたる男爵さまを
英子の兄が社会見学と称した、浅草の裏道散策をした際に見かけたということだった。
しかも、路上生活者となっていたということで、他人の空似であろうと兄妹で話していたのだが・・・・
男爵様の失踪事件の謎を解き、人それぞれの”価値観”を考えることになる。

そして、兄とともに本屋へ行った時に、
以前、一度だけ話を交わしたことのある陸軍少尉の若月とばったり出会う。
詩集の話になり、山村暮鳥の本を若月から送ってもらう約束をする。

数日後、本が送られてきて見ていると
冒頭の詩に目がとまる

囈語

竊盗金魚
強盗喇叭
恐喝胡弓
賭博ねこ
詐欺更紗
涜職天鷲絨
姦淫林檎
傷害雲雀
殺人ちゆりつぷ
堕胎陰影
騒擾ゆき





”騒擾ゆき”この言葉に何かを予感させる

「不在の父」


英子は伯父夫婦のお知り合いの子息が夜遅くに上野で補導された。
育ちの良い少年で悪い仲間とつるんで・・・ということはないようだ。
受験を前にどうしたものか・・という話を聞いた英子はベッキーさんとともに
その謎を解く。
この当時、流行ったらしい迷信が面白い。
銀座のライオン・上野のライオン・浅草のライオン

ちょっとかわいいオチの
「獅子と地下鉄」

兄とドッペルゲンガーの話をしていた矢先、
千枝子さんのカメラに写ってはいけないものが写っていた。
台湾に行っているはずのいいなずけが銀座での写真に写っていたのだ。
その謎を、英子とベッキーさんが解く、

「獅子と地下鉄」で話がでた叔父夫婦と能を見に行くことになった。
演目『鷺』のシテは面をかぶらないといわれているのに、この日のシテは面をかぶっていた。
ただ、そのため印象にのこることになる。


その日は、雪で英子も体調が悪く休んでいた。
夢に例の『鷺』の場面が出てきて、面をはずすとそれは若月の顔であった。
そんな夢を見て目をさますと
その若月から本が送られてきた。
処分をしなくてはならないため、受け取ってほしいと手紙が添えられていた。

英子はお礼に何かを送りたいと考え、
ふと、時計店に電話をしてみることにした
ところが、その電話に出たのは陸軍少尉の若月であった。
短い言葉を交わして、電話を切った後
もういちど、時計店に電話をする。
今度は、時計店の店主が電話口にでる。
英子は、時計店と間違えてしまう番号を持った場所はどこかと聞いてみると、
店主は「番号が似ていると、よく言われますのは 首相官邸でございます」と答えた。

その日は、昭和十一年二月二十六日だった。


北村薫さんの文章は、とても優しくて好きである。



つづくオン・マイ・オウン―フルメタル・パニック! 賀東 招二

2011年02月16日 | 賀東 招二
2004年
富士見ファンタジア文庫



長編シリーズの7巻目となる。

話が急展開となる、
アマルガムがミスリルを総攻撃してきた。

メリダ島も壊滅状態に追い込まれ、
残ったメンバーはかろうじてTDD-1で脱出する。

アマルガムにより陣代高校に爆弾が設置される。
かなめの身柄と引き換えに、攻撃を中止するというものだったが、
宗介がとった行動は、
かなめも高校も守るというものだった
しかし、そこにレナードが操作するAS、ベリアルがあらわれて

かなめを奪われ、ミスリルとの連絡も途絶える、
そして、日常がすべて奪われてしまった。

軽い気持ちで読み始めたこのシリーズも
気付けば13冊・・・

長編シリーズの中でも、ひときわシリアス度の高い一冊となった。
このあとどうなるんでしょう・・・

盗聴 二・二六事件 中田 整一

2011年02月14日 | 歴史・時代物
2010年
文春文庫
☆☆

NHK総合のドキュメンタリー「戒厳指令『交信ヲ傍受セヨ』」を制作するに至った過程と、
その放送による反響、著者によるその後の調査をまとめたノンフィクションである。

NHKのライブラリーから二十枚の録音盤を発見したことから始まる。
レコードが入っている箱には二・二六事件資料と書かれ、
レコードの中には「2/29北→安藤」と書かれた一枚がありそこから調査がはじまる。

二・二六事件の関係者たちの電話が傍受され、録音盤に録音されているという内容の番組を放映後、
”盗聴”をしていたのは自分であると名乗り出た人物がいた。
彼は、傍受を命令されたことにより人生を狂わされた一人だった。

著者は「2/29北→安藤」と書かれたレコード盤への疑問、
ニュアンスの違う複数の「陸軍大臣告示」について掘り下げてある。

レコード盤に至っては、二月二十九日には北一輝はすでに獄中におり、
北を名乗る何者かが、北を事件の首魁として事件収拾を図るための資料として
つくられた(傍受させた)ものではないかと、著者なりの北を名乗った人物の答えが出されている。

「陸軍大臣告示」は「真意」と「行動」の違いにより、
青年将校らの行動に同調した形になったり、否定になったりと軍部の混乱も垣間見れる。

主要要人を殺害して、都合の良い人材を後釜に据えるというやり方に同調はできないが、
地方の貧困、中央の腐敗を暴露し昭和維新を目指した純粋な気持ちは感じ取りたい。
しかし、この事件により、より軍部の暴走がはじまり太平洋戦争へ突き進む要因の一つになってしまったことも、覚えておかなくてはいけないと思う。

音程は哀しく、射程は遠く―フルメタル・パニック!サイドアームズ  賀東 招二

2011年02月04日 | 賀東 招二
2004年
富士見ファンタジア文庫



サイドアームズということで、今回はクルツが主人公となっている。

休暇で東京にやって来たクルツが宗介をさそって
やきとりやで一杯やっていた。
クルツがタバコを買いにでたところで、
中学の頃の副担任の先生と再会する。

先生と話をしているうちに、
自分が音楽をやっていたころを思い出し
本当なら、この手に持っているのはライフルではないギターだったのではないかと
もしかすると、まだ自分は戻れるかもしれないと
知り合いのライブハウスを借りて
先生と自分のために一世一代のライブを企画したのだが・・・

クルツの過去がちょっとだけ垣間見えて
いつもと違う彼の姿が読めて面白かった。

安心できない七つ道具?―フルメタル・パニック! 賀東 招二

2011年02月03日 | 賀東 招二
2003年
富士見ファンタジア文庫



都議会議員が学校の視察にやってくることになった。
平和な日常になれずにいる宗介がいると、なにか問題が起きるといけいないということで、
あれやこれやの作戦の末、ミッションをあたえて学校から遠ざけることに成功するが・・
の「穴だらけのコンシール」

以前、強盗が盗んだ品物を陣代高校の敷地内に埋めていた。
出所した、かれらがその品を掘り返しに来たのだが
その夜、宗介たちは用務員室で用務員の大貫をかこんで鍋をしていた。
鍋に入れる肉が無くなり買い出しに行くのだが・・・・
の「真夜中のレイダース」

など全6編
シリアスな長編の合間の息抜き的な短編集だが、
なんとなくパワーダウンしているような気がする。

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