ぶーくん読書録

今まで読んできた本について、いろいろ書いてみる。
ほとんど、ネタバレ!!

図書館戦争 有川 浩

2010年05月30日 | 有川 浩
2006年
メディアワークス
☆☆


まず読み始めて、この本の設定や世界を確認する。

この本は、たぶん近未来
公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』
というのが施行される。
超法規的検閲により本が狩られていく。
本を守る為、図書館には図書防衛軍とうのがあり・・・・

そして、この本のヒロイン郁は
学生時代に、本を購入しようと本屋へ行った時
良化隊による査察が入った。
購入予定の本をとっさに隠してしまったが、良化隊に見つかってしまう。
そこへ現れたのが図書隊員の青年である。

郁は、その図書隊員を王子さまと慕い(顔は覚えてないが)
図書隊員となる。

軍備の専門用語はよくわからないが、
テンポもよく、楽しく読める。

図書館戦争



龍神の雨 道尾 秀介

2010年05月29日 | 小説-日本-
2009年
新潮社
☆☆



血のつながらない父親と兄妹、血のつながらない母親と兄弟
二組の家族が、台風の日に交差する。

母親が再婚してまもなく事故により亡くなる。
その日も台風だった。親子として理解しあう前に他人である父親と兄妹の生活が始まる。

ちょっとしたボタンの掛け違いから兄は父親に殺意を抱く、
その殺意は台風によってどんよりと兄の心を支配する。
雨がすべてを狂わせいく。

あの日、「雨がふらなければ」がいくつも重なっていく、
そして、事件は思いもかけない方向に行き
真相がわかるにつれて、後悔にさいなまれていく。

二組の家族の事件が思いもかけない事件へのつながり、
驚きもあるが、切ない話である。


龍神の雨

廃墟に乞う 佐々木 譲

2010年05月25日 | 小説-日本-
2009年
文藝春秋
☆☆☆

事件により心的傷害を受けた休職中の刑事、仙道が遭遇する事件の連作小説である。

まず、捜査権のない休職中であるということで、
仙道の調査は、逮捕ありきではない。
さらに、”休職中”ということで組織にも縛られない。

「オージー好みの村」
オーストラリア人が多く住む町で、女性の絞殺死体が発見される。
オージーの男が容疑者として挙がるが、
以前他の事件の関係者でこのオージーの友人であるという女性から
助けてほしいと仙道のもとに連絡がくる。

もともと、オージーと地元民とで確執の多かった地域である為、
オージーへの容疑は揺るぎないものとなるが、
仙道の偏見のない目からの操作により・・・・

「廃墟に乞う」
以前、仙道が担当した事件とよく似た事件が発生する。
仙道が担当した時の犯人は夕張で貧しさのどん底の生活をしていた。
その生活が裁判での情状酌量を得る事になった。
その犯人から連絡があり、二人は逢う事になる・・・

「兄の想い」
漁師町で殺人事件が起こる。
容疑者は捕まり、容疑も認めている。
しかし、容疑者は町でも人望のある男であった。
事件の本当の真相に仙道が気づく。

など、他3編

事件の裏側にある、ドラマが面白い。

廃墟に乞う

新参者 東野 圭吾

2010年05月22日 | 小説-日本-
2009年
講談社
☆☆☆


日本橋で一人暮らしの女性が絞殺された。
その女性が生活していただろうと思われる町に加賀という
着任したての刑事が聞き込みをする。

初めは煎餅屋
殺人事件の聞き込みをしながら
煎餅屋さんでの小さな謎を解く
その小さな謎がこころが暖かくなる

不思議な本だな~と、思った。
殺人事件の謎を解かずに聞き込み先での小さなドラマを描いているのだと思った。

第二章で、料理屋のドラマがあり
なるほどこの加賀刑事の小さなドラマのオムニバスなのだと
しかも、やっぱり面白い。

で、第三章になってようやく気がついた。

少しずつ、殺害された女性の輪郭が現れてきたのだ。
これは、参った!!ウマすぎる。

小さなドラマの小さな謎を解きながら
殺人事件の謎が解けていた。


新参者



出星前夜 飯嶋 和一

2010年05月20日 | 歴史・時代物
2008年
小学館
☆☆


何故、島原の乱が起こったのか・・
キリシタンを弾圧したからとう簡単な話ではなく、
キリシタンを利用した藩主の悪政によるものである。

この本のはじまりは、南目の子供達が傷寒禍に見舞われる。
往診に出た長崎の医師、外崎恵舟は南目村が本来の石高の2倍の年貢を納めさせられ
さらには、この数年の凶作で納めきれない年貢を上乗せさせられ
人々の生活がもはや成り立たなくなっている事に気づかされる。

治療の為、長崎から来た恵舟をも、代官は追い払うように長崎へ帰国させる。

その政治や、大人たちに反発するように
寿安という青年が、以前、教会があった場所に立てこもり
次々と他の者達がやってきて、
ついに争いが起こる。

同じくして、島原でも四郎を立て一気に蜂起軍が動き出す。

南目は有家村の鬼塚監物が軍を統率、朝鮮出兵などでも武勲を挙げるほどの威丈夫である。
そして、島原は戦経験のない四郎の父親が軍を統率するも、
圧倒的な戦下手であった。

連合軍で鬼塚監物が主戦を戦っていれば、
島原の乱の図式が変わっていたのかもしれない・・ただ、歴史にifはないのですが・・

この本は、あまり感情的にならずたんたんと語られる。
しかし、この淡々とした文章が胸を打つ。



出星前夜


聖書の名画はなぜこんなに面白いのか 井出 洋一郎

2010年05月19日 | 小説-日本-
2010年
中経の文庫
☆☆

天地創造から順に聖書になぞられた名画が紹介されていて、
どういう場面で、どういう話なのかが説明されている。
有名どころだと
ミケランジェロ「アダムの創造」
ブリューゲル「バベルの塔」
ラファエロ「小椅子の聖母」
などなど・・・

さらに、どの美術館にあるのかも書いてあるので、
美術館を巡るときにはよさそうですが、
すべて海外なのでぶーくんはこの本とパソコンで眺めるだけです。

絵画を見ながら、聖書をあらすじを見るというのも
なかなか面白い。




聖書の名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)

古代史の秘密を握る人たち 関 裕二

2010年05月15日 | 歴史・時代物
2001年
PHP文庫
☆☆

古事記と日本書紀を読み方を変えると見えてくるものが違う。
さらに、読む順番を変える事でも、違う歴史が見えてくるという
考古学が楽しくなるような本である。

天智天皇系天武天皇系から蘇我氏にさかのぼり
入鹿事件の真相を考えたり、
そこから、山背大兄王事件の黒幕から聖徳太子の正体、
さらには卑弥呼、伊予など
さかのぼることで理解度が上がるとう面白さ
改めて、古事記を読んでみようかと思わせる本である。


古代史の秘密を握る人たち―封印された「歴史の闇」に迫る (PHP文庫)

旧約聖書を知っていますか  阿刀田 高

2010年05月01日 | 小説-日本-
1994年
新潮文庫
☆☆



実は、随分前に読んだ本であるが、今回、読み返した。
と、いうのも
旧約聖書を頂いて、読んでみるもさっぱりわからないので
この本を思い出して、読み返したのだ。

それにしても、
阿刀田高氏にかかると、
難解な旧約聖書がこんなにも、おもしろく分かりやすくなる。
阿刀田氏のギリシャ神話を知っていますかという、本も面白かった。

で、この本は
本筋の旧約聖書を小説風に書いてはいるが、
途中途中で、阿刀田氏の思い出だったり、物語の背景などの説明があるため、
ぐっと解りやすくなる。

この本を初めて読んだのはもう10年くらい前
その時に気づかなかったことがいろいろある。
ソドムとゴモラ
前回読んだ時は、ドラゴンクエストくらいしか思い浮かばなかったが、
天使について調べた時に読んだ「ベリアル」という堕天使を思い浮かべることができたし、
サムソンとデリラは
安藤美姫を思い浮かべたりして、あの演技はこういうことだったのか・・などなど

読み返すことで、新たな発見があった。

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

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