ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

蛟堂報復録 鈴木 麻純

2012年04月29日 | 小説-日本-
2009年
アルファポリス




漢方薬兼雑貨屋の「蛟堂」は、裏稼業として
多額の報酬と引き換えに、報復をするというもの。

3つの話が収納されていて
一つ目は
結婚詐欺に引っかかった女が、報復を依頼する「清姫」
ネタバレありです

蛟堂の報復方法は、物語を使用しての報復となる。
今回は、詐欺師が本の世界に入り込み、蛇と化した清姫に追われて・・
と、なっているが

どうも、私にはピンとこなかった
安珍清姫は、美しい僧侶の安珍に一目ぼれした清姫が、夜這いをかけるも
あっさり、断られる。
で、ものすごく落ち込んでいる清姫がかわいそうになり、
熊野へ参拝が終わったら、奥さんにしますよと、嘘をうついて
熊野の参拝のあと、さっさと奥州に向けて帰ってしまう。
それに気づいた、清姫がだまされたと怒り、
安珍を追いかけるうちに蛇に姿を替え、火を噴きながら追いかける
安珍は道成寺の梵鐘に隠れるが、
清姫に焼き殺されるという、壮絶な物語だ。

この場合、安珍はまじめな僧侶で女犯を犯すことはできないと言って
清姫を拒絶しているわけで、ある意味”正しい”人に思えるのですよ。
むしろ、清姫の方が、猛烈で猟奇的なストーカーですよ。

なので、今回の詐欺師=安珍としてとらえているところがしっくりこなかった。

考えようによっては、
一目ぼれさせるほどのイケメンなら、他にもいい寄る女性がいたかもしれない。
もしかすると、旅費詐欺みたいな感じで、帰りには必ず結婚するから旅費を出して
とでも、言ってたのだろうかと裏読みしてしまった。

そして、その話を他の人にしてみたら、
安珍はむしろあっちの趣味があるから、女性を拒絶したんじゃないの?
と、いう答えを頂いて、ある意味 目からうろこでした・・


不良少年に報復をする妹の話「ピノッキオ」
これも、若干、ズレを感じた。
他の話があったんではないかと・・・
いたずらっこで怠け者のピノッキオ
不良少年をこのピノッキオに閉じ込めて・・

私の中では、
ピノキオといえば、”うそ”がキーワードだとおもっていたので、
そのあたりがしっくりこない所以である。

貢ぐくんが貢いだ女性を報復する「赫夜姫かぐやひめ」
初め、かぐや姫をもってくる意味合いが良くわからなかったが、
キーポイントが石上麻呂、実直な貢君とでもいいましょうか・・

3つの中では、最後の「赫夜姫かぐやひめ」がしっくりきた。


ある少女にまつわる殺人の告白 佐藤 青南

2012年04月17日 | 小説-日本-
2011年
宝島社
☆☆


10年前に起こった事件を関係者の証言により、真相が明らかになっていくというもの。

最近こういった手法が増えてきたのかな?
読み始めて、貫井得郎の「愚行録」を思い出した。
愚行録はある一家の殺人事件で証言者の立場によってこの一家の評価がまるで違ったのに対し、
この作品は、基本的にはみな同じ話になる。
どの側からみても、
虐待を受けている少女がかわいそう
そして、虐待をしている男はひどいヤツなのだ。
なので、半分くらいまですっかり読者はミスリードさせられる。

後半に入ってからの証言がどうにも初めに思っていたことと違っているため
「どういうことだろう?」と、先を急いで読むような状態となる。
で、最後、このインタビューアーの正体がわかり
なぜ、この人物がこの事件について調べていたのか
ナルホドと納得する、そしてぞっとした。

読み物として大変面白いと思うのだが、
どうにも、登場人物に嫌悪感を感じてしまうのだ。
主人公の母親というのが、男の機嫌をとるため、実の娘が虐待を受けていても
男の言いなりになっているとうのが、
はっきり言って、虫唾が走る。

八日目の蝉も結構、評価がいいようだが、
この作品も、私はキライだったというか、やっぱり虫唾が走った。
母娘ともども気持ちの悪い人間だと思ったのだ。

ただ、この作品は
虫唾が走るこの母親よりも、もっと恐ろしいモノ(虐待男ではない)にぞっとさせれらますが・・・


美しき武士と騎士の寝室  桐生 操

2012年04月16日 | 小説-日本-
2011年
角川文庫
☆☆


おもしろい!!
社会学の一つでしょうかね?文化というか・・・・・・・

日本の文化と西洋の文化の比較を史実に基づいて説明されています.
ただ、その対象が
あまり、とうか
絶対に学校では習うことのない部分・・・・・・・
しかしながら、人間の本質的な所ってことでしょうかww

おおきく3つに分かれていて
江戸の遊女と西洋の娼婦
日本の衆道と西洋のホモセクシャル
大奥と寵姫

遊女、娼婦は基本は貧しい出の女性のある意味立身出世
日本の遊女はなんとなく最後までもの悲しさがあるのに対して
西洋の娼婦の場合は、若いときは栄華をモノにして晩年はさびいというのが多い、
お国の気質みたいなんでしょうかね

衆道とホモセクシャルは
資料を元に紹介されていて
この本を読んでから、学校で歴史を教わると
授業中にニヤニヤしそうだなって、思いましたよw

大奥と寵姫は
大奥はとにかく世継ぎの為という前提があるが、
寵姫は子供を産んでもその子は世継ぎにはなれないという・・・・・・・
じゃあ、何の為?っと、思ってしまうのは女性である私の疑問でしたw

変わった文化史として、大変楽しく読みました.

QED 伊勢の曙光  高田 崇史

2012年04月03日 | 高田 崇史
2011年
講談社ノベルス
☆☆


長く続いたシリーズが終わってしまうのはちょっとさみしいものがある。
薬剤師、桑原崇と棚旗奈々が
現代に起こった事件を歴史のミステリーとともに謎を解くというシリーズである。

町おこしの為、海風神社の秘宝である鮑真珠「天の雫」をもって上京した神職が
何者かによって殺害される。
さらに、後を追うように一緒に上京していた神職の姉が自殺する。

ジャーナリストの小松崎の元に神山禮子が現れ、
今回の事件の容疑者とされている幼馴染を助けてほしいと話を持ち込んでくる。
小松崎はそこから崇に話を持って行くが、
場所が伊勢と言うことで崇は”伊勢神宮”の謎を解くということを条件に引き受ける。

いつものごとく、現在の事件についてはちょっと微妙ですが、
歴史ミステリーの部分は
神話の根本に踏み込んだ内容で面白かった。

伊勢神宮が本当に祀っているのは誰なのか。
天照大神は男神か女神か・・
実は、わたしも世界的に見て太陽神が女性と言うのが珍しく、
どちらかというと太陽=男性、月=女性の中で
なぜ、天照大神は女性なんだろう?と、思ったことがあった。
今回の謎解きで、
「あああ・なるほど、そういう解釈もあるかもしれない」と、
納得する部分もあり、面白かった。

さらに、今回はQEDシリーズの最終ということで、
結構、全員集合的な感じなのと、
崇と奈々の関係に決着がついて、
親ではないけど、ほっとしましたww

二人の今後も知りたいので、
スピンオフなどで二人のことがでてくるいいな~と、思いました。

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