ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

逆転の古代史! 関 裕二

2010年04月29日 | 歴史・時代物
2009年
廣済堂文庫
☆☆



親切設計で楽しめる本である。

古代史の中の7つの事件にスポットをあてているのだが、
まず、事件についての通説及び作者の私見などで説明をした後
事件の小説が書かれている。
ワイドショーなどで、
事件の概要を説明した後、再現フィルムを流すみたいな感じである。

内容は
1.解き明かされた邪馬台国の真実
2.ヤマト朝廷誕生の謎
3.闇に葬られた蘇我入鹿暗殺の真実
4.白村江の戦い なぜ日本は暴走したのか
5.壬申の乱 世紀の大逆転はなぜ起こったか
6.聖武天皇の豹変 知られざる帝の素顔
7.怪僧道鏡の暗躍と称徳天皇ご乱心の謎

「幕末の志士」がよくわかる本  山村 竜也 (監修)

2010年04月28日 | 小説-日本-
2008年
PHP文庫
☆☆

幕末志士の紹介本である。
結構な人数が紹介されていて、
主要な人物なら3~4ページ、
結構重要な人物なら2ページくらいといった感じである。

丁度、大河ドラマで龍馬伝を放送しているので、
出てくる人物などをちょっと調べるなら丁度よい。

幕末が舞台の本を読むときなども重宝しそうである。


「幕末の志士」がよくわかる本 (PHP文庫)

新世界 柳 広司

2010年04月24日 | 小説-日本-
2006年
角川文庫
☆☆☆

読み始めて、しばらくはちょっと混乱した。
後半にいくにつれ、混乱した幾つかの話が繋がっていき、
うまいな~と、思った。

戦中・戦後のロスアラモスが舞台である。
ロルアラモスには、優秀な科学者達が集まり、
研究施設というよりも、一つの町となっていた。
そこで行われていたのは、”原爆”の研究・製造であった。

原爆の父とよばれたロバート・オッペンハイマーの友人イザドラの視点で物語りは進んでいく。
あくまでも、ロスアラモスが舞台で原爆を使用した”側”から描いている様で、
実際は”ヒロシマ”からの視点にみえる。
原爆投下は必然であった。と、言われるが
それは、本当だろうか?
それで、納得できるのだろうか?

苦悶する科学者の姿を描くことによって
”ヒロシマ”の無念が表現されていた。




新世界 (角川文庫)

カンナ 戸隠の殺皆 高田 崇史

2010年04月19日 | 高田 崇史
2010年
講談社ノベルス



盗まれた出賀茂神社の社伝「蘇我大臣馬子傳暦」をめぐる謎を解くシリーズである。

今回は、長野 戸隠にある隠岩戸宮を訪れたところ、
宮司の殺害現場に行き当たる。
「傳暦」をめぐる、組織間の対立に、
天照大神の天の岩戸伝説、戸隠に伝わる鬼女「紅葉」そして、九頭龍神の
謎が一つに繋がる。

QEDシリーズに比べて、歴史ミステリ部分が弱く、
現在の忍者の話がメインとなっているので、なんとなく物足りないが
毎回、今度こそは!と、思って読んでしまう・・・



カンナ 戸隠の殺皆 (講談社ノベルス)

日本史の叛逆者―私説・壬申の乱 井沢 元彦

2010年04月14日 | 歴史・時代物
1997年
角川文庫


壬申の乱とサブタイトルにあるが、
壬申の乱が起こるにいたる過程、
中大兄皇子と大海人皇子の確執にさかのぼる。

この本では、大海人皇子の父親が異国の王族であることで、
王家の中で、孤立した存在で中大兄皇子は毛嫌いし兄弟と認めない

基本的なスタンスとして、
この本では、大海人皇子=善 中大兄皇子=悪 のような感じ。
ただし、ここでは、蘇我入鹿を”悪”とみなしている。
中大兄皇子は人臣の信頼を得ていないというのは、
どの本を見てもそう考えられている。
新羅が力をつけ唐との関係も微妙になるが、
愚帝である天智には先が見えない、そこで天智を廃し
その為、その息子である大友皇子を廃さないといけない。
というのが、大筋である。

しかし、ここで額田王の話が出てくるのだが、
ぶーくんは井上靖の額田女王が好きなので、
この本での額田王はすごく嫌な女として描かれているのが気になった。

なかなか読みやすいとは思うが、
蘇我氏、額田王の扱いがひどいので、あまり好きではない。


日本史の叛逆者―私説・壬申の乱 (角川文庫)

額田女王 (新潮文庫)

聖徳太子の秘密 「聖者伝説」に隠された実像に迫る 関 裕二

2010年04月11日 | 歴史・時代物
2005年
PHP文庫

聖徳太子についての謎を考査するという本である。
聖徳太子は聖人として扱われているにも、
かかわらず後世に聖徳太子の末裔を騙る者がいない、
(ハクを付けるために○○のご落胤というのが流行った時代があったときにも聖徳太子のご落胤は現れなかった)

そもそも聖徳太子は実在した”人間”だったのか?
が、主軸である。

上宮王家を滅亡に追いやったといわれる蘇我入鹿は本当は悪人だったのか?

以前読んだ、本でも、
中大兄皇子の正当性を出す為に、蘇我一族を”悪”とせねばならなかった
実は、蘇我一族を聖徳太子とう人格を付けた、と、いったような本だった。

今回も、聖徳太子は居たのか、そもそも山背大兄皇子も実在したのかという疑問

途中、長屋王をこじつけてくるあたりで、
ちょっと鬱陶しい感じとなった。

疑問はたくさんあるけど、結論は無い。
考古学なのだから仕方が無いが、
文の初めに、聖徳太子は歴史家のなかでは禁忌のワードである。
それについての考査であるような書き出しであった、
こじつけの感が否めない。

ただ、こういう考え方もあるよ。
と、思えば面白い。


五郎治殿御始末 浅田次郎

2010年04月05日 | 小説-日本-
2006年
中公文庫
☆☆



維新後の武士たちの6編である。

武士であったことを隠して商人となった男が、
一人の丁稚をつれて旅をする。
旅先で、追いはぎに遭うも男の剣術により救われる。
そこで丁稚の新太は、男がこのたびに自分を連れてきたことに
何かがあると感じるが・・・
そして、たどり着いた場所は・・・
切ない気持ちになる
「椿寺まで」


維新後、官員として職を得た男の元に
警察官の男が尋ねてくる。
警察官であるので、士族出身であるが、生活に苦しみ
五稜郭での戦いの際、官員の男の命をとる代わりに
一千両の証文を受け取っていた、
そこで、その証文どおり代金を受け取りに来たのだ。
しかし、官員がとった行動は・・
士族出身でありながら、さまざまな立場にいる男達の話の
「箱館証文」


幕府の天文方に出仕していたが、維新によりかろうじて
文部省の天文局の待命を受ける事ができたが
5年の待命のため、妻子を養う事はできず実家に厄介になっていた。
ところが、暦が和暦から太陽暦に変わる事が決まって・・
新しい時代に翻弄される
「西を向く侍」


西洋時計についてのちょっとこっけいでやっぱり切ない
「遠い砲音」


井伊直弼の近習だった男は、桜田門の変以来
仇討ちの為に生きてきた、
自害した父母の為そうしなければ侍として生きていけないからだ
ところが維新によって時代が変わってしまっても
おとこは、事件以来ずっと時が止まってしまっていた。
「石榴坂の仇討」


表題となっている
「五郎治殿御始末」は、
おじいちゃんが、託してくれた話を自分の孫に伝えるという話。
尽くすべき幕府が倒れ、その後始末をした祖父が最後自分の始末を見事にしてのけた、
しかし、孫には新しい時代を行き抜いて欲しいという願い。

6編すべてが、切なくなる話だった。

五郎治殿御始末 (中公文庫)

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