ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

警察庁から来た男 佐々木 譲

2009年08月30日 | 小説-日本-
2008年
ハルキ文庫 
☆☆☆


「笑う警官」の続編である。

薄野でのぼったくりバーで事故が起こる、
しかしこの”事故”で死んだ男の父親が再捜査を願い出るが
この父親が宿泊しているホテルに何者かが侵入した。
担当したのが、前回「笑う警官」で活躍した佐伯刑事である。
佐伯刑事は、前回の事件で閑職においやられていた。

人身売買で売られてきたタイ人女性とその女性を助ける為に動いているNPO団体の女性が交番に助けを求めた。
ところが、その交番が連絡をしたのは
人身売買をしていた暴力団だった。
つれさられたタイ人女性が、再度逃亡して大使館に駆け込み
事の次第が明るみになり、その事実が海外で問題になった。
そこで、警察庁から特別監察が入る、
そこに捜査協力者として、「笑う警官」で証言をした津久井刑事が呼ばれた。
津久井刑事は、警察学校で用務員のような仕事をさせられていた。

捜査が進むにつれ、ぼったくりバーの事件と人身売買の事件がかさなっていき、
「笑う警官」のなかでふれていた、
佐伯刑事と津久井刑事が以前行ったおとり捜査の真相にいきあたる。

相変わらず面白いし、機械類がまったくダメなアナログな佐伯刑事がかっこいい。

警察庁から来た男 (ハルキ文庫)

蒲公英草紙―常野物語 恩田 陸

2009年08月27日 | 恩田 陸
2008年
集英社文庫
☆☆☆



常野物語シリーズである。
今回の舞台はにゅうせんちゅうりい(二十世紀)を迎えたばかりの農村地。
その農村の中心的な一家である槙村家と槙村家にかかわる人々を
峰子という人物の視点から書かれて行く。

峰子は体が弱く屋敷での安静を強いられている槙村家の末娘の聡子の話し相手としてお屋敷にいくことになる。

そこには、槙村家にやっかいになっている不思議な人々(画家や研究家)とのかかわりや、
槙村家の次男の少年に意地悪をされる話など、
なんだかほほえましい物語が続いていく。

しかし、物語が進むにつれ
成長と時代の流れ、別れ
最後は、なんだか涙が出てしまった。

蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)

押入れのちよ  荻原 浩

2009年08月16日 | 小説-日本-
2008年
新潮文庫
☆☆



ちょっと怖い短編集である。

表題の「押入れのちよ」は、
激安賃貸でのお約束、押入れに”ちよ”がいます。
初めは、おどろいて不動産屋に文句を言ったが、
一緒に住んでみると案外悪くない。
ところが、不動産屋がお払いをすると言い出して
ちょとおかしくて、切ない話でもあるが
それ以上にオチが、
「そっちですか!」と、なる。

この中で好きだったのは
「しんちゃんの自転車」である。
しんちゃんが夜中に遊びの誘いに来た。
先日、二人がおぼれた沼に行こうということだった。
とある川をしんちゃんは渡ったが、
"私”はどうするか迷った。
しんちゃんは、呼ぼうと思ったが、呼ぶのを止めたと言う。

自分だけ三途の川を渡ってしまい、目の前に友達がいる。
自分なら寂しくて友達を呼び寄せてしまうかもしれない。
とても切なく、やさしい物語だった。

押入れのちよ (新潮文庫)

暗闇神事 猿神の舞い 朱雀十五シリーズ  藤木 稟

2009年08月13日 | 藤木 稟
2005年
トクマ・ノベルズ
☆☆

朱雀十五シリーズである。
今回は、昭和13年、死体から臓器をとりだすという連続猟奇殺害事件が発生する。
浅草では、人気の歌舞伎一座の猿田屋で襲名の儀式中に一座の一人が殺害される。
猿田屋は、猿田彦を起源として「ミハシラツキ」というものを祀っている。
連続殺人事件と、猿田屋の秘密を朱雀が暴いていくのだが、
このシリーズの時代背景、戦争の臭いがし始めるきな臭さとどろどろとした雰囲気がちょっと癖になる。

暗闇神事 猿神の舞い 朱雀十五シリーズ (トクマ・ノベルズ)

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