ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本  クリエイティブ・スイート

2009年09月29日 | 小説-日本-
2008年
PHP文庫


「聖人」「魔人」とあるが、
基本的に「聖人」は宗教がらみがほとんどで
開祖・預言者などおなじみのメンバーである。
どちらかというと、もう「いまさら」的なかんじである。

「魔人」の分類は
独裁者、錬金術師、陰陽師など
「魔人」の定義が今一分かりづらい。
たとえば、菅原道真が入っていたり、こちらは魔人というより怨霊ですが・・
ポル・ポトやヒトラー、スターリンもこちらの分類で(もちろん聖人ではないとおもうが)
徐福も「魔人」でした。

聖人・魔人にこだわらず単なる人物辞典として捕らえておいた方がいいかも知れない。


世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本 (PHP文庫)

新選組血風録 司馬 遼太郎

2009年09月28日 | 歴史・時代物
1996年
中公文庫
☆☆☆



会津贔屓であるが、それほど新撰組が好きなわけではない。
どうしても、粛清が多すぎて血なまぐさすぎる。

この本は、短編集となっていてさまざまな隊士のエピソードが描かれている。
さすが司馬遼太郎としかいえないくらい、
それぞれの人物の魅力が引き出されていて、
やはり粛清の話が多いがそれでも楽しめる。

もともと、中国史的な本が苦手であったが、
司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読んですっかり中国歴史モノが好きになったくらい
司馬遼太郎の文章は面白い。

そして、新撰組であるが
どうしても近藤勇という人が好きになれない。
なんとなく、三国志の劉備を思い起こすような人物としてしか捕らえる事ができないからだ。
この本を読んでも、多分土方歳三という人がいなければ
これほど名前を残す事が出来なかったんじゃないかとおもう。

新撰組が好きではないといっても、
斉藤一は好きな人である。
斉藤一の話も出てきてそれも面白いが、
やはり沖田総司が出てくるものはなんだかほほえましくて好きである。
ただ、沖田総司が明るい性格で・・・と、書かれていても
最後を知っているだけに、なんだかほろ苦い気持ちにもなる。

全体的に、隊士の魅力がでていて面白い。

新選組血風録 (中公文庫)

愚行録 貫井 徳郎

2009年09月20日 | 小説-日本-
2009年
創元推理文庫
☆☆



「慟哭」を読んでいなければ、
この作品はすごく面白いと思った。
「慟哭」のインパクトがすごくて、ついそれ以上の作品であることを想像してよんでしまう。
実際、この「愚行録」は面白い、しかし「慟哭」の方が倍面白い。

この作品は、「慟哭」に近い書き方である。

一ページ目にいきなり事件の記事が書かれている。
そして、それ以降は、ある一家惨殺事件について、
ルポライターである男が、その一家にまつわる人々に取材にいき証言を得るという形で話は、進む。
さらに、その証言の合間に、女性の独白が挟まれる。

パズルを買ってきて、テーブルにピースをぶちまけたような感じである。

一家惨殺の証言は、
先ずは近所の女性から。
話し好きのおばちゃんが語る、うらやましい一家のはなしから、
その家の奥さんと知り合いになった女性の話で、
なんとなく奥さんの人柄が垣間見える。
次に、旦那さんの同僚の話で、旦那さんの人柄が

奥さんの大学時代の証言をする女性の話からすこしずつひずみがでてくる。
この女性は、さりげなく被害者の奥さんの悪口をいいながらも、
自分はなんとも思ってない、と、読んでいる側からすると
被害者の奥さんよりも、この女性の控えめな言い方にかかわらず嫌悪感を感じる。

旦那さんの大学時代の話となると、
旦那さんも証言している女性もどちらにも嫌悪感を抱く。

そして、この題名の「愚行録」
とは、惨殺された夫婦にもあてはまるが、
証言者たちの証言そのものも”愚行録”なのだ。

しかし、最後まで読んでそして1ページに戻ると
「そういうことか」と、なる。

愚行録 (創元推理文庫)

陰陽師 鬼一法眼〈2〉朝幕攻防篇  藤木 稟

2009年09月12日 | 藤木 稟
2003年
光文社文庫
☆☆



陰陽師「鬼一法眼」シリーズの第二巻である。
陰陽師といえば、安倍晴明が有名でなんとなく華やかなイメージがある。

しかし、京の晴明に対してこちらは鎌倉である。
やや辛気臭い。

鬼一法眼とは通り名で、名前は賀茂龍水
晴明の師匠である賀茂忠行の流れである。

源頼朝が治める鎌倉が舞台であるので、
後白河と義経が手を組んで、源氏潰しを図る。
頼朝は、娘を入内させて京へのパイプをつなごうと画策するが、
妻政子が反対する。
北条・比企の対立に怨霊達も加勢する。

今回は、御霊神社の鎌倉権五郎もでてきて、
ある意味、京よりは鎌倉の方が土地感がある分面白い。

陰陽師ものでも、華やかな感じはなく若干どろどろした感じだが、
ぶーくんは好きである。

陰陽師 鬼一法眼〈2〉朝幕攻防篇 (光文社文庫)

メリーゴーランド 荻原 浩

2009年09月07日 | 小説-日本-
2006年
新潮文庫
☆☆



本を購入する時は、カバーの紹介文を読んで購入する事がある。
この本もそうだった。

さて、読もうと思ったときに気づいた。
荻原 浩って、そういえば「押入れのちよ」の人か・・・
そして、さらに気づいた「噂」もそうだったか!!
まったく気づかなかった。
「押入れのちよ」はホラーだった。
「噂」はミステリで
「メリーゴーランド」はあきらかにそれらとはイメージが違ったので気づかなかった。

遠野が家電メーカーからUターンで再就職したのは市役所。
そして、この町には第3セクターでつくられた「駒谷アテネ村」なるものがあり、
その経営たるは悲惨である。
その「駒谷アテネ村」の推進室へ移動となる。
アテネ村でのお祭りのイベントを任されるところから、
市役所での「これでいいか」的な考えが変わっていく。

第3セクターの負の遺産というテーマが、するどいと思った。
一時期、日本中にできたわけのわからない海外物の”村”
客の為の施設ではなく、公共事業をする為の関係者の為の施設がものすごくたくさん作られた。
だいたい10年はもたずどんどん潰れているのが実情だ。

この作品でも、予算を使うために作ったアテネ村を
批判から逃れる為に設立した推進室を中心に町の有力者との癒着や市長選などから
遠野の無力さが描かれて、面白いがちょっと切ない。


メリーゴーランド (新潮文庫)

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